東の空に惑星たちが集まり始める
明け方の東の空に、惑星たちがわらわらと昇ってくる楽しいシーズンを迎えています。先月の後半には金星が西方最大離角(明け方の空で太陽からの距離が最も離れた状態)を迎え、引き続き明けの明星として、非常に明るい光を放っていますが、これに火星、土星、さらには木星が加わります。
4月上旬に注目されるのは、火星と土星の接近です。最接近は4月5日の朝。日の出は午前5時20分ごろですから、薄明が始まる4時ごろから火星と土星の光がかき消される5時ごろまでが見ごろです。
どれくらい接近するのかというと、満月の見かけサイズより小さい距離まで近づきます。満月は一見、大きく見えますが、実は、伸ばした腕の先の5円玉の穴にすっぽり収まってしまう大きさしかありません。そんな小さな空間に、5日の明け方は、火星と土星が入ってしまうのです。これほど近づくことはめったにありません。火星は赤く、土星は黄みがかっていますが、両者が並んだときにどんな色に見えるのでしょうか。私は色が異なる二重星を望遠鏡で見て感動したことは何度かありますが、それを肉眼で経験できるのは非常に珍しく贅沢なことだと思います。とても楽しみです。
肉眼で十分に楽しめる現象ですが、双眼鏡があればさらに楽しめます。倍率によりますが、7倍ほどの低倍率なら、同じ視野に火星と木星が収まるでしょう。
さらに望遠鏡でも、同一視野に入るかもしれません。もちろん倍率や口径の大きさによります。もし30倍くらいの低倍率のレンズをお持ちであれば、ぜひ、火星と土星に向けてみてください。双眼鏡にしろ、望遠鏡にしろ、ふたつの惑星を同時に見られることはそうはありません。子どもの春休み自由研究にもぎりぎり間に合うタイミングです。ぜひトライを。
星空アプリで方角を確認しておこう
明け方の火星と土星は、それほど空高く昇るわけではありません。上の図のように4時半頃で、およそ15度です。東の方角が建物や山でふさがっていると、いくら明るくても見えません。日の出の時刻には20度以上に上がってきますが、当然、明るさが減光してしまいます。
すべての天体観察に共通していることですが、お目当ての天体の方角をあらかじめ確認しておくことが基本の下準備です。今は天体観察に使えるアプリがたくさん出ているので、ぜひ活用しましょう。アプリのポイントのひとつは、スマホを向けた方角の天体が表示される連動機能がついているかどうか。星座の配置に慣れていない人も、これさえあれば安心。見たい天体が画面に入るように合わせれば、その星が目の前にあります。
実際には町明かりなどで見えない星も表示されるので、星座の線を結ぶのにも役立ちます。星座の線が結べるようになると星空はさらに身近に楽しくなると思います。
春眠暁を覚えずと言いますが、これから明け方の惑星たちの集合が続きます。4月からの新しい生活、新しい早起き習慣?をめざして私もがんばって観察します。天体観察アプリもいろいろ試していきましょう!
構成/佐藤恵菜