1931年創業の「つるや釣具店」オーナーで、釣り歴55年の山城良介さんがフライフィッシングの深くて楽しい世界を案内します。今回は、釣り場に出かける前の楽しみのひとつ、フライフィッシングに使うフライについて語ります。
フライフィッシングに欠かせないフライ
魚を釣るには餌が必要だが、フライフィッシングの場合はフライ(疑似餌)を使う。
フライは羽根、獣毛、化学繊維などを鉤に巻き付けて、魚が餌と錯覚して食いつくように、虫や小魚に似せて作られている。
自然の川には、季節はもちろん、気温や水温、水量、環境によってさまざまな虫が生息している。キャスティングも大切だが、それらの状況を見極め、そこにいる魚が食いつきそうなフライを使わなければ魚は釣れない。
主なフライは4種類
フライは色もサイズも多種多彩で、地味な色合いのものもあれば、水の中でキラキラと光を反射するような派手なものもある。大まかに分けて、フライは次の4種類がある。
ドライ(浮く)
ドライフライは水面に浮いた虫、水面を流れてくる虫を捕食する魚を狙うときに使う。
ビギナーはドライフライを使うのがオススメだ。フライは浮いているので、どこにあるかがよく見えるし、どのような状態で水面を流れていくかもよくわかる。また、そうしたフライの動きを知っておくと、沈むフライを使ったときの参考にもなる。
ウエット(沈む)
ウエットフライは文字通り沈むフライ。
水中深くまで沈むというよりは、水面から少し沈む程度で、水中で虫のような動きをしたり、色やキラメキで魚の気を引く。
ニンフ(水生昆虫の幼虫)
フライフィッシングでメインとなるフライは、水生昆虫と呼ばれる虫を擬したものだ。
ニンフとは水生昆虫の幼虫のことで、この幼虫を模したフライをニンフフライという。
ストリーマー(小魚を模したモノ)
フライの多くは虫に似せて作られているが、湖や池など水生昆虫が少ない場所では、餌として小魚を食べている魚もいる。
このような場所でよく使われるのが、小魚に似せたストリーマーフライだ。
フライは買う? それとも自作する?
ビギナーは、釣りに行く前にフライショップへ行って、スタッフに目的の釣り場情報(渓流、湖、池など)を伝えて、季節と場所に適したフライを購入するといいだろう。
実際に釣りに行くと、フライはどんどんなくなる。魚に取られるだけでなく、形が崩れたり、岩などに引っ掛けてなくなることもある。
そして、何回か釣りをしていると、「自分でフライを作ってみたい」と思うようになる。フライは消耗品なので、材料を買って自作した方が経済的だし、なによりフライを作るのは楽しい。
フライタイイングの道具と材料
フライを巻くことをフライタイイングという。
フライタイイングで最も重要なことは、バランスだ。フライは雑誌や実物を見ながら作ることはできるが、自分では出来の良し悪しは分かりづらい。出来上がったフライをフライショップのスタッフに見てもらって、アドバイスを受けると良いだろう。
手際良く上手く作れるようになると、多くの人がフライタイイングにハマる。作ったフライはフライボックスに収納するが、自作のフライを並べたフライボックスを眺めるのはなかなか楽しいものだ。
道具
フライタイイングを始めるには、バイス(万力)、ニードル、ハサミ、専用の糸(タイイングスレッド)、ボビンホルダー、毛を揃えるスッタカー、スレッダー(糸通し)などの道具と、鳥の羽根や化学繊維などの材料が必要だ。
材料
道具を使ってフライ用の釣り針(フライフック)に羽根や化学繊維などを巻きつけ、水生昆虫のカゲロウや陸生昆虫のアリやコガネムシなどに似たフライを作る。
初心者から上級者まで、それぞれの技術に応じたアイテムから季節に応じた釣り場情報まで丁寧に伝授。