僕らアウトドアズマンにとって「究極のエコカー」ってどんなクルマだろう……?
無類のクルマ好きでありながら、環境問題にも関心の高いホーボージュンが、
「いま一番気になるモデルだ」という日産エクストレイルでロングドライブの旅をした。
使ってわかる機能とフィーリング
僕はかなりのクルマ好きだ。20代はプロドライバーとして世界各国を走り回り、地球を3周半ぐらいした。またレースにのめり込み、スピードの世界に生きていた時期もある。
その後、30代半ばからは環境とエネルギー問題への反省から“ゼロエミッションヴィークル”に傾倒し、EVの普及活動に邁進していた。プリウスが登場するずっと前のことだ。
だから今回の特集にはとても興味があるし、エコカーの未来には大きな期待を寄せている。
ただ、僕はクルマはエコである前に、より大切なことがあると考えている。それは「道具としてしっかり使えるのか?」ということだ。荷物がたっぷり積め、タフで悪路走破性に優れ、長距離を楽に移動できること。そこは絶対に譲れない。
そんな視点で僕が大注目しているのが新型エクストレイル。今年9年ぶりにモデルチェンジしたエクストレイルは全車が「e-POWER」となり環境性能がグッと上がった。さらに電動4WDシステム「e-4ORCE」を搭載。これは前後のモーターと左右のブレーキを統合制御して全輪の駆動力を最適化するもの。走りにこだわる僕としては興味津々の技術だった。そこで今回はそのガチな実力を探るべく、2泊3日のロングツーリングに出かけたのである。
すっげーキレイに曲がる!
1日目。夜明けと共に自宅を出発し、東北道をひた走る。まず驚いたのはおそろしく静かなことだった。メーター表示を見ると確かにエンジンはかかっているのだが、遙か遠くのほうで低くくぐもった音がするだけ。ちょっと不安になるほどだ。
「静かですねえ……」
助手席のカメラマンも驚いている。撮影でEVや高級サルーンに乗り慣れているプロがいうのだから間違いない。
「こうなるとジュンさんのうるささが際立ちますね」
「うるせーよ!」
大声を出してハッとする。確かに彼のいうとおりだった。
静かな車内は音楽を愉しむのにも最高だ。アコギやジャズピアノなど普段自分のクルマでは聴かない(聞こえない)楽曲の、クリアで繊細な音の粒がくっきりと聞こえる。ゆったりと音楽を愉しみながら、往路はオトナドライブを堪能した。
午前11時30分。郡山インターを降りると、裏磐梯エリアに向かって山道を駆け上がった。紅葉の季節は終わりに近づき、晩秋の透き通った陽光が梢をすり抜けて路面に落ちている。
湖畔のワインディングで僕はe-4ORCEの走りを試してみた。回頭性が良く、面白いようにグイグイ曲がるのでびっくり。
普通のクルマはコーナーの入り口でブレーキをかけると前のめりになるが、e-4ORCEは前後に強力な制動をかけて水平姿勢のまましっかり減速してくれる。そしてコーナリング中は外輪と内輪が最適な速度差を生むように制御するから、終始安定した姿勢のままスッとコーナーを抜けられるのだ。
「すっげーキレイに曲がる!」
運転していて楽しい。しかも反応がとても自然で、他者(制御システム)が介入している感じがまるでない。その軽快でリニアなドライブフィールは運転好きの僕を夢中にさせた。
午後3時。キャンプ場に着くと、僕は荷物を下ろして設営にかかった。今回は重量20㎏を超える折りたたみカヌーのほかに2基の焚き火台やクーラーも積んできたが、エクストレイルの荷室容量は575Lもあり余裕で積めた。床面がフラットで車中泊がしやすい点もスバラシイ。
この日は夜遅くまで焚き火と戯れ、ホットウイスキーを飲みつつ野営を愉しんだのである。
day 1
自宅〜裏磐梯
走行距離 429km
走行時間 8時間17分
区間燃費 14.6km/L
AM 10:40
静かな車内でジャズを聴きながら、東北道を北に向かう。

エクストレイルは2000年の初登場以来「タフギア」として多くのアウトドアズマンに愛されてきたが、4代目はそのたくましさに静かさと上質さが加わった。ずいぶんオトナになったなあ~って感じ。
HOBO’S VOICE
電動ドライブならではの滑らかな走りに感動

車輪を駆動するのはモーターなのでドライビングフィールは電気自動車や水素自動車などと同じ。アクセルワークに対するリニアな反応やフラットで爆発的なトルクは運転がめちゃくちゃ楽しい!

e-POWERはハイブリッドシステムの一種だが、駆動はモーターで行ないエンジンは発電機の役割に徹しているのが特徴。
HOBO’S VOICE
大容量ラゲッジにはカヌーだって積めるのだ

荷室の容量は575Lもある。タイヤハウスの出っ張りも少なく、後部座席をたたむと床面がフラットになりギア類が積みやすかった。
床面はフルフラット
車中泊も快適!
HOBO’S VOICE
電動四駆e-4ORCEで林道や悪路もへっちゃら

優れた4WDシステムのおかげで林道や湖畔など、二輪駆動車では不安な場所へも安心して入っていける。冬の雪道でも頼もしい。
PM 03:00
裏磐梯到着。タープを張り
薪を集めてキャンプの支度。

夏にはあれほど賑わっていた湖畔のキャンプ場だが、この日は貸し切り状態だった。
先進的で未来的な組み合わせを楽しむ
2日目。目覚めると山頂にはうっすらと雪が積もっていた。
僕は湖面にカヌーを浮かべると水上散歩に出かけた。湖面には恐ろしいほどの静寂が広がっている。僕はその静寂を破らないようゆっくりとしたJストロークで進む。こういった静水でのカヌーはまさにクワイエットスポーツの代表格だが、エクストレイルのような静かなクルマで静かなカヌーを楽しみに出かけると自然の静謐さがしみじみと胸を打つ。一見懐古的な遊び方だけど、この組み合わせはとても先進的で未来的なんじゃないかと、僕はふと思った。
アウトドアは自然に遊ばせてもらうアクティビティーだ。そのぶん僕らはどこかで自然に恩返しをしなければならない。僕らがエコカーを選ぶ理由はそこにあるような気がする。
day 2
裏磐梯〜いわき
走行距離 185km
走行時間 5時間13分
区間燃費 15.4km/L
AM 10:00
小野川湖
静寂に満ちた湖を滑るように漕ぎ進んだ。

カヌーはノルウェイ製の「アリー 611 オールラウンド15’」を使用。アーチ型のキールラインとクラシックなシルエットが晩秋の湖面によく映える。
PM 08:00
昨夜は氷点下まで冷え込んだ。焚き火でモツ鍋をグツグツ。

標高830mの高原にある裏磐梯の湖沼群。この日は北西風が強く、夜半には氷点下2度Cまで冷え込んだ。焚き火でモツ鍋をグツグツ。寒くても楽しいキャンプの夜。

大型モニターに全方位の俯瞰映像と鼻先の映像が出る。不整地でのテクニカルな走行で役立った。
1000㎞を超えても走り足りない!
3日目。磐越道を使って太平洋側まで出た僕は、海沿いのロングドライブを愉しんだ。この日は飛び石連休の最終日で、夕刻の首都圏では40㎞以上の大渋滞に巻き込まれてしまったが、運転支援システム「プロパイロット」のおかげでイージードライブで帰宅することができた。
気がつくとトリップメーターは1000㎞を超えていた。でもまだ走り足りないほどだ。
「いやあ、困ったぞ……」
新型エクストレイルのデキは、僕の期待を300%ぐらい上回るものだった。とにかく静かで上質、走りはパワフルかつリニアで、パッケージングも機能的。アウトドアズマンの相棒として、これ以上のクルマはそうそうないだろう。
じつは僕は今年の春に自家用車を買い換えたばかりだった。
「わかってたら待ったのに」
唯一残念だったのは、もうそれだけなのである。
day 3
いわき〜湘南
走行距離 392km
走行時間 9時間05分
区間燃費 15.2km/L
PM 01:20
北茨城
国道を離れ海岸へ向かうと、まばゆい太平洋が広がっていた。

帰路は磐越道を使って郡山からいわきへ出て、太平洋岸を自由気ままにドライブしながら南下した。高速巡航性能だけでなく、田舎道のザッピングも楽しめるのが新型エクストレイルのいいところだ。
HOBO’S VOICE
1,500Wの100V電源は災害時にも活躍する

ラゲッジには1,500W電源を実装した。電気コンロや機材充電に使えるだけでなく災害や停電時の非常用電源としても期待できる。
HOBO’S VOICE
スマホのナビアプリがそのまま反映される

普段愛用しているiPhoneの地図アプリや音楽アプリをBluetooth経由でシステムにリンクさせ、12.3インチの大画面で使えるのが最高だった。
HOBO’S VOICE
ウンザリする大渋滞をプロパイロットで乗り切った

運転支援システム「プロパイロット」の完成度にびっくり。レーダー波の先読みも正確だし車速の加減速も自然で、安心して任せられた。
※構成/ホーボージュン 撮影/山田真人
(BE-PAL 2023年1月号より)