キャンプの大敵と言えばズバリ!風です。
強風の日には、「ポールが折れてしまった」「テントが裂けてしまった」といった悲しい出来事が起きてしまう可能性も。しかし、事前にしっかりと対策をしておけば防げる災難はたくさんあります。
本記事では、風に関する基本情報をクイズ形式で解説したあと、風が吹く日のテント設営のポイントと、最低限の対策について解説します。風が吹く日も安心してキャンプを楽しみたい人は、ぜひ参考にしてください。
風が少ないのは高原サイトと林間サイト、どちら?
答え:林間サイト
風が少ないのは林間サイトです。
林の中は木々が風を受け流してくれるため、強風が吹いていても、林間サイトでは影響をほとんど受けない場合があります。
強風の日には、開けたサイトよりも林間サイトのほうが快適に過ごせるでしょう。
逆に、高原サイトは強風の影響を強く受けることがあるので注意が必要です。
高原サイトは山間の広い場所や、山の真下に位置しています。山の間を風が吹き抜けたり、高い山から風が吹き降ろしたりするため、急な突風が吹くこともあります。
高原サイトでは風をさえぎるものが少ないため、テントを張る際には風対策が必須です。
ちなみに、海沿いのサイトも開けた場所が多く、風をさえぎるものがないため注意が必要です。陸と海の温度差により、海から強い風が吹くことがあるので、高原サイト同様に風対策は必須です。
テントの入り口は風下、風上、どちらがいい?
答え:風下
テントの入り口は風下にするのが正解です。テントの入り口を風上にしてしまうと、入り口から風が入り込んで、テントを巻き上げ、最悪の場合はテントが吹き飛ぶことがあります。
キャンプ場に到着したら、テントを設営する前に、風向きを注意深く観察しましょう。
どの方向にテントを張ればいいのか解らない場合は、キャンプ場を運営しているスタッフに尋ねるのもいいでしょう。
スタッフはその土地を熟知しているので、「季節によって風が吹が吹きやすい方向」や「風が弱い場所」などのアドバイスをもらえる場合もありますよ。
ただし、風向きは1日の中で変わることがあります。設営した後に風向きが変わってしまった場合は、車を風上に移動するなどして、対策をしましょう。
「ワンポールテントはドームテントよりも風に強い」〇?×?
答え:△
「ワンポールテントは風に強い」と聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?
実は、どちらとも言えないのです。
ちなみに、ワンポールテントとはテントの真ん中にポールを1本建てて設営する円錐形のテントのこと。
円錐形の形状が風を受け流すと思われているのですが、ワンポールテントは背が高いことが多いので風に強いとは言いきれません。
強風時には1本のみのポールに風圧がかかり、ポールが折れてテントが倒壊してしまう恐れがあります。
一方のドームテントですが、特に大人数に対応する大きなテントの場合は風を受ける面が広くなってしまうため、風の影響を大きく受けてしまいます。
ここまで聞くと、「じゃあどのようなテントが風に一番強いの?」ということになりますよね。風の影響を受けにくいテントの特徴は以下になります。
風の影響を受けにくいテント
・背が低く小さいもの
背が低く小さいテントは風を受ける面が少ないため、風の影響を受けにくいです。山岳用の小型テントなどがこれに当たります。
・ポールの本数が多いもの
テントの中には、通常のテントよりポールの本数を多くして強度を上げているテントがあります。そのようなテントも、風の影響を受けにくいでしょう。
写真のテントはトンネル型の2ルームテントです。一般的にトンネル型の2ルームテントは、横からポールを3〜4本通し、アーチ状にして設営しますが、こちらのテントは縦方向にも3本のポールを使用しているので、強度が非常に強くなっています。
・ポールがエアー式のもの
ポールがエアー式になっているテントは、風に対して抵抗力のあるテントです。
このタイプはチューブに空気を入れ、ポールのかわりとしてテントを設営します。強風による飛来物がチューブに当たった場合にはパンクしてしまう恐れがありますが、強風が吹いてもテントがしなるだけで、アルミのポールのように折れる心配がありません。
風が吹く日のテント設営のポイント
さて、ここからは風が吹いている日のテント設営のポイントについて説明していきます。
風が吹く日には、テントが風にあおられてバタついてしまい、なかなか上手く設営ができません。さらにテントが壊れないように、普段よりも入念に設営する必要もあるため大変です。
1人での設営は避ける
風が吹く日には、1人でのテント設営はできるだけ避けましょう。
急な突風でテントがあおられて余計な力がかかり、テントが破損してしまう恐れがあります。
家族や友人がいるには、テントが風で浮き上がらないように支えてもらいながら設営しましょう。
風上をペグで仮止めする
風が吹く日には、テントの幕を広げらたら、すぐに風上側を2~3か所ペグで仮止めしておきましょう。
仮止めすることで設営中に幕が飛ばされないので、作業がはかどります。
しっかりとしたペグを使用する
風が吹く日にはテントやタープがあおられてペグが抜けてしまい、テントが飛ばされたり、倒壊したりすることがあります。
30cm以上の長さのある頑丈なペグを使用して、テントをがっちりと地面に固定しましょう。ペグは全体のほとんどが地面に埋まり、頭が2~3cmほど地面から出るぐらいまでしっかりと打ち込んでくださいね。
使用するペグは鍛造(たんぞう)ペグがおすすめです。鍛造ペグはアルミのペグと比べて強度が高いため、風にあおられても、ペグが曲がってしまう心配がありません。
30cm以上の長さがあれば、地面の深くまで打ち込むことができるため、固定力が非常に高くなります。
ガイラインはきっちりと固定する
ガイラインとは、テントを固定する張り綱のことです。
風のない穏やかな日でも、テントに付属している全てのガイラインは、ペグで打ち込んで地面に固定しておきましょう。設営のときに風が吹いていなくても、後々風が吹くこともあるからです。
固定した後には、付属している自在金具をガイラインがピンと張るまで締めましょう。
また、ガイラインを固定する際、ペグを2本使用すれば、風の力を分散しよりがっちりと地面に固定することができるので、お試しくださいね。
安心なキャンプを行うための対策
最後に、風の日に安心なキャンプを行うための最低限の対策について説明します。
焚き火には細心の注意を払う
風が吹いている日に焚き火を行う場合、テントから十分な距離を取った風下のエリアで行うようにしましょう。
風上で焚き火を行うと、風で火の粉がテントに飛び、火事になる危険性があります。周りのキャンパーのことも十分配慮し、他のテントからも十分な距離をとった場所で焚き火をしましょう。
また、焚き火から離れた際に、座っていた椅子が倒れて火事になるケースもあります。焚き火からは極力離れずに過ごしましょう。
さらに、焚き火に薪を多くくべると炎が高く上がるため危険です。くべる薪は必要最低限にし、炎を小さく抑えて焚き火を楽しみましょう。
風速が10メートル以上ある場合には焚き火台自体が吹き飛ばされる可能性があるため、大変危険です。焚き火は潔くあきらめましょう。
寝る前にテント周りを確認する
風が吹いている場合には、寝る前にテント周りの確認を行いましょう。確認する内容は以下になります。
- ガイラインやペグは抜けていないか?
- ガイラインの自在金具は緩んでいないか?
- 焚き火は消えているか?
- テントの周りに飛んでしまいそうな荷物は無いか?
ガイラインの自在金具は風で緩むことがあります。寝る前に全ての自在金具を締めなおすようにしましょう。
焚き火の火の粉や荷物があたりに飛ぶと、自分だけでなく他のキャンパーを巻き込んだ事故につながります。寝る前に焚き火はしっかりと鎮火させ、飛んでいきそうな荷物はテントや車の中にしまいましょう。
防寒対策をしっかりと行う
風を受けると体感温度が下がります。風が吹く日には普段よりもしっかりと服を着こんで防寒し、体調を壊さないように注意しましょう。
風対策を万全にしてキャンプを楽しもう
風が吹く日のキャンプは、油断していると大きな事故に巻き込まれることもあります。風対策は万全にしておきましょう。
また、風速10メートルを超えるような強風の日に、キャンプを強行するのはやめておきましょう。日を改めて穏やかな日に、無理なくキャンプを楽しんでくださいね。