2泊3日の自由時間。アナタならどうする?
2月半ばの週末、4歳の次男が2泊3日のスキーキャンプへ。「親分離」なので私たち夫婦は悪い顔になります(笑)。たまの機会、夫婦は別々「お互い好きなコトして過ごそ~」と。マンイチ次男がキャンプ先で熱が出たとかケガしたとか、幼稚園から連絡が来てもピックアップできるための「バラバラ行動」というわけでもあるのですが。
夫はというとサッサと決定、「スラムダンク観に行く!」。そのあとはひとり「赤提灯!」。なんてステキなプラン。潔くてかっこいい~。そんななか私って、いったい何したいんだろう。ちょっと困りました…。
ひとりグルメ?
ひとり酒?
ひとり観光?
ひとり美術館?
ひとりウインドーショッピング?
ひとりクラブ!?
ひとり…。
とにかく「ひとり」で気が向くまま「ゆっくり」過ごしたい。9歳の長男はあまり手がかからない。私の不在時は夫にまかせるとして、どこかに一泊したいなぁ。都内のホテルも考えたのですが、ものすごく高くて気持ちは急に郊外へ。そうなると山登り? 温泉も!? なんだか靄がかっていた視界がサーッと開けるようでした。
私の希望は3つ
- 家から公共の乗り物で行ける
- 徒歩で周れる山がある
- 温泉があればサイコー!
というわけで決定したのは神奈川県は厚木にある「東丹沢」エリア。「七沢」という山間の町に決定しました。目指すは標高561mの「鐘ヶ嶽(かねがたけ)」。厚木市内のハイキングコースでは最高峰らしいですが、ゆっくり歩いても3時間くらいの低山。のんびり過ごしたい「ひとり旅」にはちょうどいい。
駅から2分ほど歩いたバス停へ。最初は満席だった車内も、車窓の緑が色濃くなるにつれて乗客の姿がまばらになりました。
40分ほどバスに揺られて「鐘ヶ嶽」で下車。今回は、たまたま登山口に近い停留所に着くバスに乗れましたが、「広沢寺温泉入口」とか「河鹿の沢」とか、ほかのバス停からも登山口までは歩けます。
この場所に着くまで、これから登る「鐘ヶ嶽」にまつわるいろんな方のSNSを読みあさりました。公共の乗り物って、そういうゆとりがあるのがうれしいですよね。で、どのサイトにも必ず書いていたのが「ヤマビル」と「迷いやすい」ということ。
ヒルはこの時期絶対いません(だから私は冬山が好きなのです)。しかし単独登山です。「迷うこと」だけ気をつけよう。とくに逆回りに歩くと「目印」などを見落として迷いやすくなるそうで、正規の登山ルートを進むことにしました。
ビビリな私の懸念
赤い矢印のところ、わかりますか?ルート上には「隧道」があるんです。つまり山をくぐるトンネル。いろんなサイトにも書いてありましたが、外灯がなく真っ暗だと。ひとりでココは絶対に通りたくないなー。誰か通りかかるまで怪しく待ち伏せするか。いやいや、迂回できるといいのだけど…。
とにかく行ってみないとわからない。日が暮れる前に歩き始めましょう!
「信仰の山」鐘ヶ嶽
「山の神」として古くから信仰を寄せられてきた鐘ヶ嶽。その昔「竜宮から上げた鐘をこの山に収めた」という伝説があったり、戦国時代には「七沢城への合図のために鐘が置かれたから、その山の名が付いた」などと言われているそうです。山頂手前には「浅間神社」があります。まずは鳥居をくぐると道ばたに現われるのは、28ある「丁石」。順番に辿りながら頂上を目指しました。
今から動物たちの世界に入りこむんだなーとドキドキ。周辺には電気柵もあちこちありました。野生動物が多いということはヤマビルも…。今回は動物の気配は何回か感じたけど、姿は見ませんでしたね。
22丁目でランチ休憩
山道を登るにつれて徐々に眺望が開けてきました。歩き始めて約30分、「一番景色がいい」とウワサの22丁目で下界で買ってきたサンドイッチを頬張りました。ここまで誰とも会わず、やはりスタートが遅すぎたか。隧道、大丈夫かな。心細くなっていたら、22丁目で何人かの登山者の姿を確認。心の底からホッ!
サクッとランチを終え、「ここから先の階段きついヨー」と、すれ違ったオジサンに言われた浅間神社へと続く石段が見えてきました。
海抜0mから一気に164m登る西伊豆の「烏帽子山」しかり、てっぺんに神社がある山は慣れっこの私です。でも初心者だったり、久しぶりの登山だったりする人には、けっこう堪えそうな342段ある石段でした。
さらに60m登ると山頂に着きました。
並んだ2体の石像が目印です。ベンチなどもありましたが、よかった~、眺めのいい22丁目でランチ食べておいて(笑)。
迷い道注意!
この山の注意として「迷いやすい」と、いろんなSNSに書いてありました。私も心細くなり、何回か戻ってピンクの目印を確認しました。なるほど、逆側から登ってきた人は、この道しるべが見にくいかもしれませんね。慎重に確認しつつ進みました。単独登山で「遭難」とか、絶対に避けたい。
また、頂上からの下りは「鎖場」があったり道が細すぎて「小さい子連れには不向き」といろんなSNSに書いてありましたが、行ってみたところ、そうでもなくて(わが家はもっと険しい場所に連れて行っているなという意味で)、しかし山歩きに不慣れなご家族は注意した方がよさそうです。
岐路に到着
さぁ、ここが運命の分かれ道となりました。右に行っても左に行っても私が行きたい「広沢寺温泉」なのです。ちょっと見えづらいですが、右側には「らくらくコース」と手書きで添えられていました。ん、ちょっと待てよ。楽々って「隧道」があるからショートカットできて「らくらく」なんじゃないのー?よし、左行くぞー!
私の目論見はカンペキ当たり。たしかに下りの山道はキツかったです。何度か足を滑らせました。鎖にもつかまって慎重に下りました。
隧道迂回、大成功
22丁目でランチしていた男性グループが懐中電灯をぶら下げて、ちょうど隧道をくぐっているところでしたが、ビビリな私はこの道、1人じゃ絶対に通れませんでしたね。ここから先は舗装された林道を下っていきます。地味に足にきました。
「川魚料理ますや」で休憩
お食事だけでも、敷地内で釣りをしても。澄んだいけすには、たくさんのニジマスやイワナがいました。釣った魚をその場で食べられるなんていいですね。
ニジマスといえば「塩焼き」が一般的な気がします。はじめて唐揚げを食べたけど、とれたての新鮮なニジマス、頭から尻尾まで全身バリバリと。あっさりしたポン酢につけていただくのが美味。渓流のせせらぎに耳を傾けながらハイボールぐびぐび、「幸せ」という文字しか出てきません。ニジマスの塩焼きと唐揚げは各450円、ハイボールは400円でした。
隣のテーブルでは常連さんとおぼしき夫婦が一杯やっていました。若いスタッフは熱心に炭で魚を焼いており、ふらっと訪れた家族連れは楽しそうに七輪を囲んでいる。のんびりしたいい時間が流れていました。
お店の目の前には大きな無料駐車場がありました。私は今回公共の乗り物と徒歩で訪れましたが、「鐘ヶ嶽」を登るにも「ますや」へ行くにもココを使えば便利ですね。トイレもきれいでした。
川魚料理ますや
- 所在地:神奈川県厚木市七沢2654
- 電話:046-248-0035
- 営業時間:10時~17時
- 定休日:不定休
1泊2食付きで「9,400円」、大満足の宿
公共の乗り物で行けて、山にも登れるという条件で選んだ「福松」は、長い年月を経た味のある佇まい。「ひとり」で静かに過ごしたいという私の希望にぴったりの宿でした。
とくに私が気に入ったのが「半露天風呂」。
お風呂は時間ごとに部屋の貸し切りで、到着してすぐお湯をいただくことに。トレッキング疲れがふわぁっと溶けていくようでした。木々の摺れる音や柔らかく吹いてくる風も気持ちよかった。運が良ければ赤ちゃん鹿が遊びに来ることもあるとか!?翌朝も朝食後に入りにきました。
もうひとつのお気に入りは「部屋食」ができること。時間になったらご馳走を運んできてくれます。お行儀悪くテレビ観ながら、日本酒グビグビ。入り口の看板には「猪の宿」と書いてあるように、夕飯にはイノシシ鍋が出てきました。出汁の味噌が濃くていいツマミ。炊き込みご飯も何度もおかわりしてしまいました。いつもあわただしく家族の世話をする私にとってこの時間、幸甚の至りです。
朝食を一番早い8時に予約しました。もうヒマでヒマでお腹も空いて(笑)。いつもは髪振り乱して家族を送り出す朝に「ヒマ」って、すごいな。
そんなお一人様充実時間を神奈川県の七沢でニヤニヤと過ごしたのでした。
七沢温泉「旅館 福松」
- 所在地:神奈川県厚木市七沢1751
- 電話:046-248-0324
- ホームページ:http://www.fukumatsu.co.jp/