台湾「樟之細路」で日本人初の快挙を成し遂げた!?【プロハイカー斉藤正史の台湾トレイル旅 vol.6】
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    2023.05.29

    台湾「樟之細路」で日本人初の快挙を成し遂げた!?【プロハイカー斉藤正史の台湾トレイル旅 vol.6】

    日本で唯一のプロハイカーとして、世界各国の数百kmから数千kmにおよぶロングトレイルを次々と踏破している斉藤正史さん。2022年12月から2023年1月には、1カ月以上かけて台湾を巡りました。そんな斉藤さんによる「台湾トレイル体験記」をお届けします。vol.6は、台湾の国家トレイルのひとつ「樟之細道」のゴールを目指します。

    客家文化の集落へ

    羅屋書院。

    羅屋書院。

    樟之細路8日目、新竹県関西地区を向かいます。前日、フェイスブックで知り合った賴(ライ)さんのお宅に泊めて頂いたのだが、なんと賴さんは画家さんで、樟之細路をセクションハイク(トレイルのある一区間を歩くこと)しているそうでした。

    しかも、親日家で台湾と日本の交流を深めるための活動もされているそうです。賴さんから、前日乗せてもらった場所で降ろしてもらい、出勤ラッシュで賑わう町を歩いていきました。新竹県関西地区に入り、トレイルもいよいよクライマックス。明日、9日目に歩き終える予定です。

    この日は、トレイル協会の紹介で、関西地区の羅屋書院に泊まることになっていました。羅屋書院は、客家である羅氏家の私立学校が100年前にあったそうで、その名残りでこの名前が付いたそうです。急ぐ道のりではありません。午前中は羅屋書院に誰もいないので、あまり早く着きすぎても困る状況でした。ゆっくり景色を眺めていると、水田の跡地が見えてきました。日本の統治時代に日本のお米も台湾で作られるようになったそうです。そんな里山の景色を見ながら歩いていると、予定より1時間早く羅屋書院についてしまったのでした。

    しばらく入り口付近の道路で待っていると、家主の羅さんがやってきて、客家の伝統的な建物の中に案内されました。來香(ライカ)さんがたくさんの差し入れをもってきてくださり、豪華な昼食をご馳走になりました。來香さんは、関西に住んでいて学生の頃に日本語の勉強をされていたそうです。羅さんと話していると、この集落は全員が羅さんで、集落の結びつきも強いそうです。日本の田舎と一緒だなあと、なんとなく親近感を覚えました。

    フェイスブックで知り合った画家の頼さん。

    フェイスブックで知り合った画家の頼さん。

    羅屋書院に届けられた、トレイル協会スタッフからのトレイルマジック。

    羅屋書院に届けられた、トレイル協会スタッフからのトレイルマジック。

    來香さんからのトレイルマジック。オレンジソースが最高でした!

    來香さんからのトレイルマジック。オレンジソースが最高でした!

    最終日も雨からのスタート

    陳さん(左)と、繆繆先生(右)。

    陳さん(左)と、繆繆先生(右)。

    翌日に備え、2時間ほどスラックパッキングをし、羅屋書院に戻ると、地元のTV局のスタッフが居て、インタビューを受けることになりました。ほどなく、李先生にお世話になった時に、400年前の樟之細路周辺を舞台にした小説の出版記念パーティーが開催されていたのですが、その作者の黄さんも面会に来てくださったのでした。

    あわただしく過ぎる時間、あっという間に日が暮れ気温が下がっていくのを感じました。さすがに台北が近くなると雨が多くなり、気温が低くなりますね。

    翌日の樟之細路の最終日は、予報通りの雨。僕は早朝に出発しました。町中を抜けると、1人の女性が話しかけてきました。朝食をプレゼントしたいとのことでした。僕は來香さんから沢山の朝食とお弁当を貰っていたので、お断りしたのですが、再び現れてサンドイッチをプレゼントしてくれたのでした。もしかしたら、地元局の放送を見た方かもしれません。パンパンに膨れたバックパックに詰め込み、雨の中を歩いていきました。

    途中、繆(みゆう)先生と陳さんと合流し、繆先生に案内してもらいながら最後のトレイルを一緒に歩いたのでした。止まない雨。2人は僕を元気付けてくれたが、殆ど英語が話せません。それでも、知っている単語で色々と会話していると、なんとなく通じるものです。途中、桃園市三界爺文化協会のツアーの方と遭遇し、バスに乗せられ昼食をご馳走になることに。また、元の場所まで送って頂き、最後のエリアへ。道はやがて三坑自然生態公園へと進み、トレイルの北の起点が近いことを感じました。

    やがて、僕のゴールを祝福するように、朝から降り続いた雨は止み、水路沿いを歩くと起点と思われる建物が見えてきたのでした。すると、カメラマンと記者の方と一緒に、近づいてきたのでした。李先生のご友人で日本に長く住んでいた馮(ひょう)さんもその輪の中にいらっしゃった。

    ゴールを目の前に、カメラマンのシャッターがどんどん切られていきます。ゴールと思わしき場所に付くと、客傳會理事長の陳さんと共に、客家新聞やビジネスウィークリーの取材を受けました。もちろん、通訳は馮さんです。馮さんの日本語は、日本人と変わらない程ネイティブです。正直、歩きながらの英語でのインタビューは厳しいなと思っていたので安心しました。もし、馮さんがいらっしゃらなかったら、僕のつたない英語でのインタビューになってしまい、正確なお話ができないところでした。

    こうして、樟之細路も終了。取材を受けていて知ったのですが、なんと僕は樟之細路をスルーハイクした初めての外国人になったそうです。快挙(?)の影響もあったのかどうかは分かりませんが、その晩は桃園市三界爺文化協会からのご招待を受け、豪華な食事を振舞って頂きました。

    ほっとしたのもつかの間、僕は休む暇もなく翌日には、淡蘭古道の北路スタート地点、新北市の瑞芳車站へ移動したのでした。

    歩き終わったら豪華なお食事のトレイルマジックでした。

    歩き終わったら豪華なお食事のトレイルマジックでした。

    桃園市三界爺文化協会の皆さんとゴールを記念して。

    桃園市三界爺文化協会の皆さんとゴールを記念して。

    樟之細路の道中には、こんな歓迎も!

    樟之細路の道中には、こんな歓迎も!

    次回は台湾の3つ目の国家トレイル「淡蘭古道」編です。

    私が書きました!
    プロハイカー
    斉藤正史
    2012年より日本で唯一のプロハイカーとして活動。トレイルカルチャー普及のため、海外のトレイルを歩き、アウトドア媒体を中心に寄稿する傍ら、地元山形にトレイルのコースを作る活動「山形ロングトレイル(YLT)」を行なう。スルーハイク(単年で一気にルートを歩く方法)にこだわり、スルーハイクしたトレイルだけで22.000km(地球半周以上)を超える。最新情報はブログを。

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