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    2023.04.17

    データで紐解く!これから選ばれる次世代キャンプ場のカタチとは?

    "密"を避けられると、コロナ禍で生まれた第2次アウトドアブーム。ここ数年、まれに見る勢いで新しいキャンプ場の開業が続く。最新のトレンドを解説しながら、「これから選ばれる」新しい施設の特徴について考えてみた。

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    廃校を活用した施設が増えているのも近年の特徴。地域活性化の拠点となっていることも多い。写真は「ユクサおおすみ海の学校」(鹿児島県)。

    質問者:編集部・小川

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    このふたりが対談!

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    左:『なっぷ』ディレクター 松本杏平さん。  2018年にキャンプ場検索・予約サイト『なっぷ』の担当者となり、サービス全般を統括。プライベートでもよくキャンプをする。 右:本誌ライター 松村由美子 。本誌のキャンプ場連載「HKC」を担当。全国のキャンプ場のオーナーさんとやりとりをしながら、日本のキャンプ場の流れを探る。

    TOPIC 1

    キャンプ場開設は右肩上がり!個人開業・遊休地活用型がさらに拍車をかける

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    犬連れ向けキャンプ場も増えてるよ!

    小川:コロナ禍でキャンプ需要が高まりましたが、新規キャンプ場は増えていますか?
    松本:私がサービス全般を統括しているキャンプ場検索・予約サイト『なっぷ』に掲載しているキャンプ場数でみると、2019〜2020年は186軒、’20〜’21年は278軒、’21〜’22年は300軒と、かなりの伸び数です。

    松村:そうですね。以前は、新規開業のキャンプ場を探すのに苦労した記憶がありますが、ここ3、4年は探せば探すだけ見つかる、という印象です。

    小川:今は第2次キャンプブームといわれていますが……。

    松村:第1次キャンプブームがはじまったのが1990年代前半。’96年にはオートキャンプ人口が1580万人に達したといわれています。今のブームの兆しは、2013年くらいでしょうか? SNSで、キャンプがオシャレな趣味として認知されるようになってきました。

    『オートキャンプ白書2022』によると、オートキャンプ参加人口は’13年から毎年増えていて、コロナ禍前の’19年には860万人に達しています。

    松本:最近では、ユーチューバーの活躍や、漫画『ゆるキャン△』でノウハウやイメージが伝わり、ビギナーが参入しやすくなったこともあると思います。

    松村:ガレージブランド系とか、スタイリッシュなギアが増えたことも大きいのでは?

    松本:SNS、動画、道具などの人気による相乗効果ですね。

    キャンプブームを国が後押ししている!?

    小川:キャンプ人口に比例して、施設数も増えたんですね。

    松村:『オートキャンプ白書』調査では、ブームでキャンプの楽しさに目覚めた人が、個人で山林や耕作放棄地を購入して開拓し、手作りでキャンプ場を開設するという流れも目立ちます。クラウドファンディングが普及したことも関係していそう。

    松本:それもありますが、経済産業省の『事業再構築補助金制度』の影響も大きいと思います。

    小川:どんな制度なんですか?

    松本:ウィズコロナ・ポストコロナ時代の経済環境の変化に対応するために、事業再構築の挑戦を支援する補助金制度です。企業も個人も申請できます。コロナ禍でも強いビジネスモデルとして、キャンプ場やグランピング案件が多いようです。

    松村:なるほど! 個人でも利用できることが、キャンプ場開業の追い風になっているんですね。近年、廃校や公共施設に隣接する空き地など、使われなくなった施設に手を入れてキャンプ場を開業した事例も多い。

    松本:最大1億円の補助金が出るので、大手企業による高規格キャンプ場から、個人やNPOで遊休施設を活用するなど、さまざまな展開が考えられます。

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    ブッシュクラフトができる野営系キャンプ場が増加。個人で山を買い、クラウドファンディングで資金を調達する人も多い。

    TOPIC 2

    キャンプ初心者が増! 新サービスを売りにした異業種参入型がビギナーに支持される?

    小川:『オートキャンプ白書』調査では2018年以降、ビギナーが急激に増加しています。ビギナーを意識したサービスとは何ですか?

    松本:10年前に比べて、施設の清潔度が格段にアップしています。ファミリーキャンパーにとって、女性や子供に快適に過ごしてもらうことは非常に重要なことです。

    松村:設備面では、温水洗浄便座付きトイレやお湯の出る炊事場は、当たり前になりつつありますね。なかには、女性用の洗面所に、女優鏡を設置しているところもあるほどです。あと、手ぶらキャンプができる施設もグンと増えたと思います。

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    1995年開業の「無印良品津南キャンプ場」。異業種参入の先駆けだ。自然を残したまま設備を充実させるスタイルが斬新だった。

    異業種も続々参入! キャンプでサウナも定番に

    小川:おふたりが注目するトレンドはありますか?

    松村:やはり異業種の参入ですね。たとえば、オシャレなセレクトショップで買い物ができたり、ワインの飲み比べができたりと、アウトドア・アクテビティー以外のプラスαの要素が加わったキャンプ場が増え、間口がさらに広がっています。

    松本:そういえば、サウナの普及も目立ちます。サウナの人気は根強いので、設備やサービスがさらに拡充されると思います。

    松村:それも、ひとつのきっかけになりますよね。そういったキャンプ+αの要素が、ビギナー人口を増加させる理由になっています。

    TOPIC 3

    キャンパーの92%超がキャンプを生涯の趣味に!安心・安全・高規格施設も増える

    小川:日本のキャンプ場業界は、まさに百花繚乱ですね。 

    松村:第1次キャンプブームのときに比べ、バリエーションは圧倒的に多いですよね。

    松本:それに、設備が充実していて満足度が高いせいか、『オートキャンプ白書』調査では、キャンプを生涯の趣味にしたいと考えている人は9割以上にのぼります。

    松村:冬用ギアが充実し、北日本でも通年営業のキャンプ場が増えています。季節ごとに楽しさがあることに気付き、キャンプ沼から抜け出せなくなったのではないでしょうか(笑)。

    小川:今後はどんなキャンプ場が増えると思いますか?

    松本:ビギナーやファミリー向けの高規格キャンプ場が増える一方で、貸し切りプライベートキャンプ場、ベテラン向けのブッシュクラフト系キャンプ場も増えていくのでは?

    松村:廃校をキャンプ場や宿泊施設にリニューアルし、地域の活性化につなげる試みも全国的に目立ちます。オフグリッドだったり、完全バリアフリーだったりと、SDGsを意識したキャンプ場にも注目ですね。

    松本:コンセプトが明確になり、ソロ、ファミリー、グループ、野営向けなど、より細分化されるのではないでしょうか。

    小川:選択肢が広がり、キャンプ人口はさらに増えそうですね。

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    車いす連結可能なミニ鉄道が走る「風だよりカフェ&キャンプ」。

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    バリアフリー施設が増え、誰もがキャンプを楽しめる時代に。

    ※構成/松村由美子 協力/日本オートキャンプ協会 (BE-PAL 2023年3月号より)

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