東京・上野の東京国立博物館 平成館では、9月3日(日)までの期間限定で特別展「古代メキシコ ―マヤ、アステカ、テオティワカン」を開催中。
SNSでは、現在流行中のゲーム「ゼルダの伝説」の世界観のようだと話題になるなど、さまざまな角度からすでに注目を集めている特別展です。
約70年ぶりの古代メキシコ文明の展示
メキシコには35もの世界遺産があり、なかでも高い人気を誇るのが、古代都市の遺跡群です。
前15世紀から後16世紀のスペイン侵攻までの3000年以上にわたり、多様な環境に適応しながら、独自の文明が花開きました。本展では、そのうち「マヤ」「アステカ」「テオティワカン」という代表的な3つの文明に焦点を当てています。
東京国立博物館で古代メキシコ文明に関する展覧会を開催するのは1955年以来約70年ぶり。この貴重な機会をぜひ逃さないで!
会場内は全作品撮影OK!音声ガイドは上白石萌音さんと杉田智和さん
今回の展示でまず特筆すべきは、個人用途に限り全作品撮影が可能だという点。ただし、商用利用や、フラッシュ・三脚を使うなど作品保護および周囲の人の鑑賞の妨げになる行為は禁止となっています。
そして、毎回豪華なキャスティングが定番となってきた展示の音声ガイドですが、今回はメキシコ在住経験があり、スペイン語も堪能な俳優・歌手の上白石萌音さんと、アニメ『ジョジョの奇妙な冒険』のジョセフ・ジョースター役でおなじみの声優・杉田智和さんが古代メキシコへの旅を素敵な声でガイドしてくれます。
音声ガイドは会場内だとレンタル1台650円、スマートフォンアプリ「聴く美術」の期間限定配信だと料金700円で聞くことができます。
初来日の出土品も!特別展の見どころは?
メキシコ・アメリカでしか展示されてこなかった「赤の女王」が初来日!
今回の目玉といえるのが、マヤの「赤の女王(レイナ・ロハ)」の墓の出土品。
マヤの代表的な都市国家パレンケの黄金時代を築いたパカル王(在位615~683)の妃とされ、赤い辰砂(しんしゃ)に覆われた姿で発掘されました。
「赤の女王」はこれまでにメキシコ国内とアメリカ以外では公開されたことがなく、なんと今回が初来日。
展示は、周囲とは一線を画す演出が印象的でした。
真紅の空間を作り、真っ赤なマネキンにマスクや冠、胸飾りなどの装飾品をつけた状態で展示されています。
映像では「赤の女王」の石棺を開けようとする瞬間や美しい建造物などを紹介し、パカル王の息子と孫、ひ孫まで200年に渡った王朝の物語を伝えています。
太陽暦にマヤ文字、信仰など当時人々の叡智に触れる
現在のメキシコの大部分と中央アメリカのグアテマラ、ベリーズ、エルサルバドルおよびホンジュラス、ニカラグア、コスタリカの一部を指す地域「メソアメリカ」では、16世紀のスペインによる侵攻を受けるまで様々な古代文明が栄えていました。
大きく分けるとメキシコ湾岸部、メキシコ中央高原、マヤ地域の3つで独自の文化を築いており、ときに火山の噴火や地震、干ばつなど厳しい自然環境との戦いもありました。
そんななか、人々の心の支えとなった神の姿を写し取ったもの、交易があったことが窺える貝の装飾が施された土器や装飾品、太陽暦を刻んだ柱など、当時の人々の叡智が発掘された品々から伝わってきます。
癖強めなアイテムが並ぶオリジナルグッズコーナーも!
会場では、開催を記念して制作されたオリジナルグッズも販売。出展示作品を網羅した図録やクリアファイル、ポストカード、人気のマスキングテープなども並ぶなか、ちょっと変わったアイテムの多さが気になりました。
まずは、「トゥーラのアトランティス像」をモチーフにしたショルダーバッグ。斜め掛けできるストラップがついていて、500mlの水筒ぐらいのサイズ。ただし、中はあまりモノが入る感じではないので、あくまでもこの雰囲気ありきですね。
こちらはテオティワカン文明の「羽毛の蛇ピラミッド」から出土した石彫をモチーフにしたペンケースとシュシュ。
オレンジのシュシュ部分はペンケースのアクセントにする以外にも、髪をまとめるのに使えます。
こちらは、アステカ文明の「鷲の戦士像」からイメージして作られたフード付きタオル。
サイズはフリーで、子どもならばすっぽりと、大人は短めのポンチョのような雰囲気になりそう。
一目ではわかりにくいのがこちら。「ピラミッドの階段マット」は、石室への道をプリント。横よりも縦に使いたいアイテムです。
さらに、本展の開催を記念し、大人気スマートフォン向けRPG「Fate/Grand Order」とのコラボレーション商品も登場予定。古代メキシコにゆかりのあるキャラクター、ケツァルコアトル、テスカトリポカ、トラロックが本展描き下ろしイラストでコラボグッズになって登場します。
こちらのグッズは会場特設ショップにて7月20日(木)以降順次発売予定とのこと。
※商品は数量限定のため、完売となる場合あり
※「Fate/Grand Order」コラボグッズは個数の購入制限あり。会場運営の都合上、本展特設ショップとは別に専用販売場所を設ける場合あり
特別展は事前予約不要
コロナ禍で長らく多くの展覧会は事前予約が必須となっていましたが、本展は事前予約が不要に。
さらに、7月9日(日)までの期間は「メキシコウィーク with トーハク BEER NIGHT!」として、約4年ぶりに平成館前庭でビアナイトを開催!博物館の敷地内にキッチンカーが集合し、メキシコ料理とお酒を楽しめます。
気軽に立ち寄れるようになった特別展、時間のあるときに訪れてみてはいかがでしょうか。
特別展「古代メキシコ ― マヤ、アステカ、テオティワカン」
会期:2023年9月3日(日)まで
休館日:月曜日、7月18日(火)
※ただし、7月17日(月・祝)、8月14日(月)は開館
開館時間:午前9時30分~午後5時
※土曜は午後7時まで
※6月30日(金)~7月2日(日)、7月7日(金)~9日(日)は午後8時まで
※総合文化展は午後5時まで
※入館は閉館の30分前まで
会場:東京国立博物館 平成館
観覧料:当日一般2,200円、大学生1,400円、高校生1,000円
※本展は事前予約不要
取材・文/北本祐子