地球が凍りついた氷河期から2万年、厳しい自然環境を生き抜き、進化し、環境に適応して子孫を残す。野生動物には、私たちが思い及ばないような知恵がある…気がする。
仕事や恋愛のこと、アウトドアの裏技にいたるまで、動物の生態を知ると、なにかいいことあるかも!?
映画『ネイチャー』『アマゾン大冒険』『シーズンズ 2万年の地球旅行』等、300作品以上の自然系映画の監修を手掛ける新宅広二先生に、動物に学ぶ人生の知恵をいろいろ教えてもらいました。
1. チームプレイはオオカミに学べ!
Q: 狩りが上手な動物はイヌ科? ネコ科?
新宅「動体視力や瞬発力はネコ科が優れていますが、狩りの成功率は集団で動くイヌ科のほうが圧倒的に上。
たとえばオオカミは血縁者中心に4~8頭の群れで狩りをします。
彼らは縄張りを知り尽くし、石ころひとつの位置が変わるだけで二度とそこを通らなくなったりする。頭に空間マップがあって、用心深いのです。狩りも、“あの崖で仕留める”等、ゴールをあらかじめ決めて連係プレイでします」
Q:どうやって作戦会議を?
新宅「そこは… 阿吽(あうん)の呼吸、経験です。乳離れした子は狩りへ同行し、仲間と絆を深めて技術を学びます。走れないやつは獲物の風上に立って存在を気づかせるだけとか、新参は群れを大きく見せる演出に使われるだけとか、適材適所で役割分担も戦略的なんです」
Q:下剋上はよくある?
新宅「若いオスが群れを出て、自分の群れをつくることが多いです。その途中のやつが〝一匹狼〟に見える。でも単独だと狩りも難しく、再び群れに戻る〝出戻り〟もいます」
Q:出戻った一匹狼の末路は?
新宅「群れは厳格な順位制なので、ものすごく下っ端に逆戻り。リーダーの事故死などで地位が戻ることもありますけど」