ログハウスに暮らして20年になる僕(シェルパ斉藤)が大好きな木の家がある。7年前に東京から千葉県いすみ市に移り住んだパヴェル&栄子夫妻の家だ。海がないチェコ出身のパヴェルは海辺の暮らしに憧れていたし、映像ディレクターであるふたりにとって、東京にも成田空港にも近いこの地は、地理的にも申し分ない。
ふたりが購入した中古物件は、杉に囲まれた斜面に建つ平屋造りの古民家だ。お妾さんを囲っていた別宅かも…とまことしやかに噂される建物で、斜面にへばり付いた一風変わった立地だったけれども、初めて見た瞬間ふたりはポテンシャルの高さを感じたという。
里山と一体化したロケーション。初めて見たとき、栄子さんは『となりのトトロ』だと思ったそうだ。
少年時代に共産主義社会を体験したパヴェルは、古材や廃材など、そこにあるものを有効活用する知恵を身につけている。しかも彼は芸術家であり、木工が得意でもある。