ナポリ湾に浮かぶ島と言えば、日本では青の洞窟などがあるカプリ島が有名ですね。でも実はそのお隣にも、温泉が豊富に湧き出る魅力的なリゾート島があるのです。
その名はイスキア島。
カプリ島よりも大きく、ゆったりと落ち着いた雰囲気の島で、山あり海あり温泉ありの風光明媚な場所です。
イタリア流温泉の楽しみ方
あまり知られていませんが、実はイタリア人は温泉が大好き!
日本とは異なり温度は低めで、水着を着用して入る温水プールのような形式が一般的です。
イスキア島では島中から温泉が湧き出ているので、大型の温泉施設や温泉付きのホテルなどがたくさんあります。
そんなイスキア島に暮らす地元民の友達とアウトドア遊びを楽しむべく、暖かい春の日に一風変わった温泉地を訪れました。
地元民おすすめのワイルドな温泉ソルジェート
200段以上の階段を降りて海へと到達する切り立った崖下に、今回の目的地であるソルジェートがあります。
ソルジェートでは温泉の源泉が海のすぐ近くに湧き出ており、海水と混ざり合って天然の浴場を作り出しています。
90度C以上の高温の源泉が島から海へと流れ込み、冷たい海の水と合わさることで40〜20度Cほどの適温になります。
岩を組んで作った浴場は海に向かっていくほど冷たくなり、波を被ったりして水温が刻々と変化していきます。
潮の満ち引きや日によっても温度が変わるので、その度に人々は手近な石を積み上げて波をせき止めたり、砂を掘って深くしたりして、自分好みの浴槽に作り変えていくのです。
お気に入りの水温の場所を見つけて中に浸かると、体はほど良く温められて海風が気持ちよく頬をなでていきます。
目の前はナポリの真っ青な海!
壁のない大パノラマを前に船が行き交う様子をボーッと眺め、波の音を聞きながらリラックスして、大自然の中ならではの景色を堪能することができます。
一緒に温泉に浸かっているうちにおしゃべりに花が咲いて、周囲の人々と仲良くなってしまうのも、イタリアあるあるかもしれませんね。
温泉の熱と地元の新鮮な食材でアウトドアごはんに挑戦!
温泉を堪能した後は、源泉の熱を利用した蒸気調理にチャレンジすることにしました。
地元の友人が近所から新鮮な朝採れ卵をもらってきてくれたので、ネットに入れて蒸気が吹き出すポイントに設置。
アルミホイルで包んだ鶏肉も同じようにネットに入れ、源泉近くの海水の中に入れて待つこと約1時間。
温泉に漬けた鶏肉は、低温調理されてふっくらした仕上がりに。ゆで卵と一緒にサラダに和えれば、温泉チキンサラダの出来上がりです。
仕上げは泥パックでツルピカ肌に
腹ごしらえが済んだら、お次はここならではの泥パック体験です。
ソルジェートには長年この地で泥パックを作り続けている名物おじいちゃんがいます。
黒いバンダナと陽に焼けた小麦色の肌がトレードマークの彼は、海や温泉のミネラルが溶け込んだ良質な泥を採取し、仲良しの奥さんと二人で天然の泥パックを作っているのです。
「イスキアの海賊」として地元民に親しまれている彼は、海外のテレビ局から取材を受けることもある島の有名人。
彼の作る海賊印の泥パックは、ほんの数分塗布するだけで肌が蘇る奇跡の泥とも呼ばれているんだとか!
泥パックを塗りたい場所を伝えると、海賊おじいちゃんが丁寧に刷毛を使って泥を塗ってくれます。
顔やデコルテはもちろん、怪我の跡や足腰の痛みにも効くのだとか。腕を骨折したばかりだった友人は、痛みが残る腕に塗布してもらっていました。
パックした場所は太陽で数分乾かしてから、水で優しく洗い流します。
古い角質を取り除いた肌は、驚くほどつるつるピカピカに。乾燥することもなくしっとり肌に仕上がります。
周囲にはほぼ全身を塗ってもらっている人もいて、近くの岩場で乾かした後は豪快に海へ飛び込んで洗い流していました。
海遊びも温泉もアウトドアごはんも、そして泥パックまで体験できるソルジェート。
イスキア島にはこの他にも魅力的なアウトドアスポットがたくさんあります。
ナポリを訪れる機会があれば、是非イスキア島まで足を伸ばしてみてくださいね。
2009年よりイタリア在住。料理と旅行とモノづくりが趣味のシングルマザー。イタリア在住ライターとして多数の媒体に執筆する他、企業向けマーケティング・リサーチや料理研究など幅広く活動。海外書き人クラブ会員https://www.kaigaikakibito.com/