BOOK 01
知らないから怖い!ハチ愛があふれる実用書
『知って楽しむ ハチ暮らし入門』
安藤竜二著 農文協
¥1,980
「ブーン」という羽音や黄色と黒のボディー、よほど見慣れていないと思わず身構えてしまうハチ。ハチといってもアシナガバチ、スズメバチ、ミツバチなど生態もさまざまだ。身近な虫ながらよく知られていない。
本書は養蜂を営む家に育ち、日本で初めて蜜蝋キャンドルの製造を手がけた著者が長年の経験をもとに綴ったハチとの共存入門書だ。著者はハチの巣駆除にも40年に亘り携わっている。ハチの種類や営巣状況、時期によってはそのままにしておいても(付き合い方の心得はあり)問題ない場合もあるという。ハチをこよなく愛する著者は、なるべく駆除しなくてよい道を模索し依頼主に言葉を尽くす。
花粉交配するハチたちは農作物の実りにひと役買い、アシナガバチやスズメバチも菜園の天敵となるイモムシや害虫を狩って、人知れず貢献してくれている。特にアシナガバチを移住させる著者の試みは興味深い。益虫としての復権を目指し「誰もができる取り組み」としてハウツーを詳細に公開する。ハチは速い動きや黒色を嫌がる、巣を作らせないためには? ハチと暮らすヒントや実用法が満載。
間もなく虫たちが飛び交う季節、ハチが針を持たされた理由を考えてみたい。
BOOK 02
自然遊びはムダか? ムダの呪縛を解く
『ナマケモノ教授のムダのてつがく「役に立つ」を超える生き方とは』
辻 信一著 さくら舎
¥1,760
時間対効果やムダがない効率の良さをいつからか多くの人が求めている。「役に立つかどうか」という視点で物事を見る功利主義の風潮に待ったをかけるのが本書だ。著者は文化人類学者でスローな社会を目指すNGO法人の代表。自然遊びも近頃の不要不急そのもので、ムダ? いやいや、遊びこそが生きるために大切だと本書は教えてくれる。ビーパル小僧の皆さん、野山に出でてムダを勤しもう。
※構成/須藤ナオミ
(BE-PAL 2023年4月号より)