いきなり問題です。
Q.地球を大きな磁石として捉えたとき、北極側はN極とS極のどちらになるでしょうか?
登山の時に必ず持っていきたいアイテムは「地図」と「コンパス」ですね。これらを使ってナビゲーションなどの地図読みするのも楽しいけれど、小学生の理科で習っていて簡単なようで答えに困るコンパスと地球に関するおはなしを今回はご紹介します。
登山で利用したいコンパス
登山を始めると山の先輩から「地図とコンパスは必ず持参してください」という言葉を掛けられます。そして登山に行く際は地図もコンパスも持っていくようになったけど、山で一度も使ったことがないアイテムとして名前が挙がるのもコンパスだったりもします。使わないから使い方を覚えないのか、使い方が覚えられないから使わないのか、宝の持ち腐れとなっているのでは。
登山者が多く訪れる山域では、分岐のその先に行けば山頂で反対側は下山口と書いてある道標が設置、そのような登山道を歩いていれば確かにコンパスの必要は殆どないでしょう。では、どんなシチュエーションでコンパスは必要になるのでしょうか。
例えば地図に載っていない分岐が現れ、どちらに進むべきか判断に困ったときや道に迷ってしまったときに地図に加えコンパスがあれば、正しい方角を知ることができピンチを脱する手がかりを得られます。上級者になれば、道標などがない山域や目標物が明確でないような場所に行く場合に使うことも想定されます。そのためには「読図」と言われる知識や技術を身につけることが必要で、それを身につけることにより登山の魅力が増し、より安全に愉しんでいけるのです。コンパスの使い方の知識と技術については様々なところで紹介されていますので、一度調べてみると良いでしょう。
コンパスとは
英語でコンパス(Compass)と呼ばれ、子供の頃には方位磁針という名称で教わりました。磁石を用いて方位を知るためのアイテムです。登山などでは台座が透明で、地図の上に置いて距離や方角を確認するなど、地図との照合が簡単にできるのが特長の写真のようなプレートコンパスが良く使われています。
コンパスは色のついた針が必ず北の方位を指すようになっています。コンパスを水平に持ち針の動きが止まり、色の付いた針が示しているが「北」ということになります。
北極側はN極?S極?
冒頭に出題したのは「地球を大きな磁石と捉えたとき、北極側はN極とS極のどちらになるのでしょうか?」というものでした。
A. 答えは北極側が「S極」です。つまり南極側は「N極」になります。
コンパスが南北を指す理由を解りやすく説明します。地球には地磁気と呼ばれる磁力線が存在しています。そのメカニズムは未だ解明されていませんが、地球内部にある鉄やニッケルの存在が影響していると言われています。今回は図解の為に地球の磁力線として使うのは棒磁石。これが地球の内部にあると仮定しています。イラストのように北極側にS極,南極側にN極があると考えてください。
磁石の性質として異なる極どうしが引き合うと小学生の時に理科で習いました。つまりN極とS極は引き合いますから、コンパスのN極は地球の北極側(S極)を常に向くというわけです。
コンパスに北が「N」と表示されているため、地球の北極側がN極と混同されている人も意外と多いのです。
余談になりますが、実際にはコンパスは正確な北を指し示していません。地磁気と地軸は少しずれていて、棒磁石のように単純ではありません。そのことから方向と大きさは国内外の時間や場所によって異なることがわかっており、常に変化しています。
コンパスの示す真北は東京周辺では西に7.4度(国土地理院発表2020年値)のズレがあります。これを「偏角」と呼び、東京ではこの40年で約0.7度西に変化していることも知識として知っておいてください。この偏角の情報を知らなければ、地図の向きと合わずに道に迷う恐れがあります。地図の上側が真北を示すのに対して、コンパスの指すのは磁北です。このように真北と磁北にはズレがあり、そのズレを線で表したものが磁北線として表示します。最近の『山と高原地図』(昭文社刊)では、少し西に傾いた赤い磁北線が一定間隔で表示されているのが確認できます。もしも使用している地図に線が引かれていない場合は、自分で時北線を引いてみるのがよいでしょう。そうすることで、より正確な方位を容易に確認することが出来るようになります。
参考URL:あなたの街の偏角は?国土地理院ホームページ