春は北の空にも注目です。北斗七星が天高く昇る季節になりました。
北斗七星を宿すのはおおぐま座。その隣にいるのが、こぐま座です。知らない場所に行ったときに特に重要になってくるのが北極星です。こぐま座のしっぽの先に光っています。
さて、この季節、キャンプなどで明かりの少ない暗い場所に行ったら、北斗七星のほか、街中では見えない暗い星座を見つけてみましょう。今回は、北斗七星の隣に存在する、やまねこ座を紹介します。
北斗七星の隣にいる「やまねこ座」とは?
北極星と北斗七星はすぐに見つけられるでしょう。
北斗七星の西側がちょっと暗くなっています。その暗い空間にあるのが、やまねこ座です。見たことも聞いたこともない、と言われそうなマイナーな星座です。
やまねこ座の名前の由来
なぜ猫ではなく山猫なのか?と、素朴な疑問がわきますね。
やまねこ座が生まれたのは17世紀のこと。ポーランドの天文学者ヘベリウスが作成しました。
17世紀ですから明るい星、めぼしい星はすでに星座になっています。有名な星座の多くはギリシア神話由来だったり、それ以前の古代メソポタミア時代に起源があったりと、伝統と由緒を備えています。それでも満天には、まだ暗い星がたくさん残っていました。
17世紀くらいになると、それらを使った星座が次々と生まれるのです。多くはその後の歴史の中で消えていきましたが、ヘベリウスの作った星座は7つも残りました。
そのひとつが、やまねこ座。なぜ山猫なのかについては、作成したヘベリウス本人が、「山猫のように視力がよくなければ見えない」と言ったそうですが……はっきりとはわかりません。ただ、「とても暗い」星座であることは、本人もよく認めていたことがわかります。
ちなみに、ヘベリウスがつくった星座のうち現存するものは、やまねこのほか、こぎつね座、こじし座、とかげ座、りょうけん(猟犬)座、ろくぶんぎ(六分儀)座、たて(楯)座。7つのうち5つが動物星座なのです。どれも夜空の、暗い星をつないだ小さな星座たちです。キャンプなど暗い場所で夜明かしするときに見つける楽しみ方もあるので、また追々こうしたマイナー星座もご紹介していきましょう。
本気で探せばやまねこ座は見つけられる!
2月に、全天でいちばん暗く、南半球でしか見えない星座「テーブルさん座」を紹介しました。一番明るい星が5等星でした。やまねこ座のいちばん明るい星(α星)は3等星ですから、もう、はるかに明るいわけです。本気で探せば見つけられるでしょう。
視力検査代わりに有名な星としては、北斗七星のミザール(2等星)とアルコル(4等星)の二重星があります。北斗七星の6番目、柄杓の部分の端から2番目の星です。2つの星の間は約12分角、満月の直径の半分以下です。
やまねこ座のアルファ星やミザールとアルコルが見分けられるようなら、視力は良好、そこはかなり暗い場所だと言えるでしょう。ぜひマイナーな星座にも目を向けて、春の宵を楽しんでください。
構成/佐藤恵菜