1964年初刊の『日本百名山』。その100座を10歳で踏破した少女がいる。さらに標高順に数えた百高山も制覇。深田久弥も驚嘆!?
高山植物が大好き! 山小屋の人に憧れます
12歳にして登山歴9年。人生のほとんどを山歩きしている小学生がいる。“yamanamichan”こと三田麻奈美さんだ。すでに日本百名山を達成し、さらに標高順に並べた百高山までも踏破。
「山では景色が良かったり、高山植物を見るのが好きです。辛いときもあるけれど、やっぱりお花があるとやる気がでます」
と、麻奈美さん。登り始めたのは3歳、当時の様子がYouTubeチャンネルに残っているが……。
「え〜、全然覚えてない(笑)。自分では覚えてないけれど、山小屋で階段から落ちたり、スリッパで滑って尻餅ついたりしていたみたいです。山小屋は大好きで、(小屋番に)憧れます」
麻奈美さんの歩み
3歳
八ヶ岳
そんなあどけない時期を過ぎ、いまでは父・幸雄さんとしっかりパーティーを組んで山登りを続けている。これまでの積み重ねがこのほどの「記録」として実を結んだ形だ。登る山は、ふたりで相談しながら決めている。テント泊縦走のときは、麻奈美さんがパッキングする。そして、食糧などキッチン系は麻奈美さんが担ぎ、テントや寝具などは幸雄さんが担ぐ役割分担。
登山を始めたきっかけについて、幸雄さんは──。
「生まれたとき、呼吸をしていない状態だったんです。そんなこともあり、強く育ってほしい思いがありました。また、生まれたのは2010年8月で約半年後には東日本大震災がありました。最近は地震や気候変動、さまざまなことが起きます。どんな状況になっても、登山の経験がなんとか生き延びる力になるのではないかなと思っています」
9歳
北岳・間ノ岳
10歳
立山大汝山
将来の生きる糧になればと思い、自分でも趣味としていた山登りに連れていってみたという。毎回、麻奈美さんは嫌がる素振りもなく、楽しそうにもくもくと歩いた。もちろん登頂できないときもある。途中にあった川で遊んでその日は終わり、ということも珍しくない。典型的な山頂というゴールを目指さないこと、頑張らせて頂上を目指すことはしない、それを大事にしているようだった。
山登りの効果もあってか、麻奈美さんは元気溌剌、健康そのものといった印象で泳ぎやスキーも得意。持久力もついて運動会でも一番をとることができた。
山のガイドや山小屋の人に憧れているという麻奈美さん。
「山小屋は限りある資源のなかでおいしい料理を作ってくれるので、すごいなぁと思います!」
百名山&百高山を終えたいまは、標高2500m以上の山ぜんぶ踏破が次の目標だ。あと14座ほどだが険しい道のりだという。頑張れ〜麻奈美さん!
yamanamichan
本名三田麻奈美。3歳から登山を始め、10歳で日本百名山、11歳で日本百高山達成。次の目標は標高2,500m以上の山すべて。8月生まれで誕生日はいつも山で祝う。
◎yamanamichanの足跡をホームページでチェック! http://yamanamichan.com/
※構成/須藤ナオミ
(BE-PAL 2022年11月号より)