夏本番まであともう少し。今年こそはキャンプにチャレンジしたいけど、まだ自信がない。自然のなかで過ごしながら、ワーケーションもトライしてみたい。そんな人にとって、ちょうどいいキャンプ場をご紹介します。
「ist – Aokinodaira Field(イスト アオキノダイラ フィールド)」。長野県の小海線・野辺山駅から車で約10分ほどのエリアにあり、八ヶ岳、金峰山や瑞牆山の近くという好立地にあります。野辺山駅といえば、JR線の中で一番標高の高い所に位置する駅(1345.67m)。都内からは車で2時間半程度で行けます。
あたりは高原野菜の畑が続き、その名も「レタス街道」というメインロードを走って農道を切り抜け、細い道を下っていくと、おしゃれな木製の看板が見えてきます。小川の流れる音も聞こえてきて、キャンプ場に到着です。
1980年代から2021年まで「青木の平キャンプ場」として運営されていましたが、2022年から母体が「Backpackers’ Japan」に移行されました。「Backpackers’ Japan」といえば、都内や京都で古民家や倉庫ビルをリノベしたホステルやゲストハウスを運営していて、その町やコミュニティの繋がりを大切にし、場の雰囲気や既存の建築物を生かした独自のホスピタリティに、国内はもちろん海外からの宿泊客からの評価も高い、旅のプロのいる会社。今度は舞台を「自然」に置き換えて、キャンプ施設をスタートしました。
「自然とともにある」ことの心地よさと大切さ
「普段の暮らしを自然のなかでする。それを体感してほしくて、このキャンプ場をつくりました」と「ist – Aokinodaira Field」の事業責任者の興梠泰明さんは話します。
「アウトドアに居る時だけ自然を体験するのではなく、普段の生活の延長線上に自然がある。自然に対しての間口を広くして、アウトドアに馴染みがある人も、ない人も、誰にでも気軽にここのフィールドを使って頂けたらと思います。自然のなかにいると心地が良いことを、感じてもらえたら嬉しいです」
興梠さんを含めたスタッフの皆さんは、国内外でバックパック旅をするなど旅行経験が豊富で、登山やサーフィンなどアウトドアの経験もあるのだとか。だからこそ、アウトドア初心者の立場に立って、いかにリラックスして自然の中で過ごしてもらえるかの工夫が施設の随所に見られます。
車を乗り入れると、受付をするラウンジに到着します。気持ちの良さそうな山小屋風の建物に、すでに期待が高まります!
キャンプ場のほぼ中央にあるラウンジの建物。宿泊の受付のほか、日中はモーニング・カフェ、土曜の夜はバー・ダイニングとしても営業しています。
大きなガラスの扉を開けて、木材をたっぷり使ったラウンジに足を踏み入れると、スタイリッシュな暖炉と、居心地抜群のソファやテーブルが。
「この建物は以前は食堂として利用されていたものを、躯体をなるべく生かしてリノベーションしました。私たちの活動に共感してくれる、お付き合いの長いベテランの大工さんに依頼をして、現場で一緒に相談しながら天井と床を張り直して、壁は皆で漆喰を塗りました」
普段から山小屋の修復なども行い、自然と真摯に向き合っている大工さんだからこそ、アウトドアに馴染みがない人でもどうしたらリラックスして過ごせるか。そんな心遣いが感じられる空間に。
奥には大きなピクチャーウィンドウがあり、緑いっぱいの自然が目に飛び込みます。
壁の本棚には、アウトドアやキャンプ、クライミングやロングトレイルにまつわる書籍がさり気なく置かれています。ラウンジの家具はアンティーク物と、大工さんたちが作った手作りのものが程よくミックスされていて、リラックスした雰囲気に。
登山をしなくても、山小屋の雰囲気を贅沢に味わえるHut
約70,000平米もある広大な敷地には、複数のキャンプサイトや、Hutのエリアに区分けられ、こんなおしゃれな道しるべを頼りに、自由に歩けます。まずはHutを見ていきましょう。
Hut(ハット=小屋)と呼ばれるキャビンなら、アウトドア初心者でも安心して泊まれます。
全部で4棟(2023年7月現在)あり、キッチンやベッドが備え付けてある、小さなお家です。
地形や風景に合わせて細かい工夫がされています。例えばこちらの「Hut -nest-」は、扉を開けると壁の大きな窓から緑がたっぷり目に入ってくるような建築に。他のHutから程よく距離が離れているので、大きな窓でも人の目を気にせずに、屋内から自然をたっぷり堪能することができます。窓を開ければ、小川のせせらぎや、小鳥のさえずりが聞こえてきます。
完全なホテル仕様ではなく、とても贅沢な山小屋という感覚で使えるので、アウトドア初心者でいずれ山小屋やテント泊にも挑戦してみたいという人や家族が利用すれば、「自然のなかでも過ごせる」という自信が付きそう。ますます自然が好きになってしまいそうな、そんな宿泊施設です。
焚き火をしながら、オートキャンプも楽しめる
キャンプサイトは、林間、川沿い、広場、池の畔、線路沿い、直火サイトなど、10種類ほどが点在しているのが、こちらの大きな特徴です。
例えばこちらは、川沿いの、オートキャンプや焚き火ができるテント場「River A」。
焚き火ができたり、川の流れる音を聞きながら眠れたりします。車両乗入れも可能なので、荷物の出し入れも駐車場に取りに行く必要がなく、とても便利。
トイレと水場も、どのテントサイトからも程よい距離にあり、適度なアウトドア感が堪能できます。
そしてぜひ一度は入ってもらいたいのが、このトイレ。おしゃれです!
中に入ると靴を脱いで階段を上がって使用します。窓からは外の緑が見られる仕掛けがあり、どれも気持ちがよく利用ができるようにという、大工さんの工夫だそうです。
宿泊者は、シャワールームも利用できます(テント泊の場合は有料)。必要最低限のスッキリした作りで、シャワー室から見上げると、窓から緑が見られます。
アメニティと、ドライヤーなどが完備してあるので、タオルと着替えさえ持参すればサッと汗を流すことができます。
朝ごはんはオプションでオーダーできますが、ぜひ一度は味わって頂きたいところ。近隣の農家さんから仕入れた新鮮なお野菜や、地元の食材を使った朝ごはんは、素材の持つ味の濃さに驚くはず。
「なるべく自然栽培の野菜を、お付き合いのある農家さんから譲ってもらっています。野菜は噛めば噛むほどに、甘みが口の中に広がるんです。僕たちもその美味しさにすっかり魅了されています」
自社のカフェ&ロースタリー「BERTH COFFEE」のコーヒーを地元の美味しい水でドリップして頂けます。ホッと一息ついたら、あまりの居心地の良さに、このままずっとラウンジで過ごしたくなってしまいそう。
山梨県で付き合いのあるオーガニックワインのセレクトショップ「Soif」から仕入れたビオワインや、自社のオリジナル・ビール、海外からセレクトしたクラフトビールなどが並び、購入してその場で飲んだり、テントやHutでも楽しめたりもできるのも魅力的。オリジナルビール「After the Fog」は味わい深く、日によってはボトルではなくタップでもオーダーができます。
ラウンジの奥には物販コーナーがあり、「Berth Coffee」のコーヒー豆、ワインや、コスメなど、おしゃれなアイテムが並んでいます。
刺繍作家Fuimiru Asanoさんによる、雷鳥や山をモチーフにしたピンバッチや、ザックに思わず付けたくなる小さな鈴も販売。一つずつ手作りで、表情が全て異なるので選ぶのも迷ってしまいます。
まるで自分の家で過ごしているかのような居心地良さなので、連泊をしたり、リピーターが多いというのも頷けます。
例えば宿泊者のなかには、ラウンジの一角をお借りして、リモートワークをしている人の姿も。まさに日常と自然とが入り混じった時間が過ごせます。
広大な敷地と、ラウンジスペースを利用して、今年6月には2度目となる複合フェス「Weave」も開催されました。
これは、音楽や食、アウトドアの体験などを融合させた、自然の中の複合フェスがコンセプトになっており、さまざまなミュージシャンや、フード、ショップを招いて開催されました。
「自然への入り口のきっかけとして来ていただければという思いで開催し、たくさんの方々にお越しいただけました。今後もこのようなイベントなどを企画して行く予定なので、ぜひ遊びに来てください」(興梠さん)
これからの季節にピッタリな、「ist – Aokinodaira Field」キャンプ場。アウトドアを始めてみたい人も、登山やクライミングの行き帰りに立ち寄りたい人も、連泊してリモートワークをしてみたい人も、自分らしいスタイルで楽しめるはず。ぜひ訪れてみてください。
ist – Aokinodaira Field
住所:〒384-1408 長野県南佐久郡川上村樋澤1402
HP:https://ist-field.com/aokinodaira/
営業:通年
予約:オンラインで受付中 https://ist-field.com/aokinodaira/booking
テントサイト:キャンプサイト 100サイト
Hut:4棟
施設情報
営業時間 9:00〜17:00
チェックイン 13:00〜17:00 / チェックアウト 11:00
場内設備
Hut
炊事場
トイレ
シャワー棟
モデル料金
大人1名…1500円~
子供1名…1000円~
未就学児…無料
自動車1台…1000円
バイク1台…500円
※利用日やプランによって変動
(取材&文 古園麻子)