フレームはカーボンより鉄の方が優れている
自転車設計・製作を行う工房「アマンダスポーツ」社長の千葉洋三さんは、数々の有名選手たちの自転車フレームを製作してきた。また、修理の名人としても知られている。
納車5日目に落車し、軽さが自慢のカーボンバイクに細い傷が付いた。買った店で「カーボンは傷が付いたら終わり」と新しいフレームに買い直すことを薦められ愕然。そんな私(ライター)の自転車を修理してくれたのが千葉さんだ。
「カーボンファイバーには、クロス状に織られた繊維と一方向だけに並んだ繊維がある。糸の方向性を考えながら何層も計画的に設計しないと、いくら高弾性カーボンを使っても鉄を超えるものは作れないんです。うちには世界のあらゆるメーカーのカーボンフレームの修理が来ますが、割れたチューブの内壁を見ると、そういう極限設計されてないものが大半。鉄のマシンと比べたらどれも60点もらえないんじゃないかな?」
千葉さんが1978年にラフロード用に製作した「430オールランダー」。フレームはクロモリ。ドイツ製のチューブラータイヤで年間6000㎞近く走っていた。その後、お客さんに譲り、「壊れたと聞かないから、たぶん今も多分現役」とのこと。