【前編】では、kanekoさんの幼少期のお話、音楽との出会いをお伺いしました。後編では、近年の活躍について。そしてデビューアルバムのお話をしていただきます。
日本だけでなく、アジアでの活動に可能性を感じています
———覆面アーティストAmPmとの楽曲がSpotifyで1000万回を超える再生回数を記録していますが、世界への発信というのは最初から考えていたのでしょうか。
Kaneko AmPmとの楽曲は、世界への発信をしようと彼らから提案を受けたのもあります。歌詞も英語ですし、日本の流れにも合わせなくていいという考えのもとに作っています。僕も日本で流行っているものに無理に合わせる必要がないとは思っていますね。
———結果、90%以上が海外での視聴というのがすごいですよね。インドネシアで開催されたフェスに出演されたときは、すごく盛り上がったそうですね。
Kaneko ありがたいことに、みなさんが大合唱してくださるぐらいの盛り上がりで! もう自分がジャスティン・ビーバーになったような気持ちになりましたよ(笑)。インドネシアでライブをしてみて、アジアでの活動に可能性を感じました。日本って、国内だけで確立されているイメージがあって、ある意味鎖国していると思うんですよね。なかなか外に出にくい部分がある。一方で、アメリカやオーストラリアは、まだまだ白人社会だからそこで上を目指していくのは厳しい。ハリウッドにアジア人が出るようになったりして、少しは変わっているとは思いますけどね。それでもアジア人にとってはハードルが高いと思います。でも、その流れを変えたいという思いもあって。それにアジアはすごくいい環境ではないかと思いました。
———インドネシアの音楽は、あまり馴染みがないのですが、どんな音楽が流行っているのですか?
Kaneko フェスには、アメリカのバンドがトリで出演していました。韓国の人気バンドも出ていて、あとは現地のアイドル的な人が。どのアーティストもレベルがめちゃくちゃ高い! 歌もうまいですしね。日本のJ-POPは独特なサウンドだけど、インドネシアはアメリカの音楽っぽさがあると思いました。英語で歌っている曲もあったし、インドネシアの人も英語がペラペラですしね。
———インドネシアも洋楽に影響を受けている人が多いんですね。Kanekoさんが影響を受けたのもやはり、洋楽アーティストですか?
Kaneko 僕はジョン・メイヤーという人がいたから、曲を作り始めたし、彼の音楽に出会わなかったら、音楽をやっていなかったと思います。
———ジョン・メイヤーの音楽に出会ったきっかけを教えてください。
Kaneko 高校1年生のときに、YouTubeで出会いました。最初、エリック・クラプトンのバックでギターを弾いている彼を見たんですよ。それでギターがうまいなと思って、いろいろと検索したらギタリストじゃなくて、シンガーソングライターだと知りました。それで僕も歌いたいと思うようになったんです。だから、僕もシンガーだけどギターがないと違和感があるんですよね。シンガーっていわれるよりも、ギタリスト、いややっぱりシンガーソングライターがしっくりくるかな。自分は歌だけではないって思っているんです。
エレキギターで引っ張っていくような曲をやっていきたい!
———ご自分の曲を作るときと、CMやドラマに向けて曲を作るときでは、制作の仕方に違いはありますか?
Kaneko 自分の曲を作るときには、ギターから入ります。アコギ1本で、コード進行をいくつか鳴らして、そしてメロディをつけていく。鼻歌でできたメロディを携帯やパソコンに録音してメモしておくんですよ。そういうメモをたくさん残して、曲を作ろうって思ったときに、そのメモを繋げていきながら1曲に仕上げます。ドラマやCMの曲は、こういうテンポの曲が欲しいとリクエストをいただくので、それに合わせてパソコンでトラックを作って、そこにドラムやビートを合わせていきます。最近は、トラックから作るのに慣れてきて、自分の曲でもその手法を使うときも増えてきました。
———歌詞はどんなときに浮かびますか?
Kaneko 歌詞は、メロディができてから最後に書きますね。僕の歌詞ってけっこうドロドロな歌詞が多いんですよ(笑)。
———え! メロディがハッピーなイメージがあるので、なんとなく歌詞もハッピーな曲が多いように感じていました。
Kaneko 歌詞が浮かぶときって、マイナスな気持ちのときしか浮かばないというか。歌詞にすることで自分を上げている部分があるのかもしれません。
———それはすごく意外でした! 今回のデビューアルバムは、何かテーマはあるんでしょうか。
Kaneko テーマはとくにないんですが、今まで6年ぐらい活動してきた僕の総まとめという感じですね。リード曲の「Lost In This City」は5年ぐらい前に書いた曲だし、去年作った曲も入っています。リード曲のようなスタイルの曲はもう作らないだろうなとも思っているんですよね。
———この6年の間に何か変わるできごとがあったんですか?
Kaneko シンガーソングライターとして成長したというのが大きいかな。あとは自分が好きな音楽のテイストも変わったんだと思います。ジョン・メイヤーっぽさから、今はインディーバンド系が気になっていたり。アコギからエレキで引っ張っていく曲がやりたいと思うようになったいたりね。アコギだけでやっていたのは、ひとりで演奏するしかなかったからなんですが、今はサポートで入ってくれる人がついてくれたのも大きな変化ですね。パソコンでドラムやベース、ストリングスを取り入れられるようになって、曲調が変わってきていたんだとも思います。自分のライブはフルバンドでやらせてもらえるようになったし、この活動は続けていきたいです。もちろん弾き語りのよさもあると思っているから、両方でツアーをやれたらいいですね。
負けず嫌いだから、今は音楽に集中していたい
———曲作りをしていて、気分転換とかしますか?
Kaneko ランニングですかね。朝起きて、汗をかいて、全部出すって感じです。もともと体育会系だから、体を動かすのは好きなんですよ。大学生のときはカヌーもやっていて、アウトリガーカヌーって知っていますか? 6人乗りの大きいやつなんですが、世界大会に出たこともあるんですよ。モロカイ島からオアフ島まで漕ぐレースで、6時間ぐらいかな。
———すごい! めちゃくちゃアウトドア派じゃないですか!
Kaneko 父親が葉山でカヌークラブをやっていて、カリフォルニアにいたころは、サーフィンもしていましたしね。スポーツは見るのもやるのも大好きです。
———今は、カヌーはやらないんですか?
Kaneko 僕、負けず嫌いなんで、やり始めたら、すごい夢中になっちゃうんですよ(笑)。だから今は音楽に集中したいので、やらないと決めています。
———ストイックなんですね。
Kaneko そんなこともないですよ。ランニングも、お酒と食べるのが好きだから体型維持のためもあるし(笑)。
———日本食もお好きですか?
Kaneko 好きですよ! アメリカにいた頃から、母親が日本食を作ってくれっていたので、納豆も好きですしね。納豆は1日3パック食べてもいいぐらい好き! 最近、納豆に生卵の黄身だけ入れて、ツナとネギを混ぜて食べるのにハマっているんです。ネバネバ系が好きなんですよね。オクラとか。
———意外な食生活ですね(笑)。自炊もされるんですね。
Kaneko 僕、家が大好きなので、昼ごはんを食べるために家に帰って、また出たりします。料理も30分以内で作れるものですけど、けっこうしていますよ。自分で食べたいものが食べられるし、面倒くさいって思ったことはないですね。
———男性なのに面倒くさいって思わないなんて、すばらしいです! 得意料理があれば知りたいです!
Kaneko うーん。カレーの炒めものとか(笑)。いわゆる男飯です。でも、確実においしいと言えます!
Michael Kaneko
『Westbound EP』
2017年10月25日(水)
¥1,200(+tax)
<収録曲>
1. Lost In This City
2.Flooded
3.Separate Seasons
4.Cracks In The Ceiling
5.It Takes Two
刈谷 Cafe Nation
open 18:00 / start 19:00
adv. ¥3,000 (+drink) / adv. ¥3,500 (+drink)
shinsaibashi SUNHALL
open 17:00 / start 17:30
adv. ¥3,400 (+drink)
Kan Sano / 七尾旅人 / Michael Kaneko / 中村佳穂
Westbound EP Release Party
2017年11月24日(金)
open 19:00 / start 19:45
adv. ¥3,300 (+drink ¥600) / door ¥4,000 (+drink ¥600)
2017年12月8日(金)
open 19:00 / start 20:00
adv. ¥2,500 (+drink) / door ¥3,000 (+drink)
2017年12月9日(土)
大名 brick
adv. ¥2,000 (+drink) / door ¥2,500 (+drink)
2017年12月10日(日)
Ohana Cafe
adv. ¥2,500 (+drink) / door ¥3,000 (+drink)
Michael kaneko(まいける・かねこ)
湘南生まれ、南カリフォルニア育ちの日本人シンガソングライター。アルバムリリース前にもかかわらず フジロックフェスティバル、GREENROOM FESTIVAL、サマーソニック、朝霧JAM、TAICO CLUB、GLASSY MUSICなどのフェスに多数出演し、話題に。また、Panasonic、TOYOTA、Nissanといった大手企業のCM曲を手がけている。2017年にはドラマ『僕たちがやりました』(フジテレビ系)の劇伴を担当。各方面で活動の幅を広げている。http://michaelkaneko.com
文=中山夏美 撮影=関口佳代