その先のアパラチアン・トレイルへVol.3
こんにちは、ロングトレイルハイカーの斉藤正史です。今回はロングトレイル・ハイキングの旅道具をご紹介します。
前回、毎回と、毎回、旅ごとに道具を変えているお話をしました。なぜかというと、前回歩いた「ジョンミューア・トレイル」と、これから歩こうとしてる「インターナショナル・アパラチアン・トレイル」とでは、気候や歩くルートがまったく違うからです。
「インターナショナル・アパラチアン・トレイル」は、北米の東側になります。11年前、アパラチアン・トレイルを歩いた時に感じたのは、雨の多さでした。気候を調べてみるとケベック州の7月は日本の梅雨並みに雨が多く、緯度は49度で、ざっくりと樺太と中央部と同じくらいです。つまりは気温が低く、雨が多い地域になります。
そのことからも、乾燥して暑いカリフォルニアとは持っていく装備が変わってきます。
道のりは、ダートロードが多くあり、標高自体は低いアパラチア山脈ですので、標高が高く岩場の多い「ジョンミューア・トレイル」(カリフォルニア州)とは履いていくブーツも違うほうがいい。長いトレイルでは、全気候に対応した道具を選ぶので、今回のような雨の多い地域で緯度の高い場所を歩く場合は、雨対策を考えた道具も必要となります。
その場所に適した道具を使ったほうが安全にもつながるので、行くルートによって、トレイルで使う道具はある程度変えているのです。
そのようなわけで、「インターナショナル・アパランチアン・トレイル」の雨・寒さ対策を重視して、今回ぼくが旅に持っていく道具が、こちらの10アイテムです。
1
【テント】
ヒルバーグ
ニアック1.5
北欧スウェーデン発のテントメーカー「ヒルバーグ」から、トレイル向けの製品が4月に発売になりました。インナーテント生地がメッシュではなく、軽量ナイロン生地になっていて、風・雨にも強い。しかも重量が2kgを切るのですが、ポールの強度もあります。北米東部の雨が多く、緯度からくる寒さにも対応できるのではないかと考えチョイスしました。
2
【寝袋】
ナンガ
オーロラライト600DX・
レギュラーサイズ
ヒルバーグのテントはメッシュ部分が少ないため保温性が高い。そのことを考えて、寝袋はこちらをチョイス。快適使用ができる最低温度がマイナス11℃のモデルです。中綿の素材は、撥水ダウンにするか随分悩みましたが、多孔質ポリウレタンに防水加工を施した「オーロラテック」の防水性の高さを考えて、また、国産メーカー「ナンガ」の底力を感じたかったこともあり、こちらをチョイスしました。
3
【バックパックカバー】
ミステリーランチ
フーデットパックフライ
今シーズン、ミステリーランチからバックパックカバーが発売になりました。基本的に防水パックを使用して、外側の防水を施さないハイカーが多いのですが、夜眠るときにはテントの中にバックパックを入れるので、雨が続けば、テントの内部まで濡れてきてしまいます。やはりバックパックカバーがあると心強い。このバックパックカバーの優れているところは、フードがついていることです。雨の日、カバーをしても背面から濡れることが多くあります。フードをかぶれば背面からの濡れを防げるのではないかと考えました。
4
【傘】
Euro SCHIRM(ユーロシルム)
バーディーパル
UVアンブレラ
もう、トレイルで傘は欠かせません。森林限界線で日陰をつくり、突発的な雨にも対応。雨の中、夜中のトイレに行くときなど使用用途はオールマイティです。今までの軽量タイプから少し大きめのものに変えたのは、バックパックが大きくなったこととも関係しています。
5
【雨具】
コロンビア
アウトドライエクストリーム
レインジャケット
ゴアテックスと並ぶ防水透湿新素材の「アウトドライ」。この素材は水の浸入を最外層面でシャットアウトするのが特徴です。最高レベルの防水透湿機能を備えた、世界初のテクノロジーといわれています。実際に雨の多い中でどれだけの能力を発揮するのか使ってみたいと考えました。
6
【ダウン上下】
フォックスファイヤー
エアリスタ撥水ダウン上下
前回も使用した、フォックスファイヤーの撥水ダウンの上下。今回も雨の多いエリアなので、防寒のために上下で持参しました。雨の多い中で使用するのは初めてです。撥水ダウンの性能を試したくて今回も使用することにしました。
7
【寝袋用シーツ】
コクーン
Mummy Liners
実は、インナーシーツを持っていくのは久々のことです。シーツを使う目的は、体の脂や摩擦からくる汚れで寝袋の生地を傷めないようにするため。それ以外にも、夏場の暑い時の温度調整や、寒い時の保温力アップにもなります。寝袋を清潔に保つことも可能。いろいろと重宝します。今回も寒暖の差が激しいと予測してチョイスしました。
8
【サンダル】
キーン
ZAMBEZI
毎回悩ましいのがサンダル。これぞといった製品にはなかなか出会えなくて、毎回いろいろと試しているのが現状です。トレイルでは、渡渉の局面も多く、苔で滑りやすい川や流れの早い川の対応、キャンプ地に着いてブーツを脱いだあとに、サンダルで遠い急斜面を下って水場まで歩くケースもあります。すべてのシーンを網羅するのは難しいのでしょうか…。今回は、キーンのカヌー用で販売されているサンダルを持参することにしました。フィッティングはジャスト。つま先の保護もあります。きっといいめぐりあわせになるのではと感じています。
9
【ブーツ】
コロンビア
アウトドライブーツ
こちらも、レインウェア同様の「アウトドライ」素材を内蔵した防水ハイキングブーツです。アウトドライの性質上、もしかしたらブーツが一番の力を発揮するのではないかと考えました。水を含みにくい特性のあるアウトドライ。その真価を確認するためにも、今回の雨の多くドロドロの道のりには最適ではないか? と。また、ロードウォーク(舗装路を歩くこと)も予想されることから、あまりソールの固くないタイプをチョイスしました。
10
【カメラ】
オリンパス
TG-4 タフ
ロングトレイルハイカー生活を続けて5年間、毎回このカメラを使用しています。その防水性・耐久性はアメリカ3大トレイルで実証済み。雨の多いニュージランドの「テアラロア・トレイル」でも故障もなく、しかもショルダーベルトに外付け出来るのがありがたい。今回も雨の多いエリアです。『TG-4』からRAWデータも対応になり、ますます手放せません。
その他にも、色々と今回は持っていきます。
・LEDヘッドライト
・スマホ用の広角レンズ
・動画用スタビライザー
・フライセット
いい加減軽くすればいいのにと思いつつも、良い映像が撮りたい。遊びたいと考えると使ってみたくなります。結局は、いつもながらの大荷物です。まぁいつものことですので、特に気にはしません。
道具が揃ったら、いざ出発! となるわけですが、今回は出発直前のトラブルから幕を開けました。
さて、トラブルは重なるといいますが・・・・
(つづく)
【Profile】
斉藤正史 山形県在住
LONG TRAIL HIKER
NPO法人山形ロングトレイル理事
トレイルカルチャー普及のため国内外のトレイルを歩き、山形にトレイルを作る活動を行う。
ブログ http://longtrailhikermasa.blog.fc2.com/
山形ロングトレイル https://www.facebook.com/yamagatalongtrail
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