鹿児島を拠点に海の魅力を日々発信する、ダイビングショップのスタッフにしてフォトグラファーの射手園 芽(いてぞの めい)さん。今回は成長する海藻とそれを心待ちにしていた生き物たちの美しい写真をお届けします。
海藻に包まれる海中
梅の花が咲き始め暖かな日が増えてきました。今年も少しずつ春へと季節が巡ります。今回は春が旬になる海藻について鹿児島県・錦江湾を舞台にお送りします。
海藻というと皆さんどのようなイメージでしょうか。私たちの食卓にも上がる海苔やヒジキの佃煮など、海中で育まれたものが食材になります。光合成によりたくさんの酸素を生成し、温暖化への歯止めを期待される海藻だってあるのです。
春の海岸で大量の海藻が打ち上がっているのを見たことがありますか? 錦江湾で晩秋から海藻が芽生え、冬の弱い日差しを一身に受けグングンと春に向けて大きく育ちます。
桜島沿岸には毎年、ヒジキ、マメタワラ、ホンダワラなど多種の海藻が育ちます。海底に転がる溶岩に海藻が活着しやすく、良い環境なのでしょう。毎年見られる光景ですが、いつ見ても海藻の群落はとっても美しいです。
海藻の時期は、海中が森のように包まれます。そこに海藻の成長を心待ちにしていたかのように生物たちも見られます。
小魚たちは海藻の群生で隠れんぼうを楽しんでいるようで微笑ましいです。
温暖化の影響で、錦江湾ではメバルを見る機会が減りましたが、晩春、メバルの幼魚が海藻に隠れているのを見かけます。海藻に包まれて大きく育ち、またその姿を見せて欲しいものです。
冬に10cm程だった海藻も晩春になると2~3m程の長さになります。その後、成熟し枯れてしまいます。
旬を食べる楽しみ
晩春、沿岸を船が走ります。錦江湾ではヒジキ漁が盛んです。沿岸に育つヒジキを船に山積みにして収穫している光景を見かけます。
海から上がると地元の方々がヒジキを天日干しされていました。港に広がる天日干しされたヒジキは潮風に当たり、磯の良い香りがします。
炊き立てのご飯にヒジキの煮物を混ぜました。旬を感じて食べる食材、コクがありとっても美味しいです。皆さんも香りや味を感じ、この時期の海を連想してください。
撮影協力: ダイビングショップSB
~陸編~
海中で海藻の群落が見ごろとなるこの時季、陸上でも桜の開花や新芽が見られるようになります。写真は南九州市知覧町の茶畑。新芽の緑色が美しい春の景色です。