「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する」ことを趣旨とし、8月11日は「山の日」と制定されている。だが山の日がこの日付であることに明確な由来はあるかといえば、特にないとのこと。夏が登山のハイシーズンであるのは間違いないところだが、その常識もコロナ禍をきっかけに変化する可能性があるようだ。
2021年は登山ピークが3回到来
昭文社ホールディングスと昭文社では、コロナ禍前後の登山者の行動と意識変化の実態を把握するべく、昭文社運営の「山と高原地図」および、「山と高原地図ホーダイ」(サブスク版)のアプリ利用状況とユーザーアンケートの調査・分析結果を公開している。こちらで2019年4月16日から直近2022年7月15日における「山と高原地図」アプリのアクティブユーザー数(各日の直前30日平均)の推移をグラフにまとめたのが以下の通りだ。
コロナ前の2019年をみると、利用状況のピークは5月と8月。だがコロナの影響を大きくうけた翌年の2020年をみると、5月のアクティブユーザーが大幅に減少していることが判明した。ちなみに2020年5月は全国を対象に緊急事態宣言が発動されており、登山客が減少するのは当然といえるだろう。その後感染者数が多少落ち着いた8月から徐々に回復し、GoToトラベルキャンペーンなども相まって10月頃に秋ピークを迎えたと分析される。
そして翌年2021年、例年通り5月と8月にピークを迎えているものの、10月にもハイシーズン並みの「秋ピーク」到来している。特に「山と高原地図ホーダイ」アプリ(サブスク版)では春山・夏山のピークと比較すると「秋ピーク」の傾向がより顕著となっているのだ。
「槍ヶ岳・穂高岳」「八ヶ岳」「北岳・甲斐駒」の人気に揺るぎなし
続いて2022年4月16日~7月15日における「山と高原地図」アプリ全61エリアの総ダウンロード数に占める、各エリアの割合を計算した。結果は以下の通りとなっている。
TOP3は「槍ヶ岳・穂高岳」「八ヶ岳」「北岳・甲斐駒」の3エリアに集中。これはコロナ禍前のの「山と高原地図」アプリ(地図単品購入版)のダウンロード数でも同じ傾向が見られており、「槍ヶ岳・穂高岳」「八ヶ岳」「北岳・甲斐駒」はコロナ禍を経ても安定した人気を誇っているようだ。ちなみにこの3エリアの人気の高さは、アプリに留まらず、紙地図の方でも群を抜いているという。
今回の調査により、これまでになかった登山客における秋ピークの出現など、コロナ禍をきっかけに日本の登山動向は少しずつ変化が生じている可能性が垣間見えた。秋は紅葉などが楽しめる一方、夏よりも台風や悪天が多く、日照時間も短いなどの違いもある。夏とは違う万全な準備で挑みたい。