持続可能な社会を確立するためには、私たちひとりひとりが生き方を見つめ直し、心地よくて環境に優しい取り組みを追求することが必要です。
自然とのつながりを体感できる取り組みをしているキャンプ場で、日々の暮らしを見つめ直してみませんか? 今回はエシカルライフを体解した、素敵なキャンプ場を3か所ご紹介します。
林業会社が運営!テーマはサステイナブル×林業×ライフスタイル
長野県・美鈴湖もりの国オートキャンプ場
キャンプがポピュラーになるにつれ、多様なスタイルが生まれているが、ベースにあるのは、「自然の恵みを五感で味わい、野外生活に適応する能力を身につける」こと。そんなキャンプ本来の楽しみ方を提案するキャンプ場のひとつが、長野県松本市にある「美鈴湖もりの国オートキャンプ場」だ。
運営をするのは、“信州・松本平の豊かな風景をつくる”ことを使命とする地元の柳沢林業。パワフルに会社をけん引する原薫社長にお話をうかがった。
柳沢林業代表取締役 原 薫さん
「日本の木の文化、自然と共生するあり方を継承し、木を使う社会を作りたい。その思いで様々な活動をしていますが、キャンプ場運営もそのひとつです」
理想とする社会の実現に向けて、原社長が具体的に動きだしたのは10年ほど前。借りていた里山の土地の整備のため、イベント的に、伐倒した松を馬で搬出したのが契機だったという。
「地域の人も、退職後に活動できる場所を求めていたという事情もあり、いっしょに里山再生に取り組むことになりました。今ではワークショップをしたり、DIYをしたり、みんなが集う場所になっています」
その後、クラウドファンディングで資金を集め、ばんえい競馬の引退馬「ヤマト」を迎え入れ、農業にも着手。ヤマトは馬耕に馬搬と、大活躍している。
「山、田、畑はつながっています。山だけを相手にしていては、林業は成立しないことに気づかされました。切り出した木をどうするのか、山につながる里山や田畑をどう管理するか……、出口を作って、地域全体を循環させることが大切なんです」
キャンプ場の売店では松本発の「ZANE ARTS」のアイテムや地元のお酒なども紹介。地域企業のアンテナショップとしての役割も果たしている。また、今年から林業体験やヤマトの乗馬体験プランも提供。街に住む人が、山とのつながりを意識できるよう、取り組んでいる。
キャンプ場MAP
01 林業者が地域の街をデザイン
02 馬耕を復活!
03 自社で米作りをスタート
03 山林の整備&保全
薪が充実!
山の恵みが極上の日本酒に!
美鈴湖もりの国オートキャンプ場
住所:長野県松本市三才山1871
電話:0263(46)9990
営業時間:4月~11月
HP:https://misuzuko.net/
今春にOPEN!
非電化工房のアイテムを無料で利用できる!
栃木県・非電化工房キャンプ場
発明家・藤村靖之さんの私設テーマパーク『非電化工房』内に今春から登場。「"エネルギーとお金に依存しないで得られる豊かさ=自然の恵みで生きる喜び"を提案してきましたが、このことはアウトドア派には当たり前のこと……と気づき、キャンプ場を開設しました」。宿泊者はアウトドアで使える非電化製品を無料で借りられる。テントサイトはグループ、ソロあわせて10区画。自然の恵みを感じながら静かに過ごしたい人にオススメだ。
ツリーハウス
ストローベイルハウス
非電化アイテムで調理体験!
非電化冷蔵庫
コンポスト
ソーラークッカー
非電化工房キャンプ場
住所:栃木県那須郡那須町寺子丙2783-22
電話:070-8493-7743
営業時間:4月上旬~11月下旬
HP:http://www.hidenka.net/camp/
ソーラー発電、バイオガス……、完全オフグリッドを目指して奮闘中!
熊本県・ritacamp aso
サステイナブルライフの入口となるアイテムを提案している「ritacamp」が、今秋、熊本県阿蘇市の草原地帯に完全オフグリッドのプライベートキャンプ場をオープン(紹介制)。場内の電気は100%ソーラー発電で、バイオガストイレも導入。排泄物がガスに変わり、料理に利用できるようになる。ほかにも利用者がシェアできる畑など、自然にも人にも優しい場所づくりを目指している。
※詳細はritacamp公式サイトをご覧ください。
※構成/松村由美子 撮影/中村文隆(美鈴湖もりの国オートキャンプ場) イラスト提供/柳沢林業
(BE-PAL 2022年9月号より)