毎度おなじみのバーベキューもいいけれど、たまにはひと味違うつまみで酒を楽しみたいもの。ここではビールに合う絶品つまみをご紹介。教えてくれるのは、フードデザイナーのモコメシさんです!
教えてくれた人
フードデザイナー モコメシさん
野外で飲む酒はひときわ旨い。楽しく美味しく飲むには、どんなつまみが向いているだろう。
「家族や友人に振る舞うだけじゃなく、自分も早く飲みたいですから(笑)。そんなに手間をかけずにつくれる、シンプルなつまみが一番だと思います」
とは、近ごろ家族で行くキャンプの楽しさに目覚めたというフードデザイナーのモコメシさん。シンプルかつヒネリの効いた、絶品のキャンプつまみを教えてくれた。
「ポイントはたった一つでいいので、香りの肝となるスパイスやハーブをきかせたり、旨みの濃い素材をプラスすることです」
たとえば、水餃子のタネにはクミンを、鯖缶を使ったポテサラにはローズマリーをきかせる。はたまた、あさり蒸しには旨みたっぷりの塩辛を加えたり、焼きなすに旨みの塊のような生ハムを巻いたり。そうすることで、手軽にぐっと深みが増すつまみに仕上がり、酒との相性も一気に高まるという。
「キャンプでは炭をおこす人も多いですよね。炭の香り、こんがりした焼き目も調味料のうち。肉でも野菜でも、焼く料理はきっちり焼き色をつけると、素材の美味しさが際立ちますよ」
香ばしいにおいに釣られて酒がますます進むこと請け合いだ。この秋はひと味違うつまみをつくってのんびり過ごそう!
for BEER
シュワッと弾けるビールには肉料理が合い、スパイスともすこぶる相性がいい。そこで、スパイスを効かせた肉料理4品。スパイスはあれこれ入れるのではなく単品使いで、その香りをストレートに楽しむのがモコメシ流だ。スパイスの代わりに、柿の種をトッピングする手も。
トッピングはピリ辛な柿の種!
豚バラ肉のハーブロースト
しっかり焼き色をつけ、仕上げは余熱を利用して肉汁を落ち着かせるのがポイント。
ハーブの香り、柿の種のパンチが効いた複雑な味わい。
材料(つくりやすい分量)
豚バラ肉(ブロック)…400g
ミント(生)…1/2パック
パクチー…4本
にんにく…1/2片
塩…小さじ1弱
黒胡椒…少々
柿の種…適量
作り方
1 豚肉に塩をまぶし、20分ほど置いて味をなじませる。表面に水が浮いてきたらキッチンペーパーでふき取る。
2 ミント、パクチー、にんにくをそれぞれみじん切りにし、黒胡椒とともに混ぜる。これを、豚肉にまんべんなくまぶす。ラップで覆い、1時間置いてマリネする。
3 バーベキューグリルにのせ、一面を10分ずつ、合計40分、中火で焼き、こんがり焼き色をつける。アルミホイルで豚肉を包み、15分ほど余熱で火を入れ、肉汁を落ち着かせる。
4 7㎜幅に切り分けて器に盛る。袋の上からビール瓶などでたたいて砕いた柿の種をのせて完成。
肉が冷たいと、焼く際に中心まで火が入りにくい。マリネしながら外気温に戻しておくのがコツ。
焼き色もご馳走。むやみに触らず、一面ずつじっくり焼き色をつけてから、別の面を焼こう。
クミン×醤油でほんのりスパイシー
牛切り落とし肉のシシカバブ
中東の串焼き料理"シシカバブ"。定番のぶつ切り肉の代わりに、切り落とし肉を使えば味がしみやすい上、火の通りも早くて一石二鳥。
材料(8串分)
牛切り落とし肉…300g
パイナップル(缶詰・小)…1缶
A にんにく(すりおろす)…1/2片
クミンパウダー…小さじ1/4
醤油…小さじ1/2
塩…小さじ1/2
黒胡椒…少々
作り方
1 ボウルにパイナップルの缶詰の汁大さじ2、Aを入れる。牛肉を加え混ぜ、15分ほど置いて味をなじませる。
2 金串に牛肉を1枚ずつ、縫うように刺していく。途中で、一口大に切ったパイナップルを好みの量挟む。
3 焼き網に並べ、ときどき金串を回しながら、中火でこんがりと焼き上げる。仕上げに黒胡椒をふる。
マリネ液のベースに、パイナップルの缶汁を利用することで、甘みと酸味をプラス。
薄切り肉を金串に刺す際は、裁縫の直線縫いをする要領で刺し進める。見栄え良くまとまる。
爽やかに香ってしっとりジューシー!
ほっとくゆで鶏
余熱でしっとり仕上げるゆで鶏だ。サルサソースで後味はさっぱり。代わりに胡麻油+刻みねぎで超簡単に仕上げても。
材料(つくりやすい分量)
鶏もも肉…1枚(約300g)
水…400㎖
塩…小さじ1弱
パクチー…適量
〈サルサソース〉
トマト…(小)1個
にんにく…1/4片
ブラックマスタードシード…小さじ1/2
カレーリーフ(あれば)…5~6枚
赤唐辛子…1本
塩…少々
黒胡椒…少々
サラダ油…大さじ1と1/2
作り方
1 鶏肉は外気温に戻しておく(キャンプ場までの移動時間を利用して外気温に戻しておくのも手)。鶏肉がちょうどおさまるサイズの鍋に分量の水と塩を入れ、沸騰したら鶏肉を入れる。
2 再び沸いてから1分ゆで、上下を返してさらに1分ゆでる。蓋をして火を止め、30分以上放置して余熱で火を通す。
3 サルサソースをつくる。トマトは5㎜角に、にんにくはみじん切りにし、ボウルに入れる。
4 フライパンにサラダ油、ブラックマスタードシードを入れて弱火にかける。弾けてきたら、カレーリーフ、赤唐辛子を加える。香りが立ったら、3のボウルに注ぎ、塩、黒胡椒で味を調える。
5 鶏肉を7㎜幅に切り、サルサソース、ざく切りのパクチーをのせる。
余熱を利用するので厚手の鍋がベスト。加熱時間が短く済むので野外調理に最適だ。
オイルは、熱々のうちにトマトに加え混ぜよう。一体感ある味に仕上がる。
シンプルな具材の旨さがクセになる
大根水餃子
定番のキャベツや白菜ではなく、大根が主役! 肉の旨みと大根の瑞々しさ、クミンの香りが混じり合って後引く旨さ。
材料(20個分)
餃子の皮…20枚
大根…150g
A 豚挽き肉…150g
生姜
(みじん切り)…1/2片
クミンパウダー
…小さじ1/8
塩…小さじ1/3
黒胡椒…少々
作り方
1 大根はしりしり器(または野菜のせん切り器)でせん切りにする。ボウルに入れて塩小さじ1/2(分量外)を混ぜて10分ほどおき、水気を手でぎゅっと絞る。
2 ボウルに1、Aを入れてざっくり混ぜる。
3 餃子の皮に2のタネをのせ、ひだを寄せずに半月状に包む。
4 鍋に、餃子がかぶる量の湯を沸かし、餃子を入れて5分ほどゆでる。好みでわけぎの小口切りを散らす。
しりしり器(野菜のせん切り器)を使えば包丁要らず。写真はモコメシさん愛用のインド製。
ひだを寄せず、皮を半分にぺたんと折り返すだけでOK。ペロンとした優しい舌触りに仕上がる。
※構成/安井洋子 撮影/森本真哉 スタイリング/竹村真由美
(BE-PAL 2022年11月号より)