金星・木星大接近は一見の価値アリ!
今年は日没後の西の空で惑星たちの共演が続いていますが、現在、金星と木星が接近中です。最も近づくのは3月2日です。マイナス4等級の金星と、マイナス2等級の木星。これほど明るく輝く星が2つ、30分角(1度の半分)、満月ひとつぶんの距離に接近します。
楽しみは日没前から始まります。夕暮れ時はまだ肌寒いかも知れませんが、日の入り時刻は日々、着々と遅くなっています。
最接近の2日の日没は、東京で17時38分です。金星は明るいので日没直後の、西の空に見え始めると思います。金星が見えたら、ちょっと下に木星が見えてくるでしょう。マイナス4等級の金星のほうがずっと明るいのは間違いありませんが、そのすぐ近くで木星がどんなふうに見えるのか。ぜひ実際に確かめてください。
キャンプならちょうど夕食準備の時間帯かもしれませんね。複数人で観察して、だれがいちばん早く木星を見つけられるか?競争するのも楽しいでしょう。
双眼鏡を向ければ、同じ視野の中に入ります。色の具合を観察してみましょう。低倍率の望遠鏡なら、金星と木星とガリレオ衛星がひとつの視野に入るでしょう。金星の輝きがちょっとまぶしいかもしれません。木星の模様や衛星を観察するには条件は悪いのですが、金星と同じ視野の中で見える木星の観察は、トライする価値が十分あります。
最接近は2日ですが、このあとの惑星の動きも注目です。
金星の位置は一見あまり変わらないように見えますが、少しずつジワジワッと上がっていきます。一方、木星のほうは最接近以降、一気に落ちていきます。この半年ほど夜空を飾っていた木星の季節は、2日の金星との大接近で終わりを告げます。5月には明け方の空で見えるようになりますが、真夜中の空で昇るようになるのは7月まで待たなければいけません。しばしの別れです。
西の空を同じ時間帯に観察していると、日没の時間が着々と遅くなっているのが実感できるでしょう。夕空の色の変化も楽しんでください。
南の空では冬の星座たちがまだまだ見ごろ
南の空に目を転じれば、冬の星座たちがすっかり勢ぞろい。3月2日の19時には、オリオン座が南中しています。金星や木星の輝きに加え、青白く光るおおいぬ座のシリウスやオリオン座のリゲル、ベテルギウスは赤く、おうし座のアルデバランはオレンジに見えるなど、色比べも楽しめます。
もし南の方角が地平線近くまで開けていれば、りゅうこつ座の1等星カノープスも見えます。
恒星界ワンツートップの明るさのシリウスとカノープス、そして惑星界のワンツートップの明るさの金星と木星。4つの星が同じ空に昇っている時間帯です。
カノープスはかなりハードルが高いと思いますが、南の地平線のほうにその気配を感じつつ、金星と木星のランデブーをお楽しみください。
構成/佐藤恵菜