趣味=節約な私が得意とするお金をかけずに楽しむ旅
4年ぶりに制限のない今年のGW。混雑を避けて外房の家に滞在、財布をほとんど開かずに過ごしました。お金を使わないレジャーの代表選手といえば「トレッキング」だと思うのです。現地に赴いて、ただ歩くだけ。とはいえ季節の移ろいを全身で感じ、歩きながら家族といろんな話もしつつ、ほどよく疲れて、「ああ、今日もいい1日だった」と、美味しくお酒を飲んで眠りに就く。「最高の趣味!」と私は胸を張っていっています。
みんなと同じ動きをしちゃダメよ
東京の周りを含めた首都圏の人口は4,500万人弱だそう。日本の約3割の人たちと同じ動きをしていたら、渋滞に巻き込まれるのは当たり前です。だいたいみなさん早朝に東京を出て、ランチを食べてから帰宅するというパターンでしょうか。首都圏からやって来た大きなカタマリとバッティングしないよう、今年のGWは外房の家でランチを食べたりして、たっぷり時間をやり過ごしてから、13時半ごろ主要な観光地に出かけるようにしていました。
ちなみに東京から出掛けるのも、早いか(前乗りか)、遅いか(昼すぎか)を心がけています。
念願かなって行ってみた「笠森観音」
今回は、かねてから気になっていた「笠森観音」へ。そこは深い森に囲まれた、岩の上に建つ「天台宗」の寺院です。以前テレビの旅番組で観たことがあり、「天空の寺院」とか「空中寺院」なんて呼ばれているそうで、「へぇ千葉にこんな不思議な場所が!」 と驚いたものでした。
家がある勝浦からこの場所までは約30km。「オフピーク」したおかげで道はガラガラでしたが、クルマで45分くらいかかった笠森観音は房総半島の内陸にあります。肌寒く爽やかだった勝浦より、ややムシッとして気温も高め。同じ県内なのに全然空気が違います。
参道に佇む「子授け楠」
参道の途中にあった立派なクスノキ。根っこの付近に人がくぐれるほどの穴が空いています。訪れて初めて知ったのですが、笠森観音は「子授のご利益」があると言われ、他方から参拝者が多くやってくるとか。以前、有名芸能人さんも参拝に訪れ、御利益にあずかったそうですよ。
激混みというわけではないけど、人は多かったです。ライダーの姿もちらほら。首都圏からのカタマリがいらっしゃった午前中は、きっと大変な賑わいだったと思います。
いよいよ「天空の寺院」へ
大岩の上にそびえる笠森観音は、61本の柱で支えられた「四方懸造(しほうかけづくり)」と呼ばれる構造。京都の清水寺と同じ「懸造り(かけづくり)」だそうです。それは崖など高低差の大きい土地に、床下を固定してその上に建てる建築様式だそう。
階段を上りきったところで「参拝料」をお支払いします。大人300円、子ども(小学生の長男)100円でした。
観音堂の周りは廊下でぐるりと回遊することができます。360度の大自然と宗教が融合した、美しい景色がありました。あの「松尾芭蕉」さんも観音堂の上で句を詠んだそうですよ!
ちなみに御朱印などは観音堂のなかで受け付けているそう。堂内は撮影禁止なので注意です。
子授のご利益らしい光景
「お礼参り」でしょうか。生まれたばかりの赤ちゃんを大切そうに抱いた若い夫婦が、観音堂の急な階段を慎重に上がっている姿を見かけました。
願いが叶ったのでしょう。お礼の言葉が書かれた「スタイ」が掛けられていました。
駐車場から参道を観音堂に向かって歩いていたとき、どこからともなく美しい鐘の音色が響いていました。この「鐘楼堂」から聞こえてきたのですね。
笠森寺自然林トレッキング
先ほど観音堂から見下ろした青々とした森を歩きましょう。
この森は、「禁伐林」として保護されてきたそうです。手つかずの森にはイタチ、アナグマ、リス、フクロウなど多くの生き物が生息しているとか。鳥たちの絶え間ないおしゃべりに、「ここはどこ?」「千葉よ!」と突っ込みたくなるくらい気持ちよかったー。
「イノシシ注意」の貼り紙もあり、息子たちはもしイノシシに出くわしたら?という話で盛り上がっていました。クマなんかと同じで急に走り出したり、背中を見せたりしないのが正解らしいですよ。
お寺を訪れてみたら、まさか周辺がこんな本格的なトレッキングルートになっているとは。笠森観音が深い森に囲まれた場所にある、という証拠ですね。そして相変わらず私たち以外、誰もいません。ええ、一応GWでしたけど。
あと少しだけ歩くと、キャンピングカーを停めてある無料の駐車場に着きます。観音堂を見学して、鐘も鳴らして(笑)。山道をゆっくり歩いても1時間半ほどで周遊できる、いいルートでした。
ふと、ひとりで水面を眺めていた白髪のご婦人に話しかけられました。われわれが歩いてきた道はどうなっているの?と。かくかくしかじか、鬱蒼とした山道でしたが気持ちよかったですよ。観音堂までも30分くらいです、と私が答えました。
「行きたいけど、ひとりじゃ怖そうだなー」と、ご婦人は残念がっていました。そうですね、木々が生い茂って暗い箇所もあるし、イノシシも出るようなので、単独行動はちょっと心細いかも知れませんね…。
ご婦人の行動的な雰囲気とか、みごとな白い髪とか、なんだか1年半前に他界した実母と重なり、いまからでも引き返してご一緒したくなったのでした。
笠森観音
- 所在地:千葉県長生郡長南町笠森302
- 電話:0475-46-0536
- 開堂時間: 8時~16時半(4月~9月)、 8時~16時(10月~3月)
※荒天時は閉堂 - ホームページ:https://kasamori-ji.or.jp