車中泊の快適さは、クルマ選びにかかっている!
好きな場所へ行き、愛車のなかで一晩を過ごす車中泊。セキュリティー面においてテント泊以上に安心感があり、まるで秘密基地のような特別感を楽しめる大人の遊びです。
そして快適な車中泊を実現するためには、クルマ選びが肝心。クルマのリヤシートを倒した状態で、どのような空間を作り出せるかがキーになります。
車中泊で使うクルマを選ぶ際は、以下のポイントを確認しましょう。
まずはフルフラットになるかをチェック!
車中泊を想定して車を選ぶ場合においてはフルフラット、つまりほぼ平らなスペースを作り出せるかどうかがもっとも重要なポイントです。
ラゲッジの後端からリヤシートの背面にかけて、大きな段差や溝がないことを確認しましょう。床がフラットかつ水平だと、なお理想的です。
しかし仮に段差があったり水平でなかったりしても、市販のベッドキットを導入したり、ベッドを自作したりして、快適な就寝スペースを作ることもできます。
十分な奥行き・高さがあるか
快適な車中泊を実現するために、脚を伸ばせるほどの奥行きも欲しいところです。奥行きが足りないと脚に疲れを感じ、よく眠れない可能性があります。
仮に、縦方向に寝た状態で脚を伸ばせなくても、斜めに寝た状態では脚を伸ばせる場合も。奥行きをチェックする際は、斜めの長さも忘れずに確認しておきましょう。
天井も高いほうが快適です。実際に座ってみて、頭上に握りこぶし1個分以上の空間があれば窮屈に感じることはないでしょう。
座椅子やクッションに座りたいのであれば、その厚みの分も計算に入れることを忘れずに。
リヤゲートの開き方にも注意
一般的なクルマのリヤゲートには多くの場合「跳ね上げ式」が採用されていますが、ジムニーなど一部の車種には「横開き式」が採用されています。
それぞれにメリット・デメリットがありますが、車中泊用としてクルマを選ぶのであれば、跳ね上げ式のリヤゲートを搭載しているモデルをおすすめします。
理由は、雨や日差しを遮るための屋根として使えることと、風の影響を受けにくいことの2点。
跳ね上げ式のリヤゲートは全開状態のままガスダンパーの作用によって固定されるため、開けたままでも安心して過ごせます。
コンセントなどの装備もあれば便利
ここまでのポイントをチェックしたうえで、細かな快適装備にも目を向けてみましょう。
コンセントなどの装備が備わっていれば、車中泊がより快適になります。コンセントがあると、たとえば冷温庫やドライヤーなど、車中泊には少し贅沢ともいえる電化製品が使用可能に。
カーバッテリーの消耗に注意しなければなりませんが、車中泊キャンプや車中泊旅において、コンセントは強力な武器になります。
ルームランプの使い勝手も大切
ルームランプの数と位置も、チェックしておきたいポイントです。就寝スペース全体を照らせるようであれば、あとからランタンを持ち込んだり、照明を増設する必要がありません。
「車中泊用のクルマを自分で作り上げたい!」という強い意欲があれば話は別ですが、シンプルに「快適な車中泊がしたい」というのであれば、“自分が手を加える必要がない、あるいは最低限でOK”なクルマを探すほうが簡単です。
以下ではシートを倒すだけでフラットな空間が生まれる、車中泊に適したクルマをご紹介していきます。
車中泊におすすめの車種9選
そのままでも車中泊が快適なクルマは、少数派であり貴重な存在です。そんな貴重な特性をもつクルマたちを、現行モデルのなかから合計9台ピックアップ!
ホンダ N-VAN
(出典URL:https://www.honda.co.jp/news/2018/4181210.html)
独特なシートアレンジにより、軽自動車でありながら奥行き2mを超えるフルフラットなスペースを確保できるのがホンダのN-VAN。軽自動車のなかでは、ダントツで車中泊に向いているモデルです。
長尺物の積載も余裕そのもの。車中泊だけでなく、スノーボード・釣り・サーフィンなどのアクティビティー用としても、非常に優秀です。
トヨタ シエンタ ファンベース
(出典URL:https://global.toyota/jp/newsroom/toyota/32486511.html)
トヨタのシエンタには3列シートと2列シートの2タイプがあり、ファンベースは2列シート。荷室の奥行きが3列シートのモデルより長く、より車中泊向きのモデルといえます。
リヤシートを倒すとほぼフラットなスペースが生まれ、リヤシート背面とラゲッジ底面との隙間さえ埋めれば、十分快適に寝られます。ただし高身長な方は、窮屈に感じる可能性も。
トヨタ カローラツーリング
(出典URL:https://global.toyota/jp/newsroom/toyota/35550585.html)
進化するたびにシャープな印象を増していくカローラシリーズ。なかでもカローラツーリングは、日本の市場では希少となったツーリングワゴンに分類されるモデルです。
若干の段差や傾斜はあるものの十分にフラットなスペースを確保できるほか、ラゲッジ側からレバー操作でリヤシートを倒せる構造も利点。ハイブリッドモデルには、コンセントのオプションも用意されています。
スバル レヴォーグ
(出典URL:https://www.subaru.co.jp/press/news/2021_05_25_9863/)
走りの良さも求めるなら、スバルのレヴォーグも選択肢に入れたいところ。ボクサーエンジンならではの低重心を活かした、シャープな乗り味を楽しめます。
そしてリヤシートを倒すと、ほぼフラットな空間に。ミドルサイズの車としては奥行きも十分にあり、そのままマットを敷くだけで快適な車中泊を実現できます。
マツダ マツダ6ワゴン
(出典URL:https://newsroom.mazda.com/ja/search/?search=マツダ6&tab=tab1&pagenum=1)
走行性能の高さでいうと、マツダ6ワゴンも外せません。車中泊をする場所までの道のりを、最高に爽快な気分で楽しめます。室内のデザインセンスや上質感においても、かなりハイレベル。
リヤシートを倒しただけの状態では少し傾斜ができてしまいますが、奥行きの長さはかなりのもの。傾斜を気にしなければ、高身長な方でも快適に過ごせます。
ホンダ ヴェゼル
(出典URL:https://www.honda.co.jp/news/2021/4210422-vezel.html)
ホンダ車には共通して「センタータンクレイアウト」という独自の構造が採用されており、リヤシートを倒したときにフラットになるのが特徴です。
ヴェゼルも例に漏れず、ほぼ完全なフルフラットになるクルマ。ボディサイズがそれほど大きくないため奥行きもそれなりですが、成人男性でも快適に寝られる車中泊向きのモデルです。
ホンダ ステップワゴン
(出典URL:https://www.honda.co.jp/news/2022/4220107.html)
昔のモデルを思い出させるデザインを採用し、華々しいデビューを果たした新型ステップワゴン。もともと車中泊が快適なクルマとして人気でしたが、今回のモデルもやっぱり車中泊に最適!
3列目のシートを床下に潜り込ませて、2列目のシートを前にスライドさせると、完全にフラットなスペースが生まれる仕様。2列目・3列目のシートをフルリクライニングさせて寝ることもできます。
トヨタ ハイエース
(出典URL:https://global.toyota/jp/newsroom/toyota/37181265.html)
車中泊用のクルマといえば、やっぱりコレ!RVパークやオートキャンプ場でかならずといっていいほど見かける、車中泊に大人気のクルマです。
ベッドキットやカーテンなどの社外パーツが豊富で、最高に快適な空間を誰でも簡単に手に入れることができます。キャンピングカーより取り回しが容易で、普段使いしやすいのもいいところです。
日産 キャラバン マルチベッド
(出典URL:https://global.nissannews.com/ja-JP/releases/release-7ba42cda1d7c84a5f1f521a0d51f3316-210329-01-j)
キャラバン マルチベッドは、日産のグループ企業「オーテック」が作るカスタムカー。アレンジ可能なベッドや取り外し可能なテーブルを備え、車中泊をはじめとしたアウトドアでの使用に特化したモデルです。
そして専用設計のカーテンやクルマと連結するテントなど、オプションも豊富。大人を少年のように変えてしまう、まさに“走る秘密基地”です。
新しい世界を見に行こう!
休日の夜をクルマで過ごし、翌朝まず目にするのは、いつもとはちがった天井。
テント泊より快適で、それでも非日常感は損なわない。それが車中泊のいいところでもあります。
家から離れた場所で泊まるのは、何歳になってもワクワクするもの。
それが自分の好きなクルマで、好きな場所でとなると、楽しさもひとしおです。
興味があるのなら、ぜひ失敗をも楽しむ気持ちで臨んでみてください。
初めての車中泊に挑戦して、目覚めた朝。そこには新しい世界が広がっています。