昨今は納車までに1年以上かかることも珍しくない大キャンピングカーブーム。ベース車両やパーツの性能向上などにより、いちだんと魅力的なキャンピングカーも続々登場しています。ところで、キャンピングカーって、どうやってつくられているのでしょうか?製造工場の様子を特別に取材させてもらいました。
キャンピングカーってどうやって作るの?
キャンピングカーは『ビルダー』と呼ばれる架装メーカーで、屋根の取りはずしなどのボディー加工が施され、車内に寝具や調理装置、電装品などが取り付けられていく。
そこで今回、バンコンタイプのキャンピングカーを架装する「ホワイトハウス」の酒井さんに工場を案内してもらった。
1日1台のペースでキャンピングカーを製造
「ホワイトハウスでは約30人の手によって、月に30台、1日に約1台のペースでキャンピングカーを作り上げています。
木工職人らによる手作業を多く取り入れるビルダーもいますが、ここではキャンピングカーの本場であるヨーロッパ基準の設備や技術を導入。一般的な架装作業と、最新のグローバルスタンダードな作業とを組み合わせて作り上げています。
各工程にスペシャリストを置き、厳しい基準を設け高品質を維持しています」(ホワイトハウス 酒井さん)
スタッフが熱心に作業する工場の片隅で、装備や部品が取り除かれ、車内が空っぽになった車両を発見。そう、キャンピングカー作りのスタートだ。
バンコンの製造行程「内装」編
内装作業のチームは、あらかじめ電装や空調の配線、水回りの配管がセットされた家具類を車内に入れて組み付け作業を行なっている。
まずはパーツ取り外しからスタート
工場にピカピカの新車が届いたら、大胆に内張りや空調などの装備を取りはずし、「素」の状態にして架装がはじまる。
基礎配線などをカスタマイズ!
必要な設備を機能させるべく、配線図をもとに細心の注意を払い車内の随所に配線を巡らせる。
専用の家具をひとつひとつ設置
あらかじめシンクなどを取り付けておいた家具ユニットをひとつひとつ組み付ける。
微調整
家具類が装着された後にシート台座をセット。シートは一番最後に取り付けられる。
最終確認
すべての組み付け作業の終了後、パーツやシステムなどの動作確認を念入りに行なう。
バンコンの製造行程「外装」編
外装は繊維強化プラスチック樹脂と呼ばれる素材を使い、ルーフや出窓などのパーツを製造。その後、パーツを研磨し塗装していく。
繊維強化プラスチックで屋根や窓作り
屋根の型にスプレーアップという技法でガラス繊維を細かく裁断しつつ、樹脂と硬化剤を同時に塗布。
断熱施工
型抜きした屋根は綺麗に整えて塗装。その後、断熱施行し、天井テント部の帆布、照明を取り付ける。
屋根をカット
別の場所では専門の工具で屋根がカットされている。
別ラインでは新車の屋根をエアハンマーと呼ばれる工具で大胆にカット。匠の腕の見せどころだ。専用工具により、鉄粉が抑えられ、火花も出ずにきれいに切除されていく。その後、ルーフに台座がセットされ、写真のようにポップアップルーフを装着。
ポップアップルーフを設置
天井部分に照明類の配線、断熱材やテント生地などを取り付けてからポップアップルーフ用の台座を被せて固定金具で接続する。
窓の取り付け
光を多く取り込めるオリジナルの出窓が取り付けられ、外装のほうはでき上がり。
完成!
多くのスタッフと、数々の工程を経て完成したキャンピングカーは納車を待っているオーナーへ向けて送り出される。
「『夢のクルマ』を作っているという自負があるからこそ、こだわりや楽しさが生まれるんです」(酒井さん)
楽しいクルマ旅を叶えてくれるキャンピングカーは、作業スタッフたちの熱いハートで作られているのだ。
ホワイトハウスとは?
1988年に開業。軽自動車からミドルクラスのワンボックスベースのキャンピングカーの製造を得意とし、ポップアップルーフモデルの製造台数は日本一。家具の美しさや、内装の使い勝手の良さにファンも多い。
愛知県愛知郡東郷町和合字北蚊谷29-1 オートプラネット名古屋1F
0561(37)5336
https://www.whitehousecamper.com/
※構成・撮影/伴 隆之 撮影/益田和久
(BE-PAL 2022年5月号より)