大自然の宝庫ニュージーランドでアウトドアというと、「山」を想像される方も多いと思いますが、海岸沿いのビーチや湖畔沿いのビーチなどで日光浴やウォータースポーツを楽しむアウトドアの過ごし方も人気です。ニュージーランド人は自分たちのことを国鳥である「キウイ」と呼んでいます。今回のアウトドア英語は南半球の美しい島国のキウイイングリッシュの言い回しをご紹介します。
南半球に位置するニュージーランドは紫外線が強く、皮膚がんの一種である「Melanoma(メラノーマ)」を発症する人が世界一(年によってはオーストラリアが一位)多い国です。日本語では「悪性黒色腫」と訳されるメラノーマは癌の進行が早く、肺や肝臓など他の臓器にも転移することもあります。多い原因のひとつとして、「アウトドア好きなライフスタイル」があげられていますが、クオリティ・オブ・ライフ(人生の質)を重視するキウイは、だからといってやめません。そのかわり、「アウトドア(特にビーチ)に行くときのルール(4つのキーワード)」があります。そのキーワードとは?
それは、「Slip, Slop, Slap, Wrap(スリップ、スロップ、スラップ、ラップ)」です。
何それ?
と思われる方も多いと思います。
この写真は北島のワイヒビーチで開催される毎年恒例ニューイヤー(お正月)イベントです。お正月は南半球のニュージーランドでは真夏にあたります。ここにヒントが隠されているかもしれません。
では、この4つのキーワードの意味を一つずつ、クイズ形式で解説していきましょう。
第1問 最初の「Slip」とは辞書によると「着る、滑る、消える」などの意味があります。ここでは何をSlip するのでしょうか?
a)togs (トッグス)
b)rashie(ラッシー)
c)shirt(シャツ)
d)shorts(ショーツ)
↓
↓
↓
↓
↓
【第1問の正解は……】このルール上の言い回しでは「c)shirt(シャツ)」です!
Slip on a shirt シャツを着る
「シャツを着る」ではありますが、着るものとしては「b)rashie (ラッシー)」も正解です。ラッシーとはrash guard(ラッシュガード)のことで、以前はサーファーが海で皮膚を発疹(ラッシュ)から保護(ガード)するために着ていたものですが、今では海で泳ぐときに日焼け防止のために着られています。ニュージーランドのアウトドアウェアにはUPF(Ultraviolet Protection Factor)という紫外線保護指数基準がラベルに表示されているものが多くあります。数値は衣服が紫外線を遮断する効果を数値化したもので、UPF15以上がよいとされています。色は濃い方が紫外線は遮断されます。
「a)togs (トッグス)」は「水着」のことです。UPFは最高50+まであり、水着の場合UPF50+がよいとされています。海に入るときはtogsの上にrashieを着て泳ぐのが一般的です。「d)shorts(ショーツ)」は「短パン」です。
第2問 2番目の「Slop」とは辞書によると「まき散らす、こぼす、あふれ出る」などの意味があります。ここでは何をSlop するのでしょうか?
a)water(ウォーター)
b)sunscreen(サンスクリーン)
c)sunblock lotion(サンブロックローション)
d)tanning oil(タンニングオイル)
↓
↓
↓
↓
↓
【第2問の正解は……】「 b)sunscreen(サンスクリーン)」、「日焼け止め」です。
Slop on some sunscreen 日焼け止めを塗る
「c)sunblock lotion(サンブロックローション)」も「日焼け止めローション」で同じ意味ですが、キウイイングリッシュでは「サンスクリーン」の方がよく使われます。
ニュージーランドの強い紫外線から肌を守るためには最低でもSPF30のものが必要です。SPFとはsun protection factor(サンプロテクションファクター)の略で、紫外線によるサンバーン(急性の炎症、肌が赤くなる日焼け)を防ぐ指標として使われています。晴れの日に限らず曇りの日でも外に出る20分前には全身に塗り、2時間おき、または海から上がってきたら塗り直すよう勧められています。
「d)tanning oil(タンニングオイル)」は逆効果です。「tanning」は日焼けするという意味なので、これでは日焼け予防ではなく、きれいに日焼けしてしまいますね。
第3問 3番目の「Slap」とは辞書によると「ポンと置く、はたく」などの意味があります。ここでは何をSlap するのでしょうか?
a) hat(ハット)
b) towel(タオル)
c)jandal(ジャンダル)
d)goggles(ゴーグル)
↓
↓
↓
↓
↓
【第3問の正解は……】「a) hat(ハット)」、「帽子」です。
Slap on a hat 帽子をかぶる
頭皮から紫外線の吸収を防ぐためには、帽子が効果的です。できればベースボールキャップのようなものよりもツバの広いものであれば、耳と首の日焼けを防ぐこともできます。
「c)jandal(ジャンダル)」は「ビーチサンダル」のことです。
この言葉の由来は実は日本にあります。「Jandal」とは「Japan」と「Sandal」が合わさったもので、Japanese Sandal(ジャパニーズサンダル)を短くしたものです。
1957年に日本を訪れたビジネスマンのモリス・ヨック氏(Morris Yock)は、日本の人々が履いている草履に刺激を受け、息子のアンソニーさんと自宅のガレージでゴム製の草履を作ってみたのが始まりだそうです。日本人としては親しみがわいて、うれしいですね。履きやすいのでビーチだけでなく、職場に履いていく人もいるほど。
第4問 最後の「Wrap」とは辞書によると「包む、覆う、巻く」という意味があります。ここでは何をWrapするのでしょうか?
a)sunnies(サニーズ)
b)towel(タオル)
c)present(プレゼント)
d)summer dress(サマードレス)
↓
↓
↓
↓
↓
【第4問の正解は……】「a) sunnies(サニーズ)」、「サングラス」です。
Wrap on some sunnies サングラスをかけること
「sunnies」とは「sunglasses」(サングラス)のことです。
さてここで文法の問題です。眼鏡の数え方、覚えていますか?
英語で眼鏡を数えるときはa pair of sunglassesと複数形になります。なので サニーではなく、「サニーズ」になります。
目も紫外線によってダメージを受け、白内障などの病気につながります。UVカットが施された大きめ側面の隙間から紫外線が入らない顔にフィットするサングラスをかけることで、目だけでなく目のまわりも紫外線対策に大きく影響されます。
「Slip, Slop, Slap, Wrap」のルールは紫外線から肌を守り、皮膚がんになるのを防ぐものです。小さい頃から習慣づけるため、子ども向け番組で歌になって親しまれています。
みなさんもニュージーランドのビーチに行くときは
Slip on a shirt 長袖のシャツを着ること
Slop on some sunscreen 日焼け止めを塗ること
Slap on a hat 帽子をかぶること
Wrap on some sunnies サングラスをかけること
「Slip, Slop, Slap, Wrap」をお忘れずに!
以上、アウトドアビーチ英語ニュージーランド編でした。次回は「ハイキング」で使うキウイイングリッシュをご紹介します。お楽しみに。