静岡県から愛知県へ
東海道キャンピングカーひとり旅。静岡県浜松市までやってきました。
江戸時代に巻き起こった “日本初の旅行ブーム” にちなんで東海道をたどっていますが、実は私自身、特別に日本史や美術史に詳しいというわけでもなく、かなり気ままな行程になっています。
江戸時代とはなんの関係もありませんが、浜松といえばやはり餃子!市内には約80店の餃子専門店と300店以上の餃子取扱店があるそうです。なかでも昭和28年創業、浜松餃子の元祖だという「石松」を訪れてみました。
餃子定食10個(税込1050円)にしましたが、20個以上なら満開の花のようにぐるりと餃子が並んだ「車盛り」が見られる模様。
こういうとき、ひとり旅の無念をひしひしと感じます。食べられる量に限りがあるので、いろいろ頼んで食べ比べたり、シェアしたりといったことができません!
ひとつの土地に名物がひとつということはありませんから、取捨選択が避けられないのです。
ともかくテーブルに届けられた餃子は……
甘味たっぷりのジューシーなキャベツ。にんにくも控えめで優しい味わいです。そして皮が薄手!
全国チェーンのラーメン店などでは、厚めの皮をがっつり焼き、バリッと音が出るくらいの食感を出すところも多くありますよね。
しかし、こちらの石松餃子は薄皮を丁寧に丁寧に焼いている印象で、焦げもほとんどなく「ふんわり」した食感。口に入れた瞬間「軟らかい!」というのが心の中の第一声でした。普段食べている餃子とは別モノです。
東海道の重要ポイント「新居関所」
続いて訪れたのは「新居(あらい)関所」。江戸防衛のため人の出入りを厳しく取り締まったところで、東海道では箱根と並んで重要ポイントだったといいます。関所の遺構としては、全国で唯一現存する建物だそう。
とくに女性には厳しく、髪の毛の中まで調べられたとか。関所を越えて結婚してしまうと里帰りもろくにできないため、管内で相手を見つけるのが一般的だったそう。
一方の男性は、身分証さえあれば通過できたといいますから、すいぶんな待遇の違いです。男女平等の世にはまだまだですが、それでも江戸時代に比べると2022年はだいぶよい時代に思えます。
ひとりでキャンピングカーを走らせて旅していると、驚かれたり珍しがられたりはしますが、好意的に接してもらえることのほうが遥かに多いです。「物好き!」とは思われているかもしれませんが。
とある車中泊スポットのオーナーさんからは「自分は一日でも話し相手がいないと死んじゃうから絶対ムリ!」なんて笑われたこともありますが、まったく嫌みは感じませんでした。
楽しみ方は人それぞれ。賑やかなのが好きな人、ひとりが好きな人、自然が好きな人、都会が好きな人。キャンピングカーは自由です。
私は別に孤独が大好きというわけではないですが、家族それぞれ事情があり、またおそらく平均よりはひとり耐性が強いのでソロ車中泊を目いっぱい楽しんでいます。
歩いてすぐのところには「旅籠 紀伊国屋(はたご・きのくにや)」が資料館として残っています。当時の旅館ですね。いまでは想像できませんが、道沿いにずらりと大小の旅籠が並んでいたそう。
12もの座敷があった紀伊国屋は、当時の新居関所の旅籠でも最大級だったとか。旅人にはウナギの蒲焼きを出していたそうです。
現代の旅館といわれても違和感がないほど立派な建物です。当時は雑魚寝の相部屋だったでしょうが、いまでも普通に滞在できそうですね。
余談ですが、歴史的建造物ではついつい台所や風呂を探してしまいます。ギリシャやイタリアのローマなど海外の遺跡を訪ねても同じなのですが、人の生活感がより強く出る「水回り」が気になって仕方ありません。
かしこまった座敷や広間よりも、何を食べていたの?お風呂はあったの?ヒマな時間には何をしていたの?といった裏側に興味津々です。
さらに歩いてすぐ、現在は「小松楼まちづくり交流館」となっている旧・小松楼です。明治末期から昭和20年代前半まで芸妓置屋(おきや)として賑わった建物だそうで、無料で見学できます。
通常、芸妓が所属する置屋と、実際に客が飲食する茶屋は別とされますが、小松楼では二階部分が座敷になっています。立派な和室に、当時の芸妓道具や鏡台、オルガンなどが残されています。
いまでいうブロマイドのようなものでしょうか、美しく装った実際の芸妓さんの写真もたくさん飾られていました。名が知れて一流になるというのは並大抵のことではなかったでしょう。建物裏手には、現存しませんが女性たちが共同生活を送っていた寮があったそう。
RVパーク BondsCamper愛知瀬戸店
明日はいよいよ東海地方きっての大都市、名古屋に到達します。都市部の例にもれず、名古屋もまた車中泊が難しい土地です。私の知る限り、市内で車中泊が公認されている場所はなさそうでした。
そこで瀬戸市の「RVパーク BondsCamper愛知瀬戸店」を拠点として連泊しました。名古屋市まではおよそ20km。十分に往復できるはずです。
こちらのRVパークはキャンピングカーレンタルの「Bonds Camper 愛知瀬戸店」に併設。フラットなアスファルトの駐車場が広がります。
フェンスで囲まれた、ワンちゃんを放してOKのサイトもあります。料金はサイトによって異なります。
特筆すべきは木の香りのする新築のサニタリー棟!温水の出る流し台、男女別トイレ、洗面ユニットを完備。
さらにユニークだったのが、トイレと並んだ一室がユニットバス(利用料金:大人1人500円)になっていること。シャワー設備がある車中泊スポットはたまに見かけるのですが、ユニットバスは珍しい。
丁寧にメンテナンスされた清潔なお風呂を、贅沢にも貸し切り利用できます。湯に浸かっていると、自宅のお風呂かと一瞬錯覚するくらいリラックスできました。クルマで近隣の入浴施設に出かけることもできますが、さまざまな事情で大浴場に入りにくい人にもいいですよね。
電源、ダンプステーション(汚水処理施設)は利用料金に込み。その他、キャンプ用品の貸し出しもあります。各サイトに人工芝を敷いているので、イス・テーブルを出してゆっくりすることができます。防炎シートを持参して、焚火もOKだとか!
1枚500円のゴミ袋購入で、ゴミ処理にも対応しています。キャンピングカーの専門店だけあって、必要なものがすべて揃ったRVパークです。
個人的にありがたかったのが、駐車場まで届く無料Wi-Fiがあったこと!以前の記事でも書きましたが、撮りためた写真の保存、原稿送信、ツールのアップデートなど、Wi-Fiはバンライフの生命線ともいえます。
どうしても都合がつかないときはインターネットカフェも考慮しなければならないので、無料のWi-Fiスポットは本当に助かるのです。
周辺は山沿いに走る幹線道路と住宅地といった環境で、徒歩圏内に公共交通機関のハブはなく、クルマ移動が基本になります。当面はチケット争奪戦に勝ち抜かないと訪問できませんが、話題の「ジブリパーク」に最寄りのRVパークだそうですよ。
施設詳細
- 名称:RVパーク BondsCamper愛知瀬戸店
- 住所:愛知県瀬戸市穴田町541番地1
- 料金:1泊1台3000円/4000円(トレーラー含)/5000円(ペットスペース含)
- 台数:6台
- 備考:電源&ダンプステーション利用料込み、ゴミ処理500円、入浴500円