西の空に立つふたご座に赤い火星が接近中
宵の口の時刻、西の空ではふたご座の双子がスッと立ち上がり、西の地平線に降り立とうとしています。
ふたご座は冬の星座の印象が強いと思いますが、観察できる時期が長い星座です。このふたご座に、西の方から火星がジワジワと近づいてきます。
火星、ふたご座の弟ポルックス(1等星)、兄カストル(2等星)。同じような明るさの星が3つ並びます。
火星の明るさはだいぶ下がってきてはいますが、2等級の明るさがあります。ポルックスとカストルの双子は1等星と2等星と、等級こそ差がついていますが、ポルックスは1.14等級、カストルは1.58等級と、あまり変わらない明るさです。ちなみに1等星とは1.5等級未満の明るさをもつ恒星で、カストルは0.09等足りずに2等星に分類されています。
まるで信号機のような3つの星の色
火星はしっかり赤いです。弟のポルックスはオレンジがかっています。兄のカストルは少し青ざめています。この3色、まるで信号機のように……見えるかもしれません。
この時期の日没後、薄明が終わるのは20時40分頃と、かなり遅くなっています。ただ薄明の完全な終了を待つと、せっかくの信号機はかなり西の地平線に傾いてしまうので、20時頃に観察してみてください。
ふたご座には金星も接近!
この時間帯には、金星もふたご座の中にいます。ちょうど兄の膝のあたり。5月下旬にかけて、次は金星がポルックスとカストルに接近していきます。6月の初めには、また信号機のように並びます。
ただ金星の場合は明るすぎる上、ふたご座の位置がかなり低くなっているため、さすがの兄弟星も明るさの面では太刀打ちできそうにありません。
西の空に、キラキラ光る金星を見つけたら、その右隣にポルックスとカストルがいるなと思って探してみてください。長かったふたご座の季節もこれで見納めとなるでしょう。
構成/佐藤恵菜