思い立ったら「家」になる、夢のようなクルマを発明しちゃったスゴイ人がいる。ベース車両は、軽トラック。開発したのは元・大手自動車メーカーのエンジニア。こういうキャンピングカーを見ると、ニッポンのものづくりの底力って、やっぱり侮れないと思うんですよね!
軽トラDIYというには本格的すぎる「居住部拡張型」軽キャンパー
ある日、編集部に1通の手紙が届いた。なんでも「キャンプから災害時、はたまた移動販売までマルチに使える『軽トラ用のキャンピングシェル』を開発したので、ぜひ見にきてほしい」とのことだ。
同封されている写真を見ると……な、なんじゃ、これは!!
さっそく栃木県日光市へ向かった。
制作者は元大手自動車メーカーの設計開発者
この多目的シェルを作ったのは、約30年にわたって大手自動車メーカーで設計や開発、商品企画業務を行なっていたという小太刀さん。在職中から思い描いていた構想を、じつに2年の歳月を費やして実現したのだとか。
軽トラの荷台を手で引っぱるだけで「家」に変身!
「特徴は、なんといっても2つの箱を重ねることによって実現した《回転拡張型シェル構造》です。この部分は世界初の機構として実用新案特許を取得しました」(小太刀さん)
車検もラクラク!これが世界初「回転拡張型シェル構造」だ
シェル部分は軽トラックの荷台に載せるだけの着脱式。荷物扱いなので、車検の際は取り外してしまえば普通の軽トラックとして車検を通すことができる。
車中泊ものびのび!北海道旅行や日本一周にも便利
「現状は試作品に近いものですが、私や甥っ子が乗って、実際に北海道などの旅でも使用しました。いつ、どこでも横になって寝られるスペースがあるというのはやはり便利ですね」(小太刀さん)
災害時にもこんな軽キャンパーがあったら心強い
「熊本地震の際、現地を訪れたら、被災された方から『これがあれば避難時に助かったのに』といわれました。地方では、軽トラックを所有する世帯も多いので、もしもの備えとしても有用だと思ってます。今後は、現状140㎏ほどの本体重量を軽くすることが目標です」(小太刀さん)
いざというときに避難するシェルターになるというのはなんとも心強い。しかも移動式なんだから。
キャンプや山登りはもちろん、温泉めぐりやフェスに出かけるときに、こんな軽トラキャンピングカーがあったらすごく便利そうだ。田舎に土地を借りて毎週末このキャンピングシェルで通ったりして、そのうち日本一周とかできたら楽しそうだなぁ……。
思い立ったらどこでも「家」になる夢のような軽トラ・キャンピングカー。こんなクルマを発明しちゃったというのは、やはりすごいことではないでしょうか?
■問い合わせ先/グリングローブ 電話:0288(27)3500
※構成/佐藤旅宇 撮影/高柳 健 初出『BE-PAL』2017年 9月号