スペックの高さと手頃な価格が魅力のアウトドアブランド・スナグパック。寝袋は世界各地の軍隊が採用していることでも知られ、日本でも根強い人気がある。今季も続々と新商品が登場するなか、注目の寝袋を2点ピックアップ。実際に使ってみたので、その魅力をご紹介する。
2枚が1つでセットの日本スペシャルモデル
最初に紹介するのは、アウターとインナーの2枚がセットになったお得な寝袋。サイズは長さ220cm、幅80cm、周囲160cmのゆったり目の封筒型で、日本代理店であるビッグウイングが本国に特別に依頼して完成した別注モデルである。
アウターには撥水性のある生地、インナーには通気性、吸汗速乾性のある生地をそれぞれ採用し、寝袋に必要な要素を取り入れている。ベージュとカーキというミリタリーライクなカラーリングも洒落ている。
また、ファスナーをすべて開ければ上を開けられるため、1枚生地にすることが可能。地面が冷たいときは、下に敷いてラグ代わりに使えるため、寝袋以外の使い方ができるのは嬉しい。
中綿は両方とも化繊を採用し、水に強いシリコーン加工を施した中空繊維を使っている。化繊の中綿は水に触れてもダウンのように縮むことがないため、保温性を損なわず安心して寝られるのが特徴だが、そこにさらにコーティングを施しているので雨の日の安心だ。
中空繊維とは、糸の中を空洞にすることで暖かい空気を逃さず、セットで使うと快適温度はマイナス12度Cと寒い季節でも寝られるようになる。
ちなみに、下限温度はセットで使うとマイナス17度C。単体で使うと、アウターのみは快適温度は3度C、インナーのみは快適温度はマイナス2度Cとなっており、後者のほうが中綿が多めに入っていることから使用季節は長い。
寒さを防ぐ細かい機能はもちろん、暑い日にはどちらか1枚でも十分寝られることから、場面に応じて使い分けられるのは嬉しい。それでいて価格は16,500円であるのは、筆者としてはかなり手頃だと感じた。
ユーザーに合わせて形を変えられる新システム
次に紹介するのは、同ブランドの中でコスパに優れたモデルと位置付けるシリーズの新作。サイズは長さ220cm、身幅75cm、周囲150cmのマミー型で、マットからあふれるほど長めに設計されたモデルである。
快適温度はマイナス10度Cで、下限温度はマイナス15度Cで3シーズン対応。なお、この下にマイナス5度C対応のエリート3と、マイナス15度C対応のエリート5がある。
先ほど紹介した「ベースキャンプ スリープシステム」はキャンプやレジャーで使うことを想定した軽量のポリエステル生地だが、こちらは軍規格としてより強度の高いナイロン生地を使っている。もちろん耐久性だけでなく、防風性や撥水性も備わっているため、過酷な環境で使用しても快適に寝られるようになっている。
同商品は、寝袋に大事なショルダーウォーマーやドローコードは備わっており、それ以外に生地の内側には宇宙服でも採用されているメタル特殊繊維を配し、体の熱を反射して暖かい空気を逃さない機能もある。
同商品の一番の特徴は、エクスパンダ・パネルシステム。これはファスナーやフックで寝袋自体のサイズを変えることで、体との密着度を変えられる独自のスリーピングシステムである。
これには2種類があり、1つ目は横のファスナー。タイト目に締めると、寝袋内のコールドスポットが減り、保温性が向上。一方ゆったり目に締めると、身幅が広くなって寝返りが打ちやすくなる。
その日の天候に合わせて、寒ければタイト目に、そこまで熱くなければゆったり目にして保温性を調整できるので、これ1枚でおおむね年間通して使えるのが魅力である。
さらに、裾を折り返してフックを固定すればショートスタイルに変えることができ、身長の低い人が使うことで足先にコールドスポットをなくし、足が寒くなりにくくなる。
このように、エクスパンダ・パネルシステムはオプションを買わなくてもユーザーに合わせた使い方ができるのだ。
肝心の収納サイズは?
気になる収納サイズだが、ダウン内蔵の寝袋と比べたらやや大きい。「ベースキャンプ スリープシステム」は直径30×長さ50cmで、重量は3.2kg。「ソフティー エリート4」は直径24×長さ28cmで、重量は1.95kg。2枚がセットになった前者のほうが直径も長さも大きく、重量も倍近く。とはいえ、後者もダウンの寝袋と比べたらサイズも重量も大きいため、どちらも荷物を小さくして持ち運びたい人にとってはやや不向き。
ただ、収納袋にはコンプレッションストラップが付いており、寝袋を入れたあとにギュッと締めれば多少コンパクトになるので、それで微調整するのがいいだろう。
実際に現場で使ってみた感想
今回この2点は別々の場所で使ってみた。まず「ソフティー エリート4」はBE-PAL FOREST CAMPで使用し、夜には10度Cくらいまで気温が下がるPICA 八ヶ岳明野で寝てみたところ、タイト目スタイルはやや窮屈で個人的には寝にくく、ゆったり目スタイルがちょうどいいと感じた。
早朝の冷え込みはほぼ感じず、半袖短パンで熟睡することができた。ただ、長さがあるためか足がテントに当たるのを何度か感じ、結露が寝袋につかないか心配になることは多々あった。また、タイト目スタイルは体型によっては窮屈すぎて入らないかもしれないため、できれば購入前にお店でチェックしたほうがいいだろう。
一方「ベースキャンプ スリープシステム」は、急な悪天候によりテントで寝ることができず、バンガローで使ってみた。このサイズなので、ファミリー向けの大型テントで使うのがおすすめ。
封筒型の利点が生かされ、寝返りは打ちやすく、腕を少し広げて寝られたのはよかった。また、二重にすることで外からの冷気はほぼ感じず、朝まで熟睡。さらに、犬が途中で寝袋に入ってきても窮屈に感じなかったのは嬉しかった。
気になったのは、寝返りを何回か打つとインナーがズレてしまい、最大限の広さを活かせなかったこと。少し傾斜のある場所で寝たら、インナーと体がずるずると落ちてしまわないか心配だ。また、収納サイズはどうしても大きくなるため、筆者がいつも就寝時に必要なものをまとめているコンテナには入らず、単体で持っていくことになった。
使い方は違えど3シーズン快適に過ごせる2モデル
「ベースキャンプ スリープシステム」と「ソフティーエリート4」。デザインと性能は異なるが、快適に寝られる機能やマイナス温度まで対応できる暖かさは、これからもまだまだ使えるおすすめの寝袋。徐々に店頭に並び始める予定のため、収納サイズや素材感が気になる人はぜひ触れて確認してみよう。
商品概要
「ベースキャンプ スリープシステム」
価格:¥16,500
サイズ:【セット】展開時/長さ220×周囲160cm、収納時/直径30×長さ50cm
重量:3,2kg
快適使用温度:マイナス12度C
【外側のみ】展開時/長さ220×周囲160cm
重量:1.4kg
快適使用温度:3度C
【内側のみ】展開時/長さ220×周囲154cm
重量:1.75kg
快適使用温度:マイナス2度C
https://bigwing.shop/products/152581218
「ソフティーエリート4」
価格:¥24,200
サイズ:展開時/長さ220×周囲150cm ※開放時175cm、収納時/直径24×長さ28cm
重量:1.95kg
快適使用温度:マイナス10度C
https://bigwing.shop/products/152581196