2023年3月24日は「地球照」と「金星食」を観察しよう
3月24日、東京の日没は17時56分です。日が沈んで30分後くらいから西の空に注目しましょう。三日月と、宵の明星こと金星がスレスレに近づいています。金星の明るさはマイナス4等級。キランと輝いて見えることでしょう。南西諸島以南では、月に金星が隠れる「金星食」が見られます。
金星と月がこれほど接近すること自体がめずらしいのですが、それが日没後に肉眼で見えるチャンスはめったにありません。前回、日本で夜間に金星食が起きたのは2012年の8月でした。
というのも、金星は太陽の近くを回っているので、日没後か日の出前にしか見られません。西の空に浮かんでいる月は月齢3前後です。というわけで、金星と接近する月はだいだい三日月です。夜に満月と金星が同じ空に上がることはありません。
月の「地球照」とは?
金星との接近を確かめたら、月の「地球照」も観察しましょう。三日月はナイフのように光って見えますが、よく見ると、その上にうっすら丸い月が見えます。太陽光が地球に反射して月を照らしている、これが地球照です。
地球照の撮り方のコツ
ぼんやり薄いので、肉眼で見るより写真画像のほうがよく見えるかもしれません。スマホをできるだけ固定し、背を壁につけるなどなるべく体勢も固定して撮影してみましょう。
双眼鏡を向ければ、ひとつの視野に月と金星がすっぽり収まります。地球照はより美しく、ウサギの餅つきも見えるでしょう。
金星と三日月のランデブーを楽しんだあとは南西の空も見上げてください。オリオン座やおうし座、シリウスのおおいぬ座など冬の星座が西へ傾きつつあります。春分も過ぎて、きらびやかな冬の星座の季節もそろそろ終わりです。
月の欠けている部分に金星が隠される「金星食」
南西諸島より南では、月が金星を隠す「金星食」が見られます。鹿児島では日没直前にギリギリ見られるかどうかですが、南に行けば行くほど観測できる可能性は高くなります。
金星食は、月の欠けている部分に隠れていきます。先にご説明した地球照のなかに溶けていくのです。
那覇では、金星が月に隠れる「潜入」が20時56分。このとき、金星の高度は5度とかなり低いので、西の方角が開けていないと観測は難しいでしょう。海岸の、西の水平線が見える場所なら理想的です。ちなみに、金星が月から出てくるのは21時45分ですが、那覇ではすでに月は沈んでいるので見られません。
この季節、南西諸島より南に行く予定があるラッキーな方は、ぜひ西の方角が開けた場所を見つけてください。グッドラック!
構成/佐藤恵菜