【新米ライターは見た!】ペルーアマゾンの旅 5
イキトス港が近づく。天気は土砂降りで船の側面はブルーシトで覆われている。幾人かの乗客はハンモックを畳み、不安げにシートの隙間を見つめていた。
港に到着すると土砂降りの中、モトタクシーを捕まえて安宿をとった。宿の共同キッチンではドレッドの若いにーちゃん二人がキスをしていた。そうなのかい、イキトス。
水路で来たというだけで、新しい土地に踏み込んだ、という気がした。ペルーの街には大抵どこでも「アルマス広場(Plaza de armas)」がある。広場は街の中心で、周辺には旅行代理店や観光案内所があることが多いので、私はまずアルマス広場を訪れた。よく陸路もないに・・・、と思わずにはいられない教会が立っていた。
船の遅れ、というか私の誤算でイキトス滞在が1日短くなったので、タラポトでの帰る探し同様、一人ガイドをつけてもらい自由なワンデーツアーにしてもらった。
私たちはアマゾン川へ繰り出すべく、ナナイ港へ向かった。港周辺にはワニのぶつ切りや川魚を並べた露店街だ。その露店の中に「マサト」を発見した。マサトとは日本のキックボクサーで、現在は解説者としても・・・。ではなくイキトスでマサトはキャッサバを原料とした発酵飲料だ。その時は気分じゃなかったのでなんとなくその横のアグアへのジュースを飲んだ。このアグアへというフルーツ、女性ホルモンと似た働きをすると言われているのだ。日本ではバストアップや美肌食材とされていることを後から知った。どうりで船でも宿でも・・・。
ナナイ港を小舟で出発する。しばらく行くとナナイ川とアマゾン川がぶつかった。コーヒーにミルクを注ぐ前と後、そんな感じの境目が小舟の下を過ぎて行く。川幅が広い。多摩川支流を遊び場としていた私には、川にいる、という感覚が希薄だった。アマゾン川にいる、という感覚が強い。例えば、カリフォルニアロールは大きなくくりで言えば寿司かもしれないが、あれを食べながら「寿司食ってんな〜」と思う人は多くないだろう。それと同じだ、と思う。
突然、ガイドのミッチェルが言う。
「今日女の子を紹介してやるよ」。ケータイの画面を向けて来た。
「ボニータ(かわいい)だろ?」とミッチェル。
画質が荒過ぎて全然わからない。まぁアマゾナスの女性を知っておくのもいいか、なんて下心からその日の夜会うことになった。「イキトスの女はアナコンダだから気をつけな」と出発前に同僚が言っていたことを思い出した。
船が止まり、ガイドのミッチェルがか細い口笛を吹いた。カワイルカを呼ぶらしい・ものの数分でカワイルカが現れた。口笛効果か偶然かわからないくらいにスグ来た。桃色をしたものと灰色のもがいて、前者は比較的珍しいそうだ。
イルカをしばらく観察した後、今日のベースとなるロッジへ小船は収まった。
さぁここからピラニア一本釣りに出かけよう!
さて、次回でこの旅も最終回、果たしてピラニアは釣れるのか、アマゾナスの女、アナコンダの正体やいかに。
【プロフィール】
志田岳弥(しだたけや、1991年10月2日生まれ)
東京都八王子市出身。大学進学を機に沖縄へ、カヤックを始める。
卒業後、2014年10月からの2年間を
青年海外協力隊としてペルーで過ごす。
同国では環境教育に従事。
現地の子供達と川で遊んだ日々は一番の思い出。
帰国後、現在はのんびりしながら生き方を模索中。
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