ベガ、デネブ、カペラ。北極星を狙う北の空の1等星たちの競演をお楽しみあれ
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    2022.11.19

    ベガ、デネブ、カペラ。北極星を狙う北の空の1等星たちの競演をお楽しみあれ

    11月下旬でも、西の空を飾る夏の大三角形

    北の空も華やかで楽しい季節です。日没後の西の空には、はくちょう座の1等星デネブ、こと座の1等星ベガ、わし座の1等星アルタイルによる夏の大三角形が見られます。日暮れの早さを実感しますね。

    20時にもなると東の方向にぎょしゃ座のカペラが輝いています。しばらくカペラとデネブ、ベガが同じ空に滞留しているのです。

    天の北極にある星が北極星で、こぐま座の2等星です。そして天の北極にいちばん近い1等星が、ぎょしゃ座のカペラです。

    北海道の稚内まで行くと、カペラは一年中、空を周回しています。2番目に天の北極に近いのが、はくちょう座のデネブ。緯度でいうと、カペラは天の赤道から46度台、デネブは45度台なので、僅差でカペラの勝ちです。さらに、こと座のベガが38度と続きます。

    北海道・稚内の11月下旬の北の空。カペラは一年中、北の空のどこかにかかり、デネブもギリギリ地平線上をかすめる。(画像:ステラナビゲータ/アストロアーツ)

    もし稚内の岬で、水蒸気の少ない最高に条件のいい夜だったら、水平線上ギリギリのところにデネブが見えるかもしれません。白鳥が水を飲んでいるのか、あるいは溺れかけているのか……どう見えるでしょうか。

    12000年後にベガが北極星になる

    現在、地球の地軸(自転軸)は北極星(こぐま座α星ポラリス)の方向に傾いています。約23.4度です。こまの首振り運動のように、地軸の方向は時とともにどんどん変わっていきます。下の図のように、弧を描きながら移動するのです。これを歳差運動といいます。現在はたまたま、こぐま座α星の方向に向いているというわけです。

    今後、地軸はケフェウス座の方向に移動していきます。8000年後には、はくちょう座デネブの近くになるので、デネブが北極星と呼ばれるようになるでしょう。そして12000年後には、こと座のベガが北極星になります。

     ベガは現在、全天で4番目に明るい1等星です。シリウス(おおいぬ座)、カノープス(りゅうこつ座、本州からは見にくい)、アルクトゥールス(うしかい座)につづきます。そんな明るい星が一年中、北の空にかかっているのですから、今とはずいぶん印象が違うことでしょう。

    11月20日20時の東京の空。西にはくちょう座、こと座、東にぎょしゃ座。夏と冬の星座が同居中。(画像:ステラナビゲータ/アストロアーツ)

    デネブが北極星になる前に、地軸方向はケフェウス座の中を通っていきます。あまり明るい星がありませんが、どの星が北極星と呼ばれるようになるでしょうか。また、1等星の中でも明るいカペラですが、残念ながら北極星になる日はやって来ません……歳差運動は26000年で一周します(また現在のこぐま座α星に戻る)。というわけで、北極星26000年の宇宙の旅を空想してみるのも楽しい北の空です。

    構成/佐藤恵菜

    私がガイドしました!
    星空案内人
    廣瀬匠
    星空案内人 天文系ライター。株式会社アストロアーツで天文ニュースの編集などに携わる。天文学の歴史も研究していて、パリ第7大学で古代インドの天文学を 扱った論文で博士号を取得。星のソムリエ®の資格を持つ案内人でもある。アストロアーツより、2023年の天文現象の見どころと楽しみ方をまとめた『アストロガイド 星空年鑑2023』が好評発売中。

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