もう2か月も前になってしまいますが、2016年8月12日に王舟さんと井手健介さんのツーマンライブ「はじめてふたりで」に行ってきました。
石神井公園駅近くにある「自然派ワイン食堂 クラクラ」の開店2周年記念のイベントで、店主が“いまいちばん見たいアーティスト”を呼んだんだそうです。なんて、ステキなセンス!
b*pでお世話になっているおふたりが登場とあれば、行かないわけにいきません。興奮してお店に予約のメールをしたわけであります。
会場となった「クラクラ」は、自然派ワインと農家直送の野菜をメインしたカフェバル。ワイン以外にも、各地の地ビールが楽しめます。この日は、カレーや簡単なおつまみしか提供されていませんでしたが、壁に書かれたメニューがどれも魅力的で、生唾を飲み込んだのは、言うまでもありません。
ビールを頼んで、席に座り、しばらくして、まず井手さんが登場。
「やりたい曲をやりたいだけやります」と宣言した彼は、たしかにとっても自由。ギターと、たまにチリンとなる鈴の音。この日は、まだ暑い日で夜になっても気温が下がらなかったけど、鈴の音が涼しさを連れてきてくれました。
井手さんの良さは、やっぱりシニカルな歌詞。見た目は、おっとりしていて、癒やしの天才のようなのに、流れてくる音もオーガニックなゆるさがあるのに、よくよく聞いていると、シュールで笑ってしまう。歌い終わりに「王舟です」って言っちゃう感じが、井手さんの良さなんだと思います。
岡村靖幸の「だいすき」のカヴァーや、カーペンターズの「イエスタデイ・ワンス・モア」を和訳で歌ったり、その世界観は、独特で変わっていて、共感もしにくいけど、なぜか心地いい。表情ひとつ変えずに淡々と歌いつづける井手さんから、なぜか目が離せない。
途中、怖い話を挟んで、会場は笑いに包まれました。
約1時間のライブのラストは、「青い山賊」。
こんなステキな曲を作っているのだから、なんか井手さんって、ズルいですね。
しばしの休憩を挟んで、お次は、王舟さんです。
カヴァー曲からスタートしたライブ。先日聞いたときは、バンド編成だったけど、アコギもいい。王舟さんの良さがギュっと詰まっている気がします。こんなこと言っては、井手さんに失礼かもしれないのですが、なんか落ち着いてライブが見られる。安心して曲に浸れる、そんな気持ちになります。
電気グルーヴの「虹」のカヴァーは、もちろん本家のテクノ感のある演奏も好きですが、王舟さんの歌声でしっとりと聞く、虹がまた最高で。王舟さんの手にかかれば、ダンスミュージックも、落ち着いた日の1曲になるんですよね。
王舟さんがカヴァーしたtenniscoats(テニスコーツ)の「光輪」は、私的にはヒットでした。
何かの魔法にかかったような気持ちよさ。
王舟さんの声も、アコギのゆったりしたテンポも、すべてが沁みてくる。王舟さんだからこその演奏だと思いました。
「Picture」で、さらに気持ちよくなって、最後の「Thailand」を聞いていたら、なんだか感動して泣きそうになっちゃいました。
なんでだろう。思いが溢れちゃって。
アンコールでは、おふたりが登場。
井手さんの代表曲「青い山賊」を、ふたりで歌ってくれました。不思議と井手さんのシニカルさが消えていて、王舟さんの優しい雰囲気に飲み込まれたような演奏に。先ほどとは違った、まったく新しい「青い山賊」を聴いたたような気がします。
私にとって最高のふたりが揃った、ツーマンは夏の思い出になりました。
帰り道、駅で一緒に行った人とは別れたのですが、なぜかこのまま帰りたくなくて、地元の駅に戻ってから、追加酒。呼び出した友人にライブの良さをとくとくと伝えながら、深夜まで飲み明かしました。
寒くなってきた今日このごろ、なぜかこの日のことを思い出すと、ちょっとセンチメンタルな気持ちになります。
【b*pライブ探検部 #6】
・クラクラ開店2周年記念 王舟×井手健介 初ツーマンライブ「はじめてふたりで」
・とき:2016年8月12日(金)
・ところ:自然派ワイン食堂クラクラ(東京・石神井公園)
・出演:王舟、井手健介
◎この日の探検部キャプテン&文=中山夏美 撮影=山口こすも