熾火ってどういう意味?
焚き火に慣れていないと、熾火といわれても曖昧なイメージしか浮かばないかもしれません。まずは、熾火がどんな状態のことを指すのか、言葉の意味を確認しましょう。
熾火とは
「熾火」の意味と読み方
熾火は『おきび』と読みます。焚き火が落ち着いた後、炭化した薪が溶岩のように赤々としている様子を見たことはないでしょうか?あの状態が熾火です。
火なのでもちろん燃えてはいるのですが、揺らめく炎の姿はほぼありません。なお、薪から燃やして炭化させた場合だけでなく、最初から炭を使っても熾火は作れます。
BBQなどすぐに料理に取り掛かりたいときは、炭に火をつけることも多いでしょう。炭の芯までしっかり火が入れば、熾火の完成です。
熾火の特徴
キャンプで熾火が活躍するのは、暖を取りたいときや調理のときでしょう。熾火は、強い遠赤外線を放射します。目には見えない光ですが、非常に高温です。
焚き火が燃えさかっているときの温度は、およそ800度以上あるといいます。熾火になると温度はやや下がりますが、それでも600~700度をキープしています。
火力が安定しにくい焚き火の炎とは異なり、遠赤外線はムラなく食材を加熱できるため、熾火で作った料理はいっそう美味しく仕上がるでしょう。煙が少なく、ほのかにいぶした風味が加わるのも熾火ならではです。
熾火の作り方と片付け方
熾火を存分に楽しむには、少しコツがいります。熾火を作る手順から処理方法まで、気をつけておきたいポイントを見ていきましょう。
熾火の手順
乾燥した薪を準備する
薪は、よく乾燥したものを選びます。水分が多いと火がつきにくく、煙が出やすくなってしまうためです。
また、針葉樹は火がつきやすく、広葉樹は火が持続しやすいのが特徴です。薪には、次のような樹木がよく使用されます。
- 針葉樹:スギ・ヒノキ・アカマツ・カラマツ
- 広葉樹:ナラ・クヌギ・サクラ・アカシア・ケヤキ
それぞれの薪の特性を生かして火を起こします。自分で選ぶ場合はどちらかに偏ることなく、針葉樹と広葉樹をほどよく組み合わせておきましょう。
薪を組むコツ
薪の組み方によって、火の起こしやすさが変わってきます。まずは、基本の手順から始めましょう。
- 太い広葉樹を土台に置く
- 細い薪を重ねる
- 針葉樹を1番上に重ねる
上から下にだんだんと火が燃え移ってくるため、針葉樹から広葉樹へ順番に熾火になっていきます。新聞紙・紙パックなどの燃えやすいものや、着火剤を使って火をつけるとスムーズです。
何度か試行錯誤していくうちに、だんだんと要領がわかってきます。基本の組み方に慣れてきたら、さまざまな薪の組み方にチャレンジしてみてもよいでしょう。
熾火の処理方法
キャンプ場やほかの利用客の迷惑にならないよう、熾火は確実に消火し、燃えがらを片付けます。
ただし、一気に消火しようと大量の水をかけてはいけません。熱く燃えた炭に水をかけると、高温の水蒸気が立ち上り大変危険です。
熾火は消えたように見えて、中は高温ということもあります。撤収する1~2時間ほど前になったら、新たな薪を投入するのはやめましょう。
十分に時間がたったらトングなどで灰を小さくバラバラにして、中まで消火できているかを確かめます。酸欠状態にすれば火が消えるため、急ぎの場合は火消しつぼがあると便利です。
BBQで挑戦!熾火を使ったレシピ3選
熾火で作るキャンプ飯は、いつもと違う雰囲気も相まって格別の味わいです。みんなでワイワイ楽しめる、絶品キャンプグルメのレシピを紹介します。
熾火を使ったレシピ
肉汁あふれるメインディッシュ「ステーキ」
ステーキ肉は、焼く前にクーラーボックスから出して、常温に戻しておきましょう。表面と中の温度差がなくなって、均等に火が入りやすくなります。
両面に焼き目をつけたら、ほどよい硬さになるまで焼きます。人差し指と親指でOKサインを作ったときの、親指のつけ根の感触がレアの焼き加減の目安といわれています。
なお、人差し指を中指に変えたらミディアムレア、薬指ならミディアム、小指ならウェルダンの目安といわれているので、参考にしてみてはいかがでしょうか。
焼き終わったら肉汁が落ち着くよう、アルミホイルに包んで休ませます。10分ほどたったら、肉汁の旨味がぎゅっと詰まったジューシーなステーキのでき上がりです。
ほったらかしの簡単グルメ「ホイル焼き」
ホイル焼きは、誰でも美味しくできる料理の定番です。野菜は食べやすいサイズにカットし、魚介はそのままバター・塩などと一緒にアルミホイルに包みます。
なるべく蒸気が逃げないよう、隙間なく巻き付けましょう。焼き上がった後にアルミホイルを開けると、閉じ込められていた香りが湯気と一緒にふわりと舞い上がり、待ちかねた胃袋を刺激します。
アルミホイルをお鍋代わりにしてチーズを溶かしておけば、野菜にトッピングして熱々のチーズフォンデュを楽しめます。
ひと手間で段違いに美味しい「焼き芋」
美しい黄金色とほのかな甘みで大人気の焼き芋は、次の手順で作るとさらに美味しくなります。
- 1時間から半日ほど、サツマイモに水分を吸わせておく
- ぬらしたキッチンペーパーで包み、さらにアルミホイルで包む
- 30~40分ほど焼く
漬ける水を塩分濃度0.8%ほどの塩水にすると、サツマイモの甘みを引き立ててくれます。網の上で焼いても、熾火の上に直接置いても構いません。
サツマイモの太さによって焼き時間は変わりますが、30分くらいでホクホクになるでしょう。
まとめ
薪の組み方のコツさえ覚えてしまえば、火をつけて待っているだけで熾火ができます。片付け方に若干の注意は必要ですが、慣れてしまえばそう難しいことはありません。
火の温度が安定しやすい熾火で作った料理は、遠赤外線の効果で美味しく仕上がります。ふっくら仕上げたい肉料理や、じっくり火を通したい焼き芋などにもぴったりです。
これまで手軽に食事を済ませていたのであれば、次のキャンプでは熾火調理にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。