海に潜って初めてわかる、生き物たちの美しい姿と生態。それを写真で誰にでも知らしめてくれるのが、水中カメラマンです。堀口和重さんは2022年12月、オランダのネイチャーフォトコンテスト「Nature Photographer Of The Year 2022」で水中部門グランプリを受賞した、その道のトップランナー。今回は桜島の水中写真をお届けします。
水中カメラマン堀口和重の「美しき海の世界」第9回 鹿児島県桜島
沖永良部島での撮影が終わり、鹿児島本土へ戻り桜島の撮影に行ってきました。桜島には鹿児島市のフェリー乗り場から桜島フェリーに乗り、約15分で到着します。
桜島は今からおよそ1万3000年前に誕生しました。1914年には大正噴火があり、多くの被害が出ました。その時の噴火で大隅半島と桜島が陸続きとなりました。現在も活発な火山活動を続けているため、噴煙が上がる場面に遭遇することがたびたびあります。
桜島の海中の様子
薩摩半島と大隅半島に挟まれた、錦江湾の海中は他の海とは違い独特な環境です。桜島のダイビングポイントは、火山活動でできた安山岩という岩が一面に広がります。
今の季節はアマモやフクロノリといった、海藻類が水底に広がり美しい光景となります。アマモやヒジキやワカメといった日本人に馴染み深い海藻もところどころに生えています。
海藻を観察していると、海藻に隠れる小さな生き物たちの姿も見られます。ハゼの仲間であるドロメの幼魚は、繁茂しているヒジキに隠れます。
また、マダコもフクロノリに身体を擬態して必死に隠れようとしていました。
水底に落ちて時間の経った木の枝には、甲殻類の仲間のワレカラやホヤの仲間が生活しています。ダンゴイカの仲間も、その枝を利用して卵を生みつけています。透けている卵の中身を観察すると、イカの幼体が中で動いていました。
ほかには陸上にいたときに岸辺でイルカが泳いでる姿を目撃しました。いつか桜島の水中で写真に収めたいものです。段々と気温が暖かくなり、季節は春へ変化していきます。5月にまた鹿児島へ行く予定なので、その時は少し違う雰囲気の鹿児島を紹介致します。
東京で写真展を開催!
今後の予定は静岡県の伊豆に戻り撮影をして、本日4月1日から東京の月島で写真展を開催します。ビーパルの記事で紹介した海の写真も展示しています。是非お越しください。
開催日:4月1日(土)〜4月6日(木)8:00~18:00(最終日は16:00まで)
開催場所:元氣喫茶(元氣カフェ&ギャラリー) 住所:東京都中央区月島 2-7-13※会場は2階です。
今回の撮影径路
START→伊豆(大瀬崎)→沖縄(石垣島・黒島・竹富島)→伊豆(赤沢)→山口(青海島)→千葉(波左間)→山口(青海島)→鹿児島(沖永良部)→鹿児島(桜島)→伊豆
撮影協力:ダイビングショップSB