焚き火を楽しむのになくてはならないのが薪です。薪はキャンプ場やホームセンターで購入できますが、焚き火を頻繁にするキャンパーにとっては結構な出費になってしまうこともあります。
その点、流木ならば、タダで拾うことができます。拾った流木を薪のかわりに活用できれば、焚き火の薪代を節約することができます。
今回は、流木の拾える場所と、実際に拾った流木を使った焚き火の様子をお伝えします。
さらに、販売されている広葉樹の薪と流木の燃え具合を比較して、流木を薪のかわりにした場合の使い勝手も検証しました。
そもそも流木とは?
流木とは川や海を漂って流れ着く木のことです。ひとえに流木と言っても、皮が残っていて乾燥が進んでいないものや、表面が腐っているもの、乾燥してカラカラになっているものなど、さまざまな状態のものがあります。
流木はどこで手に入る?
流木が手に入る場所は、主に以下の3か所です。
川
川の上流部は川幅が狭く、ゴツゴツした巨大な岩が点在しています。そういった岩と岩との間に、流木が引っかかっていることがあります。
川の下流部は川幅が広く、主に砂利の川辺が広がっています。川辺を歩いていると、砂利の上にポツンと落ちている流木を発見することができます。
川で最も流木を見かけられる場所は、川が海に流れ込む河口付近です。河口は、上流から流れた土砂や流木が最後に行き着く場所。大雨の降った後には、流れ着いた大量の流木を拾えることがあります。
海岸
海岸では、岩浜よりも砂浜のほうが流木をよく発見できます。台風などの影響で海が荒れた日には、浜辺に大量の流木が漂着することがあります。
拾いに行くのは荒れた日の後の、晴れた日がおすすめです。晴れていても普段より波が高いことがあるので、出かける際はご注意ください。
湖やダム
湖では、湖畔の周りに落ちている流木を発見できます。特に川が流れ込む場所には、流木が多く溜まっています。
意外と穴場なのがダム。ダムには上流から大量の流木が流れ込みます。流木を処理するのにも費用がかかるため、たまった流木を一般に向けて無料配布しているダムもあるほどです。自治体や河川事務所のホームページをチェックしてみるといいでしょう。
流木を拾ってはいけない場所
国定公園や国立公園内では流木を拾うことが禁止されています。公園法により、土砂や動植物の持ち出しが禁じられているからです。
それ以外の河川や海岸、かつ私有地でなければ流木を拾っても問題はありません。
日本の河川や海岸は、基本的には国有財産なので安心です。ただし、流木拾いに夢中になるあまり、私有地に立ち入らないように注意はしておきましょう。私有地のものを勝手に持ってくる行為は犯罪になります。
流木拾いに持っていくと便利な道具
- 長靴や防水ブーツ
- 軍手や皮手袋
- のこぎり
- ケースや籠
流木を探しに行く先は主に水辺です。沢を横切ったり、海岸沿いを歩いたりすることがあります。そのため防水の靴を履いていれば、足が濡れて不快な思いをすることがないでしょう。
また、流木によっては表面がささくれ立っていて、素手で触ると棘が刺さるものがあります。流木は軍手や皮手袋をして拾いましょう。
手で運べないほどの大きさの流木でも、のこぎりがあれば、一部をカットして持ち帰ることができます。
その他、袋や籠があれば、流木を運ぶのに便利です。筆者は両手が使えるという理由から、背負い籠を愛用しています。袋を持って出かけるならば、ビニール袋などは破れやすいのでおすすめできません。帆布などの厚手の生地の袋を用意するのがおすすめです。
燃やすのに適していない流木とは?
流木を探していると、写真のような製材の流木を発見することがあります。製材の流木は角が取れて丸くなっており、一見して板材や角材だったことが見て取れます。
塗料を塗られていた製材が、川や海に流れて流木になった場合、流木の中に塗料が染み込んでいることがあります。
塗料が塗られていた流木は、燃やすと有害な煙が発生することがありますが、表面を見ただけでは、その製材に塗料が塗られていたかの判別はつきません。そのため、製材だとわかる流木は燃やさないようにしましょう。
流木と広葉樹をそれぞれ燃やして焚き比べをしてみた
流木と広葉樹の薪を、それぞれ燃やして焚き比べをしてみます。
広葉樹はだいたい5kgほど、流木は目測で、広葉樹と同じぐらいの量を用意しました。流木の長さは広葉樹の薪に合わせて、だいたい30cmほどにカットしました。
流木を燃やした様子
広葉樹の薪と同じぐらいの太さの流木です。樹皮や表面の柔らかい部分が腐って落ち、パッと見た感じはよく乾燥しています。
着火剤と小枝を使って火をつけましたが、内側に水分を含んでいたので、なかなか火がつきませんでした。火をつけてからも、シューシューと水蒸気を出しながら炎をあまり上げることなく、くすぶって燃えています。写真は着火してから30分後の様子。
こちらが火がついてから50分後の様子。薪に火が回っても、表面から灰になってすぐに崩れていきます。販売されている薪よりも、熾火になっている時間が非常に短く感じました。
ちなみに熾火とは、火をつけた薪の炎が収まり、薪の芯の部分が真っ赤に燃えている状態のことです。熾火は遠赤外線を多く出す炎なので、通常の炎よりも食材の内側に火を通すことができ、調理に向いています。
火ばさみで、流木の位置を変えながら燃やした結果、1時間30分ほどでほとんどが灰になりました。
広葉樹の薪を燃やした様子
こちらがよく乾燥した広葉樹の薪1束、だいたい5kgほどです。
一般的に広葉樹の薪は針葉樹の薪と比べて、密度が高くゆっくりと燃える特徴があります。そのため、広葉樹の薪を使えば、焚き火をゆったりと楽しむことができます。
広葉樹の薪にも、着火剤と小枝を使って火をつけました。写真は燃えはじめてから30分後の様子。薪がところどころ炭になっています。
こちらが火がついてから1時間後の様子。流木と違って水蒸気や煙が少なく、安定したいい炎です。
その後、1時間20分ほどでほとんどが熾火になり、調理するには最適の状態になりました。
2時間20分ほどで、ほとんどが燃えて灰になりました。
結果
流木は様々な状態のものがあるので、一概には言えませんが、流木を薪として使用した場合の特徴は以下になります。
- 流木は熾火の状態の時間が少ない
- 内側に水分を含んでいることがあり、ブスブスと燃える
- 炎が全体に回ると、広葉樹や針葉樹の薪よりも早く灰になる
焚き火調理を楽しむのであれば、広葉樹の薪のほうが熾火の時間が長く、優れていることがわかりました。流木は水辺で見つかる性質上、湿っているものも多いです。湿っているものは火がつきにくいため、焚き付けには向いておりません。ただし、一度火がついてしまうと良く燃えるので、市販の薪と組み合わせて、うまく燃やせば、お金の節約にはなるかと思いました。
皆様もぜひ一度、流木を拾って焚き火に挑戦してみてくださいね。