こんにちは、ロングトレイル・ハイカーの斉藤正史(MASA)です。
皆さんは、アウトドアでどんな時計を使っていますか? 私は、長年トレイルを歩く旅を続けていますが、なぜか時計だけはいつも決まっていません。そんな私に、偶然にもビーパル編集部から「オススメの時計試してみない?」 と連絡がありまして、「おっ、絶妙なタイミング!」とばかりに、お借りしてみることにしました。
いわずと知れたカシオの「PRO TREK(プロトレック)」シリーズ。今回のモデルは『PRW3100』(交換バンド付き)です。
届くまでの間、さっそくホームページで確認してみました。
どうやら、「プロトレック」のフラックシップモデルを作っているのは、「山形カシオ」のようです。私も山形在住なので、同じ山形つながり、どうやらご縁がありそうですね。
http://products.protrek.jp/_detail/PRW-3100G-3/
カシオ/プロトレックPRW3100
標準装備のバンドには、装着感の高いクロスバンドを採用。
さらに特別に、厚手のアウターの上からでも着脱を可能にする伸縮性に優れたゴムの替えバンドも付属しています。こちらの替えバンドには、使用時のズレを軽減するため、裏面にシリコ-ン樹脂の加工が施されています。
用途に応じてバンドを変更できるので、様々なアウトドアシーンで快適に使用することが可能です。
カラーリングは、アウトドアギアに多く用いられるバーントオリーブ(深みのあるオリーブ色)。
計測精度、間隔を飛躍的に向上させた「トリプルセンサーVer.3」を搭載。世界6局の電波を受信する「マルチバンド6」や、「タフソーラー」(太陽光発電)、気圧の急下降や急上昇など注目すべき変化があった場合にはアラームで知らせる「気圧傾向インフォメーションアラーム」など、実用的な機能を多数装備。「プロトレック」本来の機能はそのままに、デザイン性と装着性を高めたNewモデルです。
- 世界6局(日本2局、中国、アメリカ、イギリス、ドイツ)の標準電波を受信し、時刻を自動修正するマルチバンド6
- タフソーラー
- 方位、高度・気圧、温度を計測可能なトリプルセンサー
- 気圧傾向表示機能
- 気圧傾向インフォメーションアラーム
- 耐低温仕様(-10℃)
- LEDフルオートライト
- 日の出・日の入時刻表示
トリプルセンサーVer.3とは?
95%のダウンサイジングを実現した新開発の小型磁気センサーと、より計測精度を高めた圧力センサーを搭載した新型センサーシステム。処理能力を向上させたカシオ独自のセンサーICを組み合わせることにより、トリプルセンサーの機能を飛躍的に向上させているそうです。
スーツにも似合う「プロトレック」
あれ? 以前使っていた「プロトレック」より、ずいぶん機能が増えているような気がします。「日の出・日の入り」の時間や「マルチバンド6」、「気圧傾向アラーム」など、なじみのない機能が記されています。
たしか、私が「プロトレック」を使ったのは、2005年のアパラチアン・トレイル。第2世代「トリプルセンサーVer.2」の『タフソーラーPRG-40』でした。
とても使いやすいアウトドアウォッチだったのですが、タフソーラー、高度、気圧、方位、温度計のほかは、目立った機能がなかったような記憶があります。
なんといっても、当時の「プロトレック」は、大きくてゴツイ! そんなこともあり、サラリーマン時代はスーツに似合わないため、ふだん使いはしていませんでした。そのせいか、肝心なときに充電がエンプティになることが多くあった印象があります。
センサーの進化で95%ダウンサイズ
まず、中身を確認してみます。
「文字盤がかっこいい!」これは、私の第一声です。
文字盤はブラックタイプ。「これならふだん使いでもイケるんじゃないだろうか?」「山で使う時計じゃないみたい!」というのが最初の印象です。
さらに実際に時計を手にしてみると、ずいぶん小さくなった印象です。第2世代は、手首の細い私には大きすぎて、手に余る感じだったのですが、『PRW3100』は、手首の細い私にも大きすぎません。
商品説明を見ると、「トリプルセンサーVer.3」に進化することで、ダウンサイジング率95%。センサー部分だけで約5%小型化したことになります。まさに、その威力をまざまざと見せられる思いがしました。
さて、時計を合わせようかと思い、説明書を読み進めていくと、「電波時計」であることに驚きました。しかも「世界6局対応」です。時間はすぐに合わせられました。これなら、海外でいちいちワールドタイムにしなくても、かんたんに変更ができますし、海外旅行や出張に行くときにも便利な機能ですね。
それでは、肝心な機能をフィールドで1つ1つ機能を試してみたいと思います。
<今回試したフィールド>
- 山形県 上山市 蔵王坊平高原 冷水山1,339m
- 山形県 山形市 富神山 402m
気圧変化で急な悪天候を予測!
さっそく、自作の雪板(バインディングなしの原始的スノーボード)を背負って、まずは山形県の蔵王坊平高原を目指します。
外は曇り。車を走らせ、蔵王エコーラインの入り口に入ると、急にアラーム音が鳴り響きました。
「何ごとだ?」
と思い、時計を見ると、急激な気圧の低下を知らせるアラームでした。(画面にも大きな矢印で大きな気圧の変化を知らせます)
気にせず5分ほど車を走らせると、雪が降りはじめました。3月も中旬、まさかの雪でした。標高約1000mの坊平にたどり着くころには、猛吹雪で、道路が確認できない状況です。
さらに駐車場のある「蔵王ライザワールド」まで車をゆっくり走らせると、吹雪のためか、スキー場から帰る車と何台かすれ違いました。到着すると、新たな積雪は10cmほど。とても歩く気にはなれず、あえなく退散。
幸か不幸か、「気圧傾向アラーム」の性能を知ることができました。ふだんは空を見て判断するのですが、こうしたアラームと経験を合わせることにより、より確実に天候を予測することが可能になると思います。本当にびっくりしました。
プロトレックvs.スマホアプリ
高度計が正確なのはどっちか?
後日リベンジしました。
今回は、気圧傾向アラームは鳴らないようです。天気も良い。前回、寒さを予測して厚着だったので、ゴムの替えバンドを使用したのですが、今回はふだん使い用のクロスバンドで試してみました。
薄着だったこともあり、ウエアの上からでも手首の細い私にはちょうど良かった。やはり、ウエアに応じてバンドを選べるのは嬉しいですね。
あらかじめ、国土地理院のホームページで、各地点の標高を確認します。ネットで標高をチェックできるとは、便利な時代になりました。
私が選んだ地点は以下の4つ。
- 蔵王ライザスキー場 1,101m
- 分岐1 1,143m
- 分岐2 1,183m
- 無名山頂 1, 251m
- 冷水山 1,339m
「プロトレック」で標高をただ計測するだけではつまらない。性格の悪い私は、スマホのアプリとも比較することにしました。
<使用したスマホアプリ>
「高度計Altimetro free」 Google Playストア 「評価4.2」と高評価です。
はたして、どっちが正確なんだろう?
高度計テストの計測結果
テスト1:蔵王ライザスキー場
- 国土地理院標高 1,094m
- プロトレック 1,126m
- スマホアプリ 1,053m
テスト2:分岐1、分岐2、無名山頂
<分岐1>
- 国土地理院標高 1,143m
- プロトレック 1,130m
- スマホアプリ 1,086m
<分岐2>
- 国土地理院標高 1, 183m
- プロトレック 1,183m
- スマホアプリ 1,136m
<無名山頂>
- 国土地理院標高 1,251m
- プロトレック 1,254m
- スマホアプリ 1,201m
テスト3:冷水山
- 国土地理院標高 1,339m
- プロトレック 1,347m
- スマホアプリ 1,250m
※「プロトレック」は、ライザスキー場で一度、標高を合わせました。
※アプリには標高を合わせる機能が確認できなかったので、そのまま計測しております。
※分岐2以降は、積雪も2m~3mほどありました。
以上の結果となりました。積雪の換算も考えると、登山口で適切な高度数値を入れると、「プロトレック」の誤差は最大で13mでした。
分岐2以降の積雪地での計測は、積雪3mということを考えると、誤差は5m以内。
これは驚異的な精度であると思います。
テスト4:富神山
そして、次のチェック地点は、富神山で計測。この山は「365日誰かは必ず登っている」といわれるほど山形市民に愛されている山です。
標高0m地点で、気圧は1,013hPa(ヘクトパスカル)。 1,000mでは899hPa。2,000mでは795hPaです。「プロトレック」の高度計は気圧センサーに基づいて標高を算出しているようなので、高所が変わると、高度計の精度にも変化があるのではないか? と思い、標高が低いこの場所を選びました。
ここは、蔵王連峰が一望できる、景色の良い山でもあります。
しばし景色を楽しみつつ、多くの地元の登山客とすれ違いながら計測。
結果はこうなりました。
- 国土地理院標高 402m
- プロトレック 404m
- スマホアプリ 428m
※プロトレックは自宅で標高を合わせ使用しました。
※アプリには標高を合わせる機能が確認できなかったので、そのまま計測しております。
結果は「誤差2m」という驚異的な数字でした。
プロトレックの標高は、登山口でしっかり標高の修正を行うことで、かなりの精度をたたき出すことが分かりました。
驚くべき性能です。
◎構成=斉藤正史
→ロングトレイルハイカー斉藤正史の記事はこちら!