そろそろ冬の気配が漂ってきました。今年こそスキー!と意気込んでいる方も多いのでは?
日本でもおなじみのウィンタースポーツですが、使われる用語はドイツ語に関連するものが少なくありません。
そこで今回は、よく使う用語の中から正しい表現と意味をクイズ形式でご紹介します。
第1問:スキー場で、滑降用に雪が慣らされた斜面をドイツ語で何という?
a)ゲレンデ (Gelände)
b)ピステ (Piste)
c)シーピステ(Skipiste)
d)スロープ (Slope)
【第1問の正解は……】
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「b)ピステ (Piste)」と「c)シーピステ(Skipiste)」です!
フランス語でゲレンデや滑空路のことをを「ピスト(Piste)」と言いますが、これをドイツ語読みした「ピステ」が、スキー場の斜面のことを指します。ドイツ語では「Ski」もしくは「Schi」と書いて「シー」と読むので、「シーピステ」も正解となります。
日本では「ゲレンデ」という言葉が使われますが、ドイツ語で「ゲレンデ」は、一般的な敷地や地形という意味で、スキー場を指すわけではありません。Skigelände(シーゲレンデ)と言った場合には、山や高原全体の広大なスキーエリアを指しますが、実際に滑る斜面に対しては使われません。
第2問:スキーを滑る時に手に持つ棒のことをドイツ語で何という?
a)ストック (Stock)
b)シュトック (Stock)
c)ステッキ (Stick)
d)ポール (Pole)
【第2問の正解は……】
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「b)シュトック (Stock)」です!
日本語ではストックと言いますが、これはドイツ語のシュトック(Stock)のSの音が間違って定着してしまったもの。もちろん前の問題と同じく、「Skistock(シーシュトック)」ということもできます。
英語では地域によって呼び名が異なり、スキーポール(Ski Pole)、ポール(Pole、北アメリカ)、スティック(Stick、イギリス)、ストック(Stock、オーストラリア)などがあるようです。
ちなみに、1910年に日本にスキーを導入したオーストリア人レルヒ少佐(後に中佐)は、最初に指導を行った新潟県の雪質と斜面の特徴から、一本の長い棒を体の前で斜めに持って、カーブやブレーキに使用するスキー術を教えました。
第3問:スキー板をハの字にして滑る滑り方をドイツ語で何という?
a)ボーゲン (Bogen)
b)Vシェイプ (V Shape)
c)プルーク (Pluk)
d)プフルーク (Pflug)
【第3問の正解は……】
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「d)プフルーク (Pflug)」です!
日本では、ハの字の滑り方は「ボーゲン」と呼ばれることが多いですね。これは「プルークボーゲン」の省略形ですが、「ボーゲン」単独だと「弓」もしくは「弓なりに滑る」という意味になり、カーブを描いて滑っていれば、ハの字でも、パラレルでも「ボーゲン」ということになってしまいます。
「プルークボーゲン」の「プルーク」の部分が実は重要で、これはもともとドイツ語で「プフルーク(Pflug)」でした。「プフルーク(Pflug)」とは、本来農業で使われた「種まき前に土壌を耕す農具」で、持ち手がハの字をしています。
つまり「プルークの形で(=ハの字で)」「ボーゲンする(=カーブを描いて滑る)」の両方がそろって初めて、正しい滑り方というわけですね。
ちなみに英語でこの滑り方は、農機具と同じく「プラウ(Plough)」と呼びますが、Plowというスペリングで「プラウ」と読ませる場合もあります。またV-Shapeという表現も使われます。
第4問:スキー板で滑った後に付く滑り跡のことをドイツ語で何という?
a)シュプール (Spur)
b)バックライン (Backline)
c)トラック (Track)
d)シーバーン (Skibahn)
【第4問の正解は……】
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「a)シュプール (Spur)」です!
「シュプール」は、ドイツ語がそのまま日本語で使われていますので、現地でも通じます。ただ、オーストリアでの読み方は「シュプーア」に近くなります。
また、「シュプール (Spur)」は、スキーの滑った跡だけではなく、車のタイヤの跡や、足跡など、「あとに残された通った跡」でしたら何でも使うことができる便利な単語です。
英語では選択肢の「c)トラック (Track)」もしくは「スキートラック(Skitrack)」が正解となります。
以上、オーストリアのアルプスでも使える、「スキー用語」のドイツ語でした。
2004年からオーストリア在住。世界45カ国以上を訪れ、国際機関勤務を経て、現在はネットショップ経営の傍ら、オーストリアの自然や文化、歴史関連記事を寄稿&提供。ラジオ出演や歴史監修も。掲載、出演媒体は『るるぶ』(JTB出版社)、阪急交通社、サライ.jp、『音楽の友』、NHKちきゅうラジオ等。3児の母で、趣味はスキー、ハイキング、古城めぐり。世界100ヵ国以上の現地在住日本人ライターの組織「海外書き人クラブ」(https://www.kaigaikakibito.com/)会員