ナイフの新たな道を切りひらいた“ワンテン”
アメリカが誇る世界的ナイフメーカー、「バック(BUCK)」。
日本でもよく知られているメーカーであり、同社のナイフのなかでとくに有名なモデルがこの「#110 フォールディングハンター」、通称“ワンテン”です。
初めて見る人は「ごく普通のナイフ」と感じるかもしれません。しかしそれは、ある意味で当然のこと。
なぜならこのワンテンは、世界で初めてブレードのロックを搭載した折りたたみ式ナイフ。
言うなれば、ナイフにおけるひとつのスタンダードを作り上げた、あまりにも偉大で有名な存在だからです。
安心・確実な「ロックバック」は“音”も素敵
ワンテン最大の特徴である、ブレードのロック。これは今では「ロックバック」と呼ばれている方式のものです。
現在はさまざまな方式のロックがありますが、なかでもロックバックはハードな使い方にも対応できる堅牢さと、迷わず操作できるシンプルさをあわせ持っています。
ブレードを展開すると「バチンッ」と力強い音が響き、ガッチリとロック。
そのときの動作や音には、クセになるほどの心地よさがあります。それは何度もブレードを出して、仕舞ってを繰り返したくなってしまうほど。
美しさ際立つ素材選びと魅惑的なフォルム
ブレードの素材は「420HC」というステンレスの一種。サビに強くて研ぎやすい、使い勝手のよい素材です。
ブレードの形状も特徴的。先端が鋭い“クリップポイント”は、美しさとともにアグレッシブさを感じさせます。
ハンドルの素材には高級な天然木である黒檀(エボニー)を、そして金属パーツとして真鍮を採用し、非常に魅力的なスタイリングに。
真鍮はステンレスやアルミニウムとくらべ外観に変化が出やすい金属であり、使い込むほどに味わいを増していきます。
この過程自体もまた、ワンテンがもつ魅力のひとつです。
そしてハンドルとブレードが織りなす曲線美にもご注目。
ハンドルの緩やかなカーブが、ブレードのエッジのラインとつながっています。
この有機的ともいえるフォルムこそ、ワンテンがこれほどまで色っぽく見える理由なのかもしれません。
付属のシースまでも上質感にあふれ、美しい仕上がり
本革製のシース(鞘)もまた、単なる“量産品の付属品”というレベルを超えた、ハイクオリティーなものです。
厚くてコシのある革を用いており、縫製から刻印、コバの処理まで丁寧におこなわれています。さらにズボンのベルトに装着するためのループも装備。
そして黒で統一された外観は、ワンテンの美しさをいっそう引き立たたせる仕上がりです。
シースにおさまった状態で真鍮が鈍く輝く姿からは、伊達男の香りがただよってくる気さえします。
安定感のある使い心地はキャンプでも活かされる
ワンテンはもともとハンティング用、つまりは自然のなかでの使用を想定して作られたナイフ。そのためキャンプで使いやすいことも長所です。
重量205gと最近のナイフとくらべると重く、ブレードの厚みは3mmと折りたたみ式ナイフとしては肉厚。
そこにロックバック方式ならではの堅牢さも相まって、不安感がなく、安定した状態で使えます。
もちろん、木の枝を削るくらいの作業であれば、余裕そのもの。刃渡りが9cmほどあり、食材をカットするのにも十分使いやすいナイフです。
人を惹きつける魔力をもったナイフ
機能的かつ堅牢なワンテンは、実用品として非常に魅力的です。
しかしそのような言葉で表現できる魅力だけでなく、人を惹きつける魔力が秘められているとも感じます。
「惹かれてしまう理由は、どこにあるのか?」
それを考える時間さえも楽しいのは、まさにワンテンがもつ魔力によるもの。
この魅惑的であり伊達男的なナイフは、週末のキャンプのみならず、私生活においても大きな存在感を見せつけてくれる存在です。
独特な世界をもち、最高に浸れるナイフ。それがワンテン。「いいナイフが欲しい」という人にとっての、最適解のひとつと言っていいでしょう。