火星が月に隠される現象を「火星食」といいます。7月21日から翌22日にかけての深夜、大阪以北という地域限定の現象ではありますが、火星食が見られます。今回の火星食は、火星が月の明るい部分から潜入し、下の図のように暗い部分から出現します。
火星が月の影から現れる? 21日深夜の火星食
東京では21日の月の出は23時37分。この1分前の23時36分に火星が月の影に入るので、月に火星が隠れた状態で昇って来ます。月齢は22で、半分くらい欠けた状態です。
22日の0時15分、上の図のように暗いところから火星が姿を現し、1分ほどかけて全貌を現します。月に隠されるのが恒星であれば、点でしかないので一瞬で出現しますが、火星は少し大きさがあるのでじわじわと出てくるのがポイントです。
肉眼でも見えますが、火星食の醍醐味を味わうには双眼鏡か望遠鏡が必要です。火星が少しずつ月の影から出てくるとき、ふだんは赤い点にしか見えない火星の大きさを実感することができるでしょう。
望遠鏡なら100倍以下の低倍率のレンズを使いましょう。倍率が高いほど火星をフレームに捉えるのが難しくなります。何もない部分に望遠鏡を向けないといけないので、かなり高度な技を要します。なるべく低倍率で、月の影の部分の右下方向に望遠鏡を向けましょう。火星の出現を見届けたら、月の欠け際にもレンズを向けてください。ギザギザしたヘリが楽しめます。
各地の火星の隠される時間と出現の、時間は次の通りです。( )は出現時の高度。
札幌 23時43分→0時32分(12度)
仙台 23時38分→0時21分(9度)
東京 地平線下→0時16分(7度)
大阪 地平線下→0時15分(3度)
(参照:アストロアーツ)
いずれの場所でも月が昇ってすぐの現象なので、高度はとても低いです。東方の空が開けた場所で観察してください。
流星群シーズン到来。今年はみずがめ座δ流星群に注目!
7月後半は流星群のシーズンです。7月30日にみずがめ座δ(デルタ)流星群のピーク、8月13日にピークを迎えるペルセウス流星群も7月下旬から流れ始めます。7月30日は月もなく、好条件です。しかも土曜日です。
みずがめ座には5月にも、みずがめ座η(イータ)流星群がありました。7月の流星群は、δ星の近くに放射点があります。みずがめ座自体は暗い星が多く、あまり目立ちませんが、23時くらいになると放射点の高度もだいぶ高くなります。やぎ座のあたりに昇っている土星が目印になるでしょう。このあたりを中心に、なるべく空全体、視野を広く取って眺めてください。空の暗さによりますが、暗い場所なら1時間に10個くらい流れるかもしれません。
同じ時期に、やぎ座のα(アルファ)流星群も到来しています。先述したとおり、ペルセウス流星群も始まるころです。みずがめ座δ流星群とやぎ座α流星群は、ひとつひとつは派手なイベントではありませんが、合わせ技で流星の数はふだんよりも確実に多くなります。ただボーッと夜空を眺めているだけでも、流星に出会うチャンスが高い季節なのです。
町明かりがあると、1時間見ていても1つか2つしか見られないかもしれませんが、それでもふだんよりははるかに高確率のはずです。近くに土星があり、東からは明るい木星も昇ります。31日の1時を回れば火星も出て来ます。惑星を観察していたら、なんかヒュッと流れた! といったことも大いにあり得ます。
午前0時を過ぎる頃には、東の空には早くもペガスス座など秋の星座たちが昇ります。気分だけでもちょっと涼しくなれそうな、みずがめ座δ流星群の夜。
夜ふかしできるなら、蚊対策、夜露対策のうえ、リクライニングチェアにでも座って、ゆるゆると観察してください。たくさん見えなくても当たり前、1つ2つ見えればラッキー、そんなゆるい気分で楽しめるのが、みずがめ座δ流星群のいいところでもあるのです。夏休みの自由課題のテーマにもおすすめです。
構成/佐藤恵菜