【その先のアパラチアン・トレイルへVol.6】
ガスペ岬からモントサントニピエリまで
朝早くに起きて、準備をする。日差しは暖かかった。
このホステルから、スタート地点のガスペ岬までは約16キロほどあります。ヒッチハイクしようにも車が少なく、フォロリオン国立公園に入ることから、道路を歩くことにしました。
思ったはいいものの、沿岸部のアップダウンのある舗装路歩きに、しばし心が折れる…。
時折見える海、なだらかな山。悪くはないが、パンパンに詰め込んだ食料が肩に重くのしかかります。そういえば、今回は忙しさにかまけて全くトレーニングをしていなかったな…。無理はしないで歩こうと思うのに、どうしても無理して歩いちゃうのは、久々のトレイルだったからかもしれません。
観光客が少しづつ増えていきますが、ハイカーの姿は全くありません。すれ違うデイハイカーとも「ボンジュール」とあいさつを交わすだけ。時々話しかけられてもほぼフランス語で、会話も続かず、反射的に「ハロー」と言っても返事は帰ってきませんでした。
どこかで聞いた話ですが、フランス人は英語が分かっていてもフランス語で話す人が多いそうです。でも、カナダのケベック州の人々は本当に英語が話せない人が多いのかもしれません。
やがて、ガスペ岬まで3キロ程の駐車場に辿り着き、歩きやすいダートロードを進むと、赤いライトハウスと灯台が見えてきました。
そう、ここがインターナショナル・アパラチアン・トレイルの北のターミナルです。
灯台から少し離れたところに、「アパラチアン・トレイルクラブ」のプレートと「インターナショナル・アパラチアン・トレイル」のプレートや地図が並んでいるのが見えました。
ここから始まるのか。どんな道のりなのだろうか。
そんなことを考えながら、歩き出しました。
最初の補給地までは、ガスペ岬からのフォリヨン国立公園エリア、ガスペコーストエリア、アッパーガスペエリアと3つのエリアを通過します。
〇フォリヨン国立公園
国立公園らしく、いわゆるトレイルの道が広がっています。デイハイカーというよりも、観光客が多く、いわゆる観光地から離れると、人の姿は全くありませんでした。
キャンプ場が点在していて、時折美しい海岸線も見える景色でしたが、トレイル上では熊の糞を見かけることも多くありました。
〇ガスペコーストエリア
このエリアに入ると、まさにアパラチアントレイルというような、小さな里山の苦しいアップダウンが続いていきます。やがて道は、舗装路や潮の満ち引きによって通過できない海岸線のルートに入っていきます。さながら、テアラロア(ニュージーランドのトレイル)のようで、ハイカーにとって苦しい道のりになります。
フォリヨン国立公園を過ぎると、ダートロードはATV(四輪バギー)のルートと一緒の事も多く、このダートロードの一部は、フランス人がガスペ岬に東側から入植し、切り開かれた歴史ある道だそうです。
時折現れるトレイルの道のりは、ことごとく急な斜面の登アパラチアン・トレイルを思い浮かべるような道のりです。
そして、密集している森では、テントを張れる場所を探すのが難しい状況が続きます。
気候は湿度が高い割に水場も少なく、アメリカ東部と似ていて雨も多い。天候により気温差も多く、いったん雨が降ると夏でも寒いそんな印象でした。