親子で楽しめる自由研究企画を、アメリカからお届け。今回は夏休みに親子でやってみたいサイエンスプロジェクトをご紹介します。エコな調理器具として日本でも注目されているソーラーオーブン(「ソーラークッカー」とも呼ばれる)。実は簡易的なオーブンであれば、子供でも簡単に作れるってご存じですか? たった15分でオーブンが作れて、30分でスモアが完成! まだ子供の自由研究の宿題が終わっていないという方は、親子でぜひ体験してみてくださいね。
作り方簡単!アメリカの学校で行なうSTEMプロジェクト
アメリカの多くの学校で取り入れられているSTEM教育。STEMとは、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Mathematics(数学)の頭文字を取ってできた言葉で、自発性、創造性、判断力、問題解決力を育てるために、工作や実験を元に総合的な学習を行う21世紀型の教育システム。そんなSTEMプログラムの中でも、夏の時期、アメリカの子供たちに人気のプロジェクトが「ソーラーオーブンでスモア作り」。低コストで環境にやさしいテクノロジー、ソーラーオーブンでおやつを作るというサイエンスプロジェクトです。
ソーラーオーブンの仕組みは光沢のある反射板を使って太陽のエネルギーを一か所に集め、オーブン内の温度を上昇させて調理を行うというもの。今回はピザやシューズボックスを使って簡単なオーブンを作ってみましょう。
■材料■
・ピザ、お菓子、靴箱などの段ボール箱(蓋が開け閉めしやすいものがおすすめ)
・黒い紙
・アルミホイル
・ラップ
・文房具(定規、ハサミ、カッター、ペン、のり、セロハンテープ)
・割りばし
・スモアの材料(グラハムクラッカー、チョコレート、マシュマロ)
【作り方】
1:段ボールの箱の蓋の端から2~3cm内側に線を描きカッターでくりぬき、蓋に扉を作る。
2:写真のように、作った扉部分の内側にアルミホイルを張り、扉のフレーム部分にラップを貼り、箱を密閉できるようにする。
※アルミホイルは太陽光を反射させる役目。ラップは内部の熱を密閉する役目。
3:箱の底に黒い紙を敷き、箱の内側、側面にはアルミを貼り付ける。
※黒い紙は直射日光と反射光を吸収し、食品を加熱する役目。
4:アルミの上にスモアの材料を載せ、箱の中に設置し、ラップを張った蓋を閉める。アルミを張った外側の蓋は、太陽光を集められるように角度を調整し、割りばしを使って固定する。
5:太陽の光が当たる場所に設置する。直射日光が当たるところに置くのがおすすめ。
マシュマロとチョコレートがとろーり♪スモアが完成!
直射日光を利用し、ソーラーオーブンを加熱し始めます。今回は外気温34度でオーブン内の温度の変化と食材の温度の変化を調べてみました。
【10分後】オーブン内:48度C
【20分後】オーブン内:59度C
【30分後】オーブン内:66度C
【40分後】オーブン内:68度C
【50分後】オーブン内:69度C
【60分後】オーブン内:72度C
スモアを2個オーブン内に設置。10分後にはチョコレートが溶け出し、20分後にはマシュマロも溶け始めました。1個目のスモアを30分後に取り出し、グラハムクラッカーで挟んだところ、完全にとろ~り。おいしいスモアが完成。2個目は60分後に取り出しましたが、出来上がりは1個目とそれほど変わりませんでした。
庫内温度は70度Cまで上昇!ピザトーストも完成!パンの温め直しも!
ソーラーオーブンは太陽エネルギーを使用して食品を調理したり、水を低温殺菌したり、器具を滅菌することに役立つといわれています。今回は手持ちの段ボール製箱とアルミホイルを使って簡易的なスタイルのオーブンを作ったので、加熱力はそれほど強くありませんでしたが、保温、温め直しには十分。ちなみにアルミ板などをパラボラ状にしたり、箱の中に断熱材を入れるなどの工夫をしていけば、煮込み料理ができるくらい強い加熱力を得ることもできるようです。太陽の位置や気温に左右されやすいため、ソーラーオーブンを利用するなら快晴で気温が高い日のお昼前後がおすすめですよ。