登山地図GPSアプリ「YAMAP」を運営する株式会社ヤマップは、「日本一道迷いしやすい登山道2023年」を発表した。
登山につきものの遭難の可能性。これから登山を楽しもうとしている人は、ぜひ参考にしてみてほしい。
道迷い遭難ゼロに向けたヤマップの取り組み
ヤマップがこの取り組みを始めたのは2021年から。毎年「日本一道迷いしやすい登山道」を発表し、自治体などと連携することで、道迷い遭難ゼロに向けた取り組みを推進している。
昨年発表された登山道では、その後各地点で道標が設置されるように。その取り組みは着実に前進しているといえるだろう。
「日本一道迷いしやすい登山道2023年」の結果発表
「YAMAP」だからこそ実現した調査方法はこうだ。「YAMAP」アプリのルート上に投稿された「迷いやすい」タグ付きのコメントのうち、年間1年間で他のユーザーが「参考になった」と評価した数を地点の通行量で割り、割合の高かった順に算出。同時に累計約2300万件の登山活動日記から、登山者の道迷い軌跡データを合わせて分析することにより、道迷い多発地点を特定したという。
では、さっそく2023年に発表された結果を見ていこう。実際に寄せられた投稿を見ると「確かに迷いやすい」と思ってしまう道ばかりだ。
1.対馬見山(つしまみやま)243m/福岡県
正しいルートは黄色の矢印。「水落山から下って来た方。 対馬見山方面へは下りきって左手へ登っていきます。(黄色のラインです。)」とのコメントが。
投稿:https://yamap.com/memos/254133
道迷い地点の登山者が歩いた軌跡データ
上の左側の地図は「正しいルート」。右側は道迷いした軌跡データ(枠内)。いったん右(東)に進み、行けないと分かって、左(西)に引き返しているのが分かる。
2.千ノ時 1344m/奈良県
左の林道ではなく、右側の登っていく道が正しいルート。同じ場所で間違ってしまった人のコメント投稿が多数。
投稿:https://yamap.com/memos/90304
3.神明山(しんめいさん)294m/滋賀県
道幅が広い左の道に行きたくなるが、正しい登山ルートは右。登山ルートの印であるピンクテープがあるものの、気づかずに進んでしまう人が多いよう。
投稿:https://yamap.com/memos/290191
4.立岩(たついわ)1265m/群馬県
どこを歩けばいいかルートがはっきりしない場所。「踏み跡がいくつもあり迷いやすい」「右側に巻きますがわかりづらい 何度か迷って、上に行ったり、戻ったり」といったコメントが寄せられている。
投稿:https://yamap.com/memos/302298
5.城ヶ峰(じょうがみね) 330m/愛知県
こちらも正しいルートがはっきりしない場所。「ここで沢を渡ります。反対側に赤い印があるので見落とさないように!沢を渡らずに行っても道らしきものがあり、しばらく行くと道がなくなります。」とのコメントあり。
投稿:https://yamap.com/memos/129361
調査概要
調査日:2023年5月19日(金)
道迷い多発地点の傾向は?
またヤマップは、2021年から分析を重ねてきたことで、次のような道迷い多発地点の傾向が分かってきたという。
・尾根づたいに歩く山道から、尾根を外れたルートへ入り込む地点
・林道など広い道から狭いルートに入り込む地点(本発表2、3)
・川と並行した山道で、川を渡ることに気づかず川沿いをそのまま歩く(本発表5)
・急峻な上りから、急に斜面を下る場合。見上げて歩き見落とす。上り下りが逆のケースも
・特に登山者が少ない場所で、木々が生い茂りルートや踏み跡が不明瞭な地点(本発表4)
今回挙げられた箇所以外にも道迷い箇所は数多くある。地図やコンパスの持参はもちろん、下調べの徹底や登山計画書の提出などもしっかりと行おう。