ソロキャン、サウナにつづき「ソロ秘湯」が来てます!
ソロ秘湯とは、世界遺産に認定したくなるような秘湯を探し、
その絶景を独り占めする冒険心くすぐる旅…。
日本全国の野湯と、拠点となる宿を網羅する本『そろそろソロ秘湯』から、
1泊2日でめぐる9コースを厳選してご紹介します!
※価格や営業時間などは取材当時の情報です。最新情報は各施設をご確認ください。
ソロ秘湯の達人・渡辺裕美さん
奈良県出身。秘湯探検家。誰も行かないような秘湯や野湯にひとりで行くのが大好きで、オフはほぼ湯めぐりに費やす。これまでめぐった温泉は国内外含め2500か所以上。温泉ソムリエの資格を持つ。秘湯の旅番組の出演・監修多数。
ブログ:『YOOMI’S 至福温泉日記』(shifukuonsen.blog94.fc2.com)
温泉情報の凡例
- アクセス ・・・★が多いほどアクセスが簡単
- ソロ向き ・・・★が多いほどソロ向き
- 宿泊料金について ・・・表示の料金は、平日2名1室または1名1室利用時の1名あたりの消費税・入湯税込みの料金です。 ※掲載している情報は2022年3月末時点でのものです。現況と異なる場合があります。
両部の滝(栃木県)
アクセス/★★ ソロ向き/★★★
- 野湯。※設備なし。
- 登山道、けわしい山道あり。
- 渡渉(川を渡る)、川歩きあり。
- 薮漕ぎあり。
- 要クマ除けグッズ。
- 冬期閉鎖期間あり。閉鎖期間要確認。
那須塩原の奥に潜む一軒宿と
天然の湯滝をめぐる“気分は山伏”コース!!
那須・茶臼岳西側八合目付近にある2つの向かいあう滝で、地元の人にもほとんど知られていない。2つの滝のうち、「雌滝」は、山岳信仰のご神体ともなった源泉湧出地(御宝前)を水源とする、温泉の滝。出発は、「沼ッ原湿原」登山口から。登山道を約1km進み、「日の出平」への分岐手前で左に藪漕ぎをし、「パイプ」に沿って獣道を約2時間歩くとたどり着く。「雌滝」周辺には、湯気が漂い秘湯ムード満点♪ 神々しい景色に息をのむ。
住所:栃木県那須郡那須町
注意:●登山道から外れるので、GPSアプリなどを使って自分の位置を確認してください。 ●途中、軽い薮漕ぎと渡渉があります。登山靴、長袖、長ズボン、手袋が必要となります。 ●クマ除けグッズは必ず装備してください。
三斗小屋温泉 煙草屋旅館(栃木県)
アクセス/★★★ ソロ向き/★★★★★
- 登山道、けわしい山道あり。
- 要クマ除けグッズ。
- 冬期閉鎖期間あり。閉鎖期間要確認。
- 宿泊施設、温泉を管理する山小屋などがある。
- 内風呂あり。
- 露天風呂あり。
- 日帰り入浴可能。
三斗小屋温泉は、康治元年(1142年)に発見された、那須七湯のひとつで、江戸時代には、那須・茶臼岳の八合目に面した源泉の湧出地(御宝前)をご神体とする山岳信仰の行者でにぎわった。煙草屋旅館の魅力は、ひなび感と絶景の露天風呂! 昼間は青空と山の稜線を、夜は満点の星を眺めながら湯浴みができ、心地よさに時間を忘れてしまう。
体に優しい単純温泉で長湯に最適。
住所:栃木県那須塩原市板室910
電話:(営業期間内)090-8589-2048
※7時~20時/(営業期間外)0287-73-4567
※12時~20時
営業:4月中旬~11月下旬
料金:1泊2食つき1名 10,000円~
●日帰り入浴 大人1,000円
※営業期間は要電話確認。
草の湯・新草の湯(岩手県)
アクセス/★★★ ソロ向き/★★★
- 野湯。※設備なし。
- 登山道、けわしい山道あり。
- 渡渉(川を渡る)、川歩きあり。
- 薮漕ぎあり。
- 要クマ除けグッズ。
- 冬期閉鎖期間あり。閉鎖期間要確認。
八幡平国立公園の大自然を満喫…
2つの野湯をめぐる“はしご湯”コース!!
八幡平市安比高原にある「草の湯歩道」入口から徒歩でたどり着く極上の野湯2選。「草の湯」までは、登山道に沿って歩くだけ。目の前に乳白色の湯で満たされた自然の湯船が現れる。『草の湯』へ向かう途中、登山道右側の獣道を藪漕ぎしながら下ると、塩ビ管から適温の温泉が溢れ出る『新草の湯』にたどり着く。「草の湯歩道」入口手前の市道は4月に開通予定。林道の雪どけ状況は要確認。
住所:岩手県八幡平山国有林内
注意:●クマ除けグッズを必ず装備してください。
藤七温泉 彩雲荘(岩手県)
アクセス/★★★★★ ソロ向き/★★★★★
- 冬期閉鎖期間あり。閉鎖期間要確認。
- 宿泊施設、温泉を管理する山小屋などがある。
- 内風呂あり。
- 露天風呂あり。
- 日帰り入浴可能。
八幡平の山頂付近標高1,400mの位置にある秘湯の宿。魅力は、足元からぷくぷくと湧く「天然のジャグジー風呂」。底の泥と一緒に高温の温泉が湧いてきて、気泡が肌をくすぐる感じがたまらない。泥を手足に塗って時間をおけば、「天然の泥パック」に。保温効果で血流が良くなり、肌のトーンが一段明るくなったような気分になる。
住所:岩手県八幡平市松尾寄木北の又
電話:090-1495-0950(衛星電話)
営業:4月下旬から10月下旬
料金:1泊2食つき大人2名 12,250円~、大人1名 13,350円~ ●日帰り入浴 大人650円
※営業期間は要電話確認。
梶山元湯(新潟県)
アクセス/★★★★★ ソロ向き/★★★★★
- 野湯。※設備なし。
- 登山道、けわしい山道あり。
- 渡渉(川を渡る)、川歩きあり。
- 要クマ除けグッズ。
- 冬期閉鎖期間あり。閉鎖期間要確認。
- 複数人で行くか、ガイドが必要。
開湯1823年、歴史とロマンを
感じさせる宿と“天然洞窟”をめぐる通なコース!!
アクセス困難で行きづらかった天然の洞窟温泉『梶山元湯』。その憧れの野湯が、地元の人によって整備され、2020年6月より「秘湯ツアー」になった。参加すれば、ソロでも案内してもらえる。所要時間は徒歩で約1時間。途中、急なスロープはあるものの、ザイルが張られているので安心して進むことができる。到着したら、お湯をためるのに約30分お待ちを。ぬるめで炭酸ガスの清涼感があり、つるつるの肌触りは秘湯愛好家の間でも絶賛されている。
ソロで申し込める洞窟ツアー。入浴後は糸魚川の地酒も楽しみたい。
住所:新潟県糸魚川市梶山
営業:体験期間:2022年度は6月上旬~11月上旬まで。体験ツアーの予約は下記のサイトでメール予約。
【梶山元湯 秘湯洞窟温泉体験プログラム】https://nechimirai.com/kajiyama/
注意:●梶山元湯洞窟温泉は私有地です。洞窟温泉体験ツアーでのみご利用できます。 ●料金はメールにてお問い合わせください。
雨飾温泉 雨飾山荘(新潟県)
アクセス/★★★★ ソロ向き/★★★★★
- 冬期閉鎖期間あり。閉鎖期間要確認。
- 宿泊施設、温泉を管理する山小屋などがある。
- 内風呂あり。
- 露天風呂あり。
- 日帰り入浴可能。
雨飾山の北面、標高880m地点にある「雨飾温泉(別名:梶山新湯)」の一軒宿。開湯は1823年で、近くの野湯『洞窟温泉 梶山元湯』とともに長い歴史を持つ。携帯の電波も通じない、電気は自家発電のリアル秘湯。21時の消灯後、混浴露天風呂「都忘れの湯」にランプを灯しながら浸かるのはなんとも幻想的だ。
住所:新潟県糸魚川市大字梶山字広道倉1870
電話:090-9016-3212
営業:5月上旬~11月上旬
料金:1泊2食つき1名 9,500円~ ●日帰り入浴 大人500円 ※営業期間は要電話確認。
https://www.amakazarisanso.com/
湯の池地獄・通し川の湯(鹿児島県)
アクセス/★★★ ソロ向き/★★★
- 野湯。※設備なし。
- 登山道、けわしい山道あり。
- 薮漕ぎあり。
九州屈指の温泉地、霧島で味わう
“生まれたての湯めぐり”コース!!
霧島の山奥に、西日本では最大級と思われる広大な地獄が存在している。名前は「湯の池地獄」。地下から火山ガスや高温の温泉が泥と一緒に噴き出している。地獄の下流は「通し川」と呼ばれ、底から湧く高温の源泉と沢水が混ざって、入浴可能なぬるめの湯の川になっている。湯気を上げながらブルーの湯の川が流れる様子は神秘的で感動ものだ。アクセスは、『霧島温泉 旅の湯』から車で10分のところにある林道ゲートから徒歩で約40分。
地獄を訪れる際は装備は必須、足もとをよく確認し、火傷に要注意。
住所:鹿児島県霧島市牧園町
注意:ボッケと呼ばれる高温の地獄地帯が多数あるため、行く際は登山靴を履きましょう。
新湯温泉 国民宿舎新燃荘(鹿児島県)
アクセス/★★★★★ ソロ向き/★★★★★
- 宿泊施設、温泉を管理する山小屋などがある。
- 内風呂あり。
- 露天風呂あり。
- 日帰り入浴可能。
霧島市牧園町、標高920mの山間にある一軒宿。ひなびた木造の浴舎、漂う硫黄の香り…いかにも湯治場らしい雰囲気。「硫黄泉」の規定値の約10倍という多量の硫黄成分を含む濃厚さのため、風呂場には「30分以上の入浴はしないで、再入浴は1時間あけて」などの張り紙もある。濃厚なミルキーブルーの湯で、混浴だが女性も気兼ねなく入浴を楽しめる。
住所:鹿児島県霧島市牧園町高千穂3968
電話:0995-78-2255
料金:1泊2食つき大人2名 14,450円~、大人1名 16,100円~ ●日帰り入浴 大人600円
日光奥鬼怒温泉郷 八丁の湯(栃木県)
アクセス/★★★★ ソロ向き/★★★★
- 宿泊施設、温泉を管理する山小屋などがある。
- 内風呂あり。
- 露天風呂あり。
- 日帰り入浴可能。
奥鬼怒名湯のすぐ近く、
“探して見つけて穴場秘湯”コース!!
栃木県・日光市「女夫渕無料駐車場」から歩いて約1時間半でたどり着く、関東最後の秘湯宿。湯の華舞う良質なかけ流しを日帰りでも楽しめる。宿に行く途中にある『カッタテノ滝』を通りすぎる時に現れる「遊歩道案内看板」。じつはその川を挟んだ対岸に、ひっそりと野湯が湧いている。岩の間から湯船へと注がれる熱々の源泉に、湧き水を足せば、自分好みの温度の湯に。対岸からは見えないし、人も訪れないので、誰の目も気にせず至極の野湯時間を楽しめる。
野湯は『女夫渕無料駐車場』から徒歩約40分。ヒントは「カッタテノ滝の裏」。
住所:栃木県日光市川俣876
電話:0288-96-0306
料金:1泊2食つき大人2名18,150円~、大人1名22,825円~ ●日帰り入浴 大人800円
注意:●女夫渕無料駐車場の先は自家用車等での入場はできません。駐車場から歩くか、事前予約制の無料送迎バスをご利用ください。 ※お昼の休憩か宿泊のみ無料送迎を利用できます。
●国立公園内ですので、花や草木を採取することはできませんので注意しましょう。
注意
● ここに掲載されている秘湯には、いわゆる「温泉宿」以外に、まったく道も施設もない「野湯」が含まれています。野湯を目指す際は、自然が相手ですので予想外のリスクを伴います(道迷い、豪雨、落石、土砂崩れ、落雷、倒木、有毒ガス、高温熱湯、クマなどの危険生物との遭遇など)。事故や被害にあってもそれは自己責任となります。また、登山道をそれ、国立公園や国有林、私有地へ入る際には規則があり、事前申請や入林届が必要になる場合があります。事前に下調べをし、ルール、マナーをしっかり遵守しましょう。ひとりで不安な方は地元のガイドさんを随行、または複数人で訪れるようにしましょう。また、宿に関しては冬期閉鎖など「営業期間」がそれぞれ異なります。天候によりずれる場合もありますので、必ず事前に確認してから行きましょう。
● 野湯を目指す際には、事故対策の装備が必要です。道迷い対策として、スマホとGPSアプリは必携、登山靴、渡渉(川を渡る)用のシューズ、ボッケ(泥火山から高温の熱湯が噴出している場所)対策の靴、手袋、落石対策のヘルメット、クマ除け(鈴、スプレーなど)、防虫スプレー、最低限の飲料水、野営の装備も必要な場合があります。
写真・文/渡辺裕美 イラスト/藤本たみこ
(BE-PAL 2022年5月号より)