キャンプなどで寝袋を使うとき、小柄な人は既製品のサイズが長すぎると感じることはありませんか?
今回は身長153cmの筆者が悩みを解決すべく、ポーランドのアウトドアメーカー「キュムラス(Cumulus)」の寝袋をカスタムオーダーしてみたのでレポートします。
これから寝袋を購入する人にとっては、選択肢のひとつとなるかもしれません。ぜひ参考にしてください。
足先で、もたつく寝袋をなんとかしたい!身長153cmにぴったりの寝袋探しを開始
身長153cmの筆者がかかえる寝袋の悩み
既製品の寝袋はサイズが決まっているので、小柄な人は先端が余って当然だと思っていました。しかし、使うたびに深まる疑問が・・・。
- 足先がなかなか暖まらないのは無駄に長いからではないか?
- 長さを切り詰めればもっと軽量かつコンパクトになるのではないか?
- 足先でもたつくダウンがほかに回れば、同じ重量でも体の周りがもっと温かくなるのではないか?
就寝時に使う寝袋は翌朝の活力に影響します。とくに冷える季節は、いかに暖かく過ごすかがカギ。寝袋は重要なギアです。
そこで、自分の身長にフィットした寝袋を探すことにしました。
寝袋のサイズ展開はメーカーにより異なる
寝袋によってはショートサイズや女性用サイズなどが展開されていますが、国内で入手可能なものは種類が限られます。また、対応身長はいずれも165〜170cm前後で、筆者の身長を考えると、まだまだ切り詰められそうです。あきらめず、海外メーカーにも網を広げさらなるリサーチを続けました。
ポーランド発「キュムラス」の寝袋の長さはXS〜XLの5種類
そこで見つけたのが、軽量な寝袋やジャケットなどダウン製品を得意とするキュムラスです。寝袋の特徴は以下の通り。
- 寝袋は極寒仕様のものからウルトラライト系までラインナップが豊富
- ダウンの寝袋だけでも10種類以上あり、いずれもカスタムオーダー可能
- 気になる寝袋のサイズは、身長にあわせてXSからXLまで5種類も!
これで「自分の身長に合う寝袋を作る」という夢に一歩近づけそうです。
X-LITEシリーズは900FPの超軽量モデル
今回は、気温-5度C前後の冬キャンプや、冬の低山での使用を想定。また、徒歩キャンプや登山に備え軽量でコンパクトになるものをチョイス。
結果として、900FPのポーランド産グースダウンを使用した「X-LITE400」というモデルをベースにカスタマイズすることにしました。FP(フィルパワー)とはダウンの「かさ高性」をあらわす単位で、数値が大きいほどより軽くより温かく、収納時はコンパクトになります。
「X-LITE400」の基本的なスペックは次の通りです。
「X-LITE400」の標準仕様(Mサイズ、適用身長165〜183cm)
- 総重量:575g
- ダウン重量:400g
- ダウンの品質:900FP(ポーランド産グースダウン)
- 快適使用温度:-1度C
- 限界使用温度:-7度C
- 極限温度:-24度C
- 付属品:スタッフサック、ストレージサック
公式サイトは英語表記。希望にあわせてカスタマイズ開始!
キュムラスの公式サイトは英語表記で一瞬とまどいますが、翻訳サイトなどを使えばだいたい理解できます。
公式サイトのトップページから「Sleeping Bags」(寝袋)→「Down」(ダウン)の順に進んでいき、目当ての寝袋を選びます。
最初は標準モデルが表示されるので、画面右下の「Customize」(調整する)という青色のマークをクリックしてオーダー開始!
必要なスペックに応じて内容を選択していくと、左のサイドバーに快適温度・下限温度、総重量、ダウン重量、金額などが表示されるのがポイント。予算をにらみながら、納得がいくまで何度もシミュレートできます。スペックごとに選び方のコツやポイントが記載されているので参考になりました。
組み合わせは無限大?カスタマイズできるパーツは8カ所
以下にどのような選択ができるのか、ざっと紹介します。
[ ]内は公式サイトでの英語表記。
- 長さ[Length]
身長にあわせて5段階 - 幅[Width]
標準、+10cm、+22cmを選択 - ダウンのタイプ・量[Down]
通常のダウン、または、撥水ダウンを選択。量は10g単位で指定 - 生地の種類・色[Fabrics]
生地はPertex Quantum(29g、53g)、Pertex Quantum Pro(36g、44g)、東レエアータスティック(19g)から選択。色数は選択する生地により異なる。最多で9色。表面、裏面についてそれぞれ選択 - 生地変更のオプション[Quantum Pro]
フットボックス外側、フード内側と外側は撥水性の高いPertex Quantum Proに変更可能 - ダウンの充填バランス[Filling]
前面と背面のダウン配分を選択 - ダウンの追加[Additional overfill]
前面、背面、フード、フットボックスそれぞれに追加可能 - ファスナー(YKK製)の長さと位置[Length of the zipper]
ファスナーの有無、幅と長さ、左右どちら側につけるかを選択
自分専用の寝袋が完成した!
筆者は身長に合わせて一番小さなXSサイズ(身長160cm以下)を選び、ダウンを最大限増量。生地やジッパーの選び方によってはさらに軽量化もできそうでしたが、扱いやすさを考え以下の仕様でオーダーしました。
<筆者カスタムオーダーの仕様>
- サイズ:XS
- 総重量:755 g
- ダウン重量:510 g(前面50g、フットボックス20g追加含む)
- 生地:表面Pertex Quantum 29g(Aurora Red)、裏面Pertex Quantum 29g(Golden Flame)
- ジッパー:5mm幅、フルサイズ、右側
- 快適温度:-2度C、下限温度-9度C
気になる金額は上記の仕様で、寝袋本体475ユーロ(2022年現在)でした。その他、送料、関税などが必要です。撥水性の高いダウンや生地も選べるので、予算に余裕があればもっと高機能にすることもできます。
初めて手にしたマイ寝袋は感動のジャストフィット!
待つこと約1カ月。ついにマイ寝袋を手にする日が来ました。体を入れてみると、頭部から足先までほどよいゆとりで収まります。もたついて邪魔になる感じはありません。これで、寝袋が長くて足先が余ってしまう問題は無事解決しました!
生地の触り心地もよく、寝袋を広げてしばらくたつと、ダウンが空気を含んでふかふかに。900FPのダウンの底力をまざまざと見せつけられました。きんと冷えた空気の中で、もふっとした寝袋に包まれる心地よさといったら!もう、最高の気分です。
スタッフサックに詰め込むと、きゅっと小さくなるのもうれしいポイント。荷物はコンパクトがいいに越したことはありません。
こんな人におすすめ!
今回の経験を通して、キュムラス/X-LITE400のカスタムオーダーはこんな人におすすめします。
- 身長・体格に合った寝袋が欲しい
- 軽量コンパクトで温かいものを使いたい
- 多少値段が高くなっても納得のいくものが欲しい
- ほかの人と差別化を図りたい
- 寝袋を使用するまでに1ヵ月以上余裕がある
- 海外サイトでのショッピングに抵抗がない
また、海外サイトに個人で直接オーダーする場合、クレームや返品などが発生した場合、すべてご自身が現地語でやりとりする必要があります。そのあたりのリスクを理解したうえで利用してください。
いかがでしょうか?カスタムオーダーといえどキュムラスの寝袋は選択肢が多く、オリジナル性の高いものになります。あれやこれやと考えるのもまた楽しいひととき。じっくり検討して自分にぴったりフィットする寝袋を見つけてくださいね。
キュムラス公式サイト https://cumulus.equipment/intl_en/