狩りのための道から発展したトレイル「淡蘭古道」【プロハイカー斉藤正史の台湾トレイル旅 vol.7】
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    2023.06.01

    狩りのための道から発展したトレイル「淡蘭古道」【プロハイカー斉藤正史の台湾トレイル旅 vol.7】

    日本で唯一のプロハイカーとして、世界各国の数百kmから数千kmにおよぶロングトレイルを次々と踏破している斉藤正史さん。2022年12月から2023年1月には、1カ月以上かけて台湾を巡りました。そんな斉藤さんによる「台湾トレイル体験記」をお届けします。vol.7は、台湾の3つ目の国家トレイル「淡蘭古道」についてです。

    淡蘭古道ってどんなトレイル?

    淡蘭古道は、古くから先住民がさまざまな部族と接触したり、狩りをしたりするための道でした。やがて中国から来た漢民族が定着すると、次第に開拓の規模を拡大。その結果、じょじょに台湾島東部へと勢力を広げていきました。その道の交通量が増え、やがて北路(公道)、中路(民道)、南路(商道)が開通しました。

    しかし、日本統治下には鉄道が作られ、近代に入り車道や高速道路が建設され、次第にこの道は使われなくなり荒廃していったのでした。しかし淡蘭古道は、歴史的にも重要な道として位置付けられ、現在はトレイルとして多くのハイカーに利用される道となったのです。

    北路・中路・南路の3ルート

    調べてみると、淡蘭古道は3つのルートがあるようです。北路は往復の道があるのですが、中路と南路はONEWAYです。そこで地図をみて色々考えた結果、台北近郊の北路の起点から歩いて往復します。また台北近郊から中路へと歩き、南路を歩いて台北近郊に戻ってくるプランが一番移動が少なくて済みようです。

    3つの国家トレイルの中で、1番最初に作られた淡蘭古道はよく整備されており、地図も情報もある程度ありました。特に北路は宿泊施設も定期的にあったので歩きやすそうでした。

    いざ淡蘭古道北路へ

    スタートは瑞芳車站(駅)。

    スタートは瑞芳車站(駅)。

    北路の起点は、瑞芳車站(駅)。樟之細道を歩き終えた翌日、瑞芳車站近くのホステルに泊まり、早朝に出発することにしていました。そこは綺麗なホステルで、一緒の部屋の人達は、台南市から淡蘭古道を歩きに来た奥様方でした。ちょっとの英語と翻訳アプリを使いながら話していると、早朝5時に起きて出発するので、うるさかったらごめんねということでした。

    しかし、まさか3時に電気を付けてガタガタ騒ぎながら準備するとは夢にも思わなかった…。しかも、物凄いいびきの合唱で、ほぼ寝れないという不運でした。

    あれ?九份じゃん!

    街歩きを終え、古道へ。

    街歩きを終え、古道へ。

    眠い目をこすり、早朝に出発。どうも町中を地図を見て歩くのは非常に難しい。おおよその地理を頭に入れ、そっちの方向へ行ければいいかな位の感じで行かないと交通量も多いので危険です。なんとなく見覚えのある道路を歩き、急斜面の古道を登り始めました。台湾を歩き始めて半月以上。もうハイカーの体は出来上がっていました。

    急な登りとはいえ、スムーズに足が進む。古道をある程度登り終えると、大きく観光地方向へトラバースしましたた。

    すると、あれ?ここ来たことがある!?あの「千と千尋の神隠し」に似た建物で有名な、抹茶屋さんの直ぐ近くがルートになっていたのです。

    九份は何度か来ていたので、周辺はある程度知っていました。観光のメインの歩道を少し迂回して、トレイルはどんどん上へと登って行くのでした。

    海が!水路が!

    九附の町並みが眼下に見える。

    九份の町並みが眼下に見える。

    賑わっていた山頂付近。

    賑わっていた山頂付近。

    九份からは山頂方向を目指し、そこからは一気に細い登山道を下っていきます。遠くに海が見えます。山頂付近では多くのハイカーに出会ったのですが、山を東側に下り始めると、全くハイカーの姿は無くなっていました。そしてトレイルは細く分かりずらいエリアが増えてくるのでした。

    徐々に道幅が狭くなってきました。

    徐々に道幅が狭くなってきました。

    山を抜け、水路を通り海辺へ!サイクリングロードとトレイルが同じ道になっていて、東屋などの休憩所も点在していました。

    海が!

    海が!

    おっ、温泉あるの?

    おっ、温泉あるの?

    この日はキャンプ場に泊まろうかと考えていたのですが、お安いホステル「福隆一間屋背包客桟」を発見したので、そこに2日泊まり、翌日はテントや寝袋などのギアをホステルに置いて、必要な荷物だけで歩くスラックパッキングを計画していました。それが可能なほど駅と駅の間が近い状況でした。宿に着くと、そこには淡蘭古道のマークが設置してありました。後で調べると、ハイカーフレンドリー(ハイカーに優しく理解のある)施設に登録されていました。

    宿にトレイル協会の通訳・楊さんがやってきました。2日間、楊さんと一緒にトレイルを歩くことになっているのですが、明日はクリスマスイブ。僕は、オジサン2人でクリスマスイブを過ごし、クリスマスも一緒に過ごすことになるとは思っていませんでした。ただ、噂通り、台湾ではそこまでクリスマスは盛大に祝う感じでないことを知りました。なぜか、少しだけホッとした気がしました。

    淡蘭古道のマークがついている!知らなかった

    淡蘭古道のマークがついている!知らなかった。

    次回は「淡蘭古道」のゴール編です。

    私が書きました!
    プロハイカー
    斉藤正史
    2012年より日本で唯一のプロハイカーとして活動。トレイルカルチャー普及のため、海外のトレイルを歩き、アウトドア媒体を中心に寄稿する傍ら、地元山形にトレイルのコースを作る活動「山形ロングトレイル(YLT)」を行なう。スルーハイク(単年で一気にルートを歩く方法)にこだわり、スルーハイクしたトレイルだけで22.000km(地球半周以上)を超える。最新情報はブログを。

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