総距離850kmのロングツーリングでわかった、スバルの「総合雪国性能」のスゴさ
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    2023.03.18

    総距離850kmのロングツーリングでわかった、スバルの「総合雪国性能」のスゴさ

    特別な行動制限もなくなり、久し振りに故郷・新潟で暮らす親族に会いに行くことになった自動車ライター、佐藤篤司氏。総走行距離850kmのロングドライブの相棒として選んだのは、昨年9月に一部改良が施され、スバルのフラッグシップとして装備も安全も充実度をさらに向上させた「レガシィ アウトバックLimited EX」。

    その足元には横浜ゴムのスタッドレスタイヤ「iceGUARD SUV G075」が装着されていて、まさに雪上での走行性能や雪国での使い勝手といった性能をチェックするには最適な仕様です。果たしてどんな新潟への帰省ドライブになったのでしょうか? 

    レガシィ アウトバックってどんなクルマ?

    レガシィ アウトバックによる新潟ドライブで最初に目指したのは新潟県十日町市からさらに山を駆け上がった「星峠の棚田」。

    日本で販売されるスバルブランドで、もっとも大きなボディをもつのがレガシィ アウトバック。ステーションワゴンとSUVのクロスオーバースタイルで仕上げられています。エクステリアは「タフネスとアクティブさ」を主張したデザインで、高級感も十分。

    エンジンは1.8L水平対向4気筒ターボエンジンに、レスポンス良く反応するリニアトロニックCVTが組み合わされ、スポーティさと上質感がほどよく調和された走りを実現。

    さらにスバルが誇る先進安全装備「アイサイトX」には、車線中央維持制御や先行車追従操舵制御を備えた「ツーリングアシスト」を採用。アイサイトの作動状態を直感的に知らせてくれるアイサイトアシストモニターや後側方警戒支援システムなどとともに、万全ともいえる仕様となっています。

    また最低地上高はSUVとしてもトップレベルと言える213㎜を確保。4WDによる抜群の悪路走破性とともに、レベルの高いアウトドア対応力を見せてくれます。こうした走りの性能や広くスクエアな荷室と豊富な快適装備が、レガシィ アウトバックの大きな魅力となっています。

    雪国ではずっと昔から「スバル」だった

    出発前、田舎の母に電話を入れた。高齢であることから帰省を極力控えてきたため、同行する妻にとっては実に3年ぶりの再会となる。

    「みんなに会えるのは嬉しいけど、春になってからにしなさい」

    80歳を超えた母にとって、「冬は動いちゃダメ」な季節なのだ。今以上に積雪があった子供のころ、雪は生命をも脅かす存在であり、なるべくとじっとして春を待つというのが、雪国でずっと過ごしている母の年代の常識でもある。

    「大丈夫だよ、スバルで帰るからさ」

    別に、忖度で言っているわけではない。母にとって「スバル」という言葉には、特別な意味があるのだ。

    筆者が幼いころ、スバル360を所有する叔父がことあるごとに我が家にやって来ては父親とクルマ談義に花を咲かせていた。普段は我が家のトヨタ パブリカの方がボディも排気量も大きくて、多少の優越感はあった。だが、いざ冬になると、小さなRR(リアエンジン・リア駆動)のスバル360の、雪道をガンガン走って行く走破性の高さに、FR(後輪駆動)のパブリカが適わないのだ。

    昭和世代には懐かしい、スバル360。

    叔父はある日、真冬の「三国峠越え」にスバル360でチャレンジすると言い出した。まだ関越自動車道(以下、関越道)もなく、高性能のスタッドレスタイヤもなし、おまけに雪も今以上に多く降っていたころの峠越えは、途中で断念する方が当たり前であり、“暴挙”ともいえる時代だ。まさに関東の人たちが、クルマの評価軸のひとつとする箱根越えと同じような意味を持っていたはず。子供ながらもたいへんな事が始まると、叔父の身を案じたように記憶している。

    ところが叔父はみごとに三国峠越えを果たし、群馬県高崎市の知り合いに会い、さらには東京の親戚にまで会い、そして無事に帰ってきたのであるから、大いに鼻が高かったのである。

    以来、叔父はスバルFF、そして4WDのレオーネ、レガシィなどと、ずっとスバル車に乗り続け、父の前でスバルの「冬の強さ」について自慢し続けてきた。

    それを傍らで聞き続けていた母にしてみれば、「冬はスバルに乗っていれば安全」という刷り込みが行われていても、まったく不思議ではない。さらにいえば、叔父や母と同じような感覚を持つ人が新潟をはじめとした雪国には多く、スバル車が普及する最大の要因になっていることも理解できるのである。最近のデータによればスバルユーザーのなんと98%が4WDを選択しているというから、スバル=4WDは当たり前の選択理由となっているわけだ。

    操作性にも配慮した設計が疲労軽減につながる

    自宅のガレージでスキーや着替えなどを積み込んだ。スクエアな荷室は分割式のリアシートの背もたれを倒すと、175cmあるスキー板をまっすぐに積み込める。さらに妻と2人分のバッグ、雪国ドライブに必須のレスキューセットなどを載せても、まだまだゆとりがあるほど。キャンプなどをはじめとした外遊びの用具の積み込みには、高い対応力を見せてくれるはずだ。

    長靴、グローブ、スクレーパー、布製チェーン、折りたたみスコップ、牽引ロープ、バッテリーのジャンプケーブルなど、スタックやバッテリー上がりなど、緊急時に必要と思われるアイテムをレスキュー用として準備。

    175cmのスキー板と靴や2人分の荷物とそしてレスキューセットをどんどん積み込んでもまだゆとりあるラゲッジルーム。リアシートの背もたれまでの床面の奥行きは108cm、背もたれを前方に倒すと167cmある。タイヤハウスの間が108cmあり、リアハッチ開口部の高さが74cmと実用的なスペースを実現。※すべて編集部実測値。

    リアシートの背もたれを戻す際、シートベルトが挟み込まれないように工夫されている。荷物をたくさん積む外遊びでは、こうした細かな点が大いに役に立つ。

    ルーフレールが90度回転できるため、ルーフボックスなどを装備する際に重宝する。

    荷室の使い勝手に満足しながら、シートに腰を下ろした。インテリアはしっとりとした手触りのレザーを用い、スポーティで上質。エクステリアのタフなイメージとインテリアの上質感のある雰囲気、そしてシートの座り心地のほどよい感触がうまく調和して、快適なドライブを予感させる。

    センサーによってドライバーのまぶたの閉じ具合などを検知して警告してくれる「居眠り防止機能」。目を少し細めたりするだけでも警告されることがあったが、安全装備は敏感であることに越したことはない。

    東京都内の自宅から関越道に乗り込み、北に向かって走り出す。前面パネルの中央には、最新のインフォテインメントシステムが搭載された11.6インチのセンターインフォメーションディスプレイ。ナビゲーションやエンターテインメントはもちろん、エアコンの設定操作などがすべてこのモニターに集約され、とても使いやすい。縦長の大型ディスプレイに機能ごとのアイコンが表示されるため、直感的な使いこなしが可能だ。シンプルにまとまったレイアウトによる操作性の良さは、ドライブや外遊びで疲れた目などの疲労感を低減するうえでありがたい。

    快適なドライ路面のドライブを楽しみ、関越道・昭和ICを過ぎると遠くに三国山脈と雪雲が見え、峠の向こうは雪だと予想できる。

    その画面でシートヒーターやステアリングヒーターの温度設定を行い、快適なクルージングを続ける。新開発の1.8L直噴ターボ(DIT)は最高出力177馬力で、最大トルク300Nm。従来型よりさらにトルクが増したゆとりある走りを静かな車内で実感できる。そして幅広いシーンでアクセル、ブレーキ、ステアリング操作のアシストを行い、安全で快適なロングドライブをサポートするアイサイトXの安全性に身を委ねながら、ハイウェイの走りを楽しむ。

    関越トンネルを抜けると一瞬にして雪具の表情へと変わる。トンネル出口では細心の注意を払いたい。

    関越道の沼田ICを過ぎ、昭和IC付近の高原地帯を抜けると、群馬県と新潟県の県境沿いに位置する三国山脈が見えてくる。群馬県側の雪はほとんど消えていたが、新潟県側の山々にはまだ雪がたっぷりと残っていた。一方で最近の雪国は除雪体制がかなり整っていて、路面の雪が少ない可能性もある。

    「むしろ、それなりに雪がないとテストにならないんだけど…」

    と考えながら、さらに北上した。

    ところがしばらく進むと、三国山脈の上には雪雲が浮かんでいた。当然、その下は雪模様になっているはず。そこに一縷の望みを掛け、三国トンネルの手前の谷川岳パーキングエリアで小休止後に、10kmにも渡る関越トンネルを10分もかからずに走り抜けた。このトンネルを使わなければ、夏でも峠越えには1時間ほどかかる。叔父が関東を目指した時代には、どれほどの時間がかかったのだろうか…。

    豪雪地の十日町で棚田をめざす

    トンネルを抜けると予想どおり雪がちらつき、路面もかすかに濡れている。徐々に下り、湯沢や中里のスキー場が見えてくるころになると雪の降りは少しずつ強くなっていたが、まだ積もってはいなかった。

    この日の目的地は以前、取材でお世話になった十日町の越後松之山温泉にある温泉宿。母に会う前に、せっかくだから少しゆったりしようとプランである。ナビゲーションに従い、関越道を六日町ICで降り、国道253号で十日町市内を目指す。路面にうっすらと雪が積もりだしたのはその途中であった。滑りやすい路面状況でありながら、一見そうとは思えないため、油断すると一気に危険な状態になりそうだ。1割ほど速度を落としたところから、いよいよ本格的なスノードライブの始まりだ。

    雪がちらついていたと思ったら、あっと言う間に吹雪のような状況に。路面にはまだうっすらと雪が積もるのみだが、これでも滑りを感じる。

    路面は積雪1~2cm。横浜ゴムのスタッドレスタイヤ「iceGUARD SUV G075」を装着しているとはいえ、速度を少し落として走行した。

    宿のチェックインにはまだ時間があるため、NHKの大河ドラマ「天地人」でも知られた「星峠の棚田」を見るために、国道403号線へと乗り入れる。もうこの辺に来ると雪は本降りとなり、路面はシャーベットからしっかりとした圧雪状態へと変わってきた。

    周辺の棚田は夏に訪れたことがあり、キラキラとした陽光の下で自然が調和する美しさに感動を覚えていた。だが真冬は初めてだ。あたり一面、2メートルを超える雪で覆われた上に、ぼそぼそと大粒の雪が舞っているとなれば、どんな景色が広がっているのか? 星峠が近づくにつれて道路脇の雪は高さを増し、すでに2メートルを優に超えている。おまけに路面にはあっと言う間に10センチを超える雪が積もってしまった。それでもレガシィ アウトバックは雪の急坂路をものともせず、グイグイと登っていく。

    「なんなんだ、この安定感は!」

    思わずそんな言葉が口をついて出た。スバルの伝統あるシンメトリカル4WDは最新へとアップグレードされ、“絶対にリアを滑らせたり、アンダーステア(コーナーの外側に膨らもうとすること)にするものか”とばかりに安定方向へと制御してくれる。おかげで上りでも下りでも無理をしなければ、ドライバーの狙ったラインを外れることなく、しっかりと駆け抜けるのである。

    道路脇には2メートルになろうかという雪の壁。路面はあっという間に5センチも積もった。

    最低地上高が213mmとたっぷり確保されているため、少々の轍でも難なくクリア。

    さらに213mmの最低地上高のおかげで、積もったばかりの雪道にできる轍もガリガリとお腹を擦ることなく走りきる。こうした走破性の高さは中流域の河原への乗り込みでも本当に助かる。

    急に降り出した雪はみるみるうちに積もり、一瞬不安になるものの、ドライブは快適そのもの。星峠に抜ける道は途中で通行止めだったが、道の脇に作られた簡易的な駐車スペースに滑り込ませると、そこから数十メートル歩くだけで展望場所に着いた。

    雪でほとんど見えないが、棚田のある風景はやはり美しい。

    ほんのわずかな時間だけ雪がやんだ。夕暮れが迫った棚田の風景は、まさに墨絵のような荘厳なる美しさに包まれ、独特の味わいがあった。当然だが、この程度の雪では準備してきたレスキューセットを使用することもなかった。

     (3月19日配信の「雪道だけじゃない!レガシィ アウトバックはどんな状況でもタフに走る」につづく)

    スバル・アウトバック Limited EX

    • 全長×全幅×全高:4,870×1,875×1,675mm
    • 車両重量:1,710kg※オプション付き
    • 最低地上高:213mm
    • 最小回転半径:5.5m
    • エンジン:水冷水平対向4気筒DOHC 1,795cc
    • 最高出力:130kw177PS)/5,2005,600rpm
    • 最大トルク:300Nm30.6kgm)/1,600-3,600rpm
    • トランスミッション:CVT
    • WLTCモード燃費:13.0km/l
    • 車両本体価格:¥4,290,000(税込み)

     

    問い合わせ先:スバルコール TEL:0120-052215

     

    私が書きました!

    自動車ライター

    佐藤篤司

    男性週刊誌、ライフスタイル誌、夕刊紙など一般誌を中心に、2輪から4輪まで“いかに乗り物のある生活を楽しむか”をテーマに、多くの情報を発信・提案を行なう自動車ライター。著書『クルマ界歴史の証人』(講談社刊)。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。

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